会長挨拶

会長就任にあたって   小口 高(2018年5月)    

 このたび地理情報システム学会の会長を拝命いたしました小口です。私は理学系の出身で、自然地理学、とく地形学の研究を行ってまいりました。地理情報システム学会には文理の様々な分野に関係する方々が参加され、産官学の連携も活発な学会です。私はこのような広い領域を網羅するような視点や知識は持っておりませんが、会長の職務を果たしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。 私とGISとの関わりには偶発的な要素があります。私は当初は野外調査によって地形や地質を研究していました。1980年代の話になりますが、卒業論文では九州の阿蘇地域を調べ、修士論文では私の故郷に近い長野県の松本盆地を調べていました。修士課程の途中までは野外調査のみを行っており、松本盆地では扇状地を調べていました。その中で、扇状地のでき方を知るためには、上流域からの土砂と水の供給を扱う必要があると考え、山間部の調査も始めました。すると、扇状地とは違って面的な野外調査ができず、道路や小径に沿う場所のみが対象になりました。その結果、重要と予想される場所の一部は調査ができないという問題が生じました。
そこで、空中写真を判読して山の斜面の地形を分類し、その結果を地図に書き込みました。たとえば最近の斜面崩壊で形成された凹型の斜面や、崩壊や流水の影響が微弱な凸型の斜面を分類しました。これらの斜面の分布は複雑でしたので、概要がわかる地図を作りたいと考えました。そこで、地形分類図の上に500mのメッシュをかけ、各メッシュの中にある各地形の比率を求めました。これは地形の細かいユニットの面積を手作業で計測し、結果を集計するという膨大な作業でした。しかし最終的に得られた比率を階級で色分けしたメッシュマップで示すと、地形の空間的な特徴が上手く描写され、地域間の比較もしやすいことがわかりました。
 このメッシュマップを見ているうちに、なぜメッシュによって地形の比率に違いがあるのかを知りたくなりました。特に気になったのが地形の起伏や地質の影響です。そこで、これらの情報を地形図と地質図にメッシュをかけて読み取りました。次に、地形比率、起伏、地質という3つのメッシュマップの情報をコンマ区切りのテキスト形式でPCに読み込み、これらを集計する自作のプログラムで地質ごとの起伏と地形比率の関係といったグラフを作成しました。これにより、起伏と地質の影響があることが定量的に示されました。 その後、理学部の助手だった1995年頃にGISを使いたいと考え、基礎から学び始めました。最初はArc/InfoとIDRISI、次にArcViewを学びましたが、以前に自分がGISを使わずにやっていたことはラスターのオーバーレイ解析と同じ内容だったと気づきました。この発見は個人的には強烈で、これからはGISを専門にしたいと考えるようになりました。幸いにも1998年に東京大学に空間情報科学研究センターができ、そこに異動いたしました。
 このような経緯があるため、地理情報システム学会に貢献することは自分にとって必然的であり、誇りのようにも感じられます。一方で、私が会長として優れた貢献を学会にできるかは不明で、歴代の会長の方々が築かれてきた基盤に乗るだけで終わるのではという懸念も持っております。しかし、学会の理事や代議員の先生方や、事務局員方の協力が大変心強いことは、これまでも理事や副会長を担当させていただく中で実感しております。このような協力を得つつ、学会の運営に取り組んでいく所存です。よろしくお願い申し上げます。

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