発表題目一覧 (題目をクリックすると概要を表示します。セッション単位での表示/非表示の切り替えも可能です) Title and abstract of presentations (To show the abstract, click on the title) 발표 제목 일람 (제목을 클릭하면, 개요가 표시됩니다) 標題的一覧 (点撃標題, 可以表示要旨)
10月29日 (土) 8:20~10:00
S-O1【企画セッション・ワークショップ】 + 概要を表示 Show Abstracts
Geocomputation with R 勉強会
オーガナイザー:岩﨑 亘典
講師:青木和人、 馬場美彦(アシスタント小野原彩香、岩﨑亘典) Rは、オープンソースの統計解析ソフトとして広くしられており、地理空間情報の解析も可能です。近年、R の地理関連パッケージが大きく変わっています。本セッションでは、「Geocomputation with R」* をもとに、新しくなった地理関連パッケージの使用法を習得することを目的とします。 「Geocomputation with R」 は、英語版の第一版は 2019年に出版されました。しかし、その後主要なパッケージが2023年までに新しいパッケージに後継を譲ることになりました。引退するパッケージには、rgdal、rgeos、maptools などがあります。このため、新しく、sf や terra を使った第二版を作成中です。この勉強会では、第二版を元に行い、第二章「Rで地理データ」までを実行できる事を目標とします。勉強会の実施に当たっては、RStudio.cloud または Binder で、インストール済みの仮想環境を使用します。 *オリジナル:https://geocompr.robinlovelace.net/ 日本語訳:http://babayoshihiko.ddns.net/geo/"
A-O1: 立地・景観 (オンライン) 司会: 薄井 宏行 + 概要を表示 Show Abstracts
A-O1-1 医療・福祉施設の立地特性からみるサービス提供体制の実態と課題 -大分県を対象として-
PDF 服部 泰成・小林 祐司
我が国は超高齢社会に突入し,医療・福祉サービス需要の更なる増加が予想される。本研究では,大分県全域を対象に医療提供状況などをもとにした類型化,人口集約シミュレーションにより,医療・福祉サービス提供体制の実態と課題の把握を行った。その結果,生活利便性の高い地域への段階的な人口集約により,医療・福祉サービス提供体制の維持が可能だと確認できた。人口規模や地域性を考慮した集約方法の検討や集約先の検討が課題である。
A-O1-2 日常生活圏における医療・介護サービス提供のための都市・地域構造に関する研究-大分県を対象として-
PDF 吉田 匠平・小林 祐司
我が国は高齢化の進行により,医療・介護サービスの需要が高まっているが,山間部や過疎地域などでは医療・福祉リソースの偏在が問題となっている。そこで本研究では,大分県における日常生活圏を対象に公共交通施設,医療・福祉施設の立地状況から医療・介護サービス提供体制の現状と課題の把握を行った。その結果,医療・福祉及び公共交通が整備されていない圏域の存在を確認した。これらの圏域では,施設整備や隣接する圏域間での機能の補完が必要である。
A-O1-3 近世絵画史料の景観視点場推定表示システムを利用した現代景観の検証
PDF 片岡 勲人・関口 敦仁
これまで近世絵画における視点場の探索手法について,地理情報をベースにして,その検証を進めてきた。新たに旧道と地形の起伏に合わせて探索経路を設定し,精密な地形データを用いた視点場のCGシミュレートを用いて,近世絵画の構図の視点場を推定した。その結果において,良好な視界を得る視点場のみではなく,自動車交通に向かない旧道では成長した樹木や草木に覆われ良好な視界が確保できていない視点場も見られた。谷文晁(1793)『公余探勝図巻』の視点場推定結果と現代景観の状況について検証し,それらを楽しむ道としてフットパスの可能性を示す。
A-O1-4 GISを用いた地区イメージによる施設配置の検討
PDF 三宅 一生・田中 一成
現代の日本の多くの都市では、過疎地域の増加や少子高齢化の影響により、次世代の人々によってより良い街づくりにつなげるためコンパクトシティ化が進められている。しかし、単純に機能の集約を行うだけではなく施設配置を考えるために、生活空間をどのように認知しているのかを知ることが必要である。本研究では、居住地域による認知・イメージしているまちの姿と現実空間の関係性の抽出を行っていく。
A-O1-5 都市内小動物の生態と人間生活環境に関する空間関係分析~飼い主のいない猫を対象として~
PDF 原田 茜・田中 一成
近年、猫の飼育数は犬をうわまわるほどとなっているが、同時に主のいない猫が増え、人々の生活をはじめペットなど他の動物に対する被害が増加しているといわれる。この研究では、これらの被害の現況を調査するとともに、人が猫に感じる不満やストレスと猫が人に感じる不満やストレスの現状を把握し、その原因をGISを用いて分析する。人とともに猫を代表とする多くの生物にとって暮らしやすい環境のデザインの提案をめざす。
B-O1: 防災 (オンライン 1) 司会: 井上 亮 + 概要を表示 Show Abstracts
B-O1-1 沿道電柱密度の地域別・道路種別比較
PDF Junyan Ouyang・大澤 義明
日本の沿道には多くの電線電柱が設置されており,見通しの悪さによる交通事故の誘発の恐れがある.また,災害時には電柱倒壊により道路が塞がれることもあり,防災・減災の観点でもデメリットを有している.電柱整備の優先順位をつけるため,この研究は関東一部地域を対象とし,緊急輸送道路からバッファを作成し,バッファ内電柱本数と面積を統計した.地域の電柱分布を沿道電柱の比率を指標として評価した.
B-O1-2 QGISプラグイン版『聞き書きマップ』の小学校での試験運用
PDF 原田 豊
先行研究で開発してきたQGISプラグイン版『聞き書きマップ』を、小学校での安全教育の支援ツールとして現場に実装することをめざし、プログラムに改良を加えるとともに、複数の小学校で試験運用を実施した。「GIGAスクール」時代の小学校で現に行われている授業方法に沿った新機能の追加と、教員などを対象とした事前研修の実施などにより、日々の業務に追われる実践の現場にも新たな支援ツールの導入が円滑に行える可能性が高まることが明らかになった。
B-O1-3 航空オブリーク画像からの広域3DTin高速作成システム構築と災害時実証実験について
PDF 藤原 紘子・四俣 徹・大辻 喜典・杉浦 健人・石川 佳治・神林 飛志・埋金 進一・川口 章・藪下 雄平・鈴鹿 守俊・佐藤 俊明
災害発生後の初動・応急対策段階の状況把握への寄与を目標に、広域の航空機オブリーク撮影データから3DTinデータを高速作成する手法の研究とシステム構築に取り組んでいる。クラウド上で開発中の次世代データ処理基盤でSfM処理等を分散並列高速化するとともに、航空撮影やデータ伝送を含む既存業務フローの最適化を検討し、2022年7月に実証実験を行った。本発表はその概要を報告するものである。
B-O1-4 A Comparison of Stochastic, Robust and Distributionally Robust Model for Earthquake Shelter Location-Allocation Problem
PDF Kai Tang・Toshihiro Osaragi
Decide where to locate shelters and how to allocate evacuees to each shelter are of great importance to disaster management. Due to the existence of uncertainty, it is quite challenging to make such decisions while considering unpredictable demand. Traditional stochastic or robust optimization model is either too progressive or conservative. In this research, we propose a distributionally robust optimization (DRO) model, in which uncertain evacuation demand are described as a moment-based ambiguous set. We compare stochastic, robust and distributionally robust optimization model in the case of Tokyo using sample data derived from history earthquake damage data. The results show that the total cost in DRO model is between which in stochastic and robust optimization model.
B-O1-5 大地震災害シミュレーターに用いる入力データの構築方法について
PDF ツアン イリ・大佛 俊泰・岸本 まき
大地震災害シミュレーターでは、個々の建物の詳細な属性情報(建築年次、実構造、建物用途など)を用いて計算を行う。しかし、一部のデータについては入手が困難であるため、既存データをもとに推定・補完する必要がある。そこで本稿では、東京都建物現況調査データおよび建物年次データを利用し、実構造分類を行うフローダイアグラム手法を開発している。
C-O1: 【8:40~】環境・データ理論 司会: 関本 義秀 + 概要を表示 Show Abstracts
C-O1-2 行政支援のための3D都市モデルの利活用検討
PDF 守屋 三登志・篠原 良寛・安齋 翔次郎・井上 雄太
国土交通省が取り組むProject PLATEAUにより、全国的に3D都市モデルの整備が進みつつある。一方で、3D都市モデルの主な整備・更新主体である行政向けの利活用については活用実証の 段階であり、実業務における十分な定着には至っていない。 本稿では、行政業務における具体的な課題、ニーズを抽出し、3D都市モデルを活用した行政支援のための課題解決、サービス検討を行った。検討したサービスについては、実装技術、活用分野等の3D都市モデルの特徴を生かした体系化を行い、様々な都市への適用可能性を検討した。
C-O1-3 自動生成する3次元建物モデルの内部での太陽光シミュレーション
PDF 村瀬 孝宏・杉原 健一・沈 振江
これまでの研究で、電子地図上の頂角がほぼ直角の建物境界線 (直角建物ポリゴン)を四角形の集まりまで分割し、四角形の集まりを「互いに直交する長方形の集まり」まで「整形」し、各長方形の上にBox形状の建物本体と屋根を配置して3次元建物モデルを自動生成した。この分割処理では、ポリゴンのReflex頂点(内角が180度以上の頂点)から分割線の候補を引き、分割線の優先度の高い順に分割処理を実行した。分割された四角形の集まりを互いに直交する長方形の集まりに整形するために、分割四角形は「どの四角形のどの辺にどのように接していたか」という「隣接情報」を分割四角形に保存する。「どのように接していたか」は、分割線がどの様に引かれるかで判明し、「どの四角形のどの辺」かは、分割四角形の隣接辺がどの四角形の、次にその四角形のどの辺に含まれるかを順次探索して調べ、建物ポリゴンを整形し、その上に3Dモデルを自動生成した。本研究で、自動生成された建物の3Dモデルは、リモートセンシングやProcedural modelingで得られる表面モデル(Surface model)と異なり、3Dモデルの壁や屋根などの「各部材」は中身の詰まったCSG(Constructive Solid Geometry)のモデルであり、3Dモデルの内部、つまり、部屋に入って、建物形状に応じて、冬に太陽光がどのように導かれるのか、あるいは、夏にはどのように遮蔽されるのか等の太陽光シミュレーションに利用できる。本研究では、特に「両片流れの屋根」の建物に焦点をあて、冬至において、建物内部にできるだけ太陽光を取り入れ、逆に夏至においては、できるだけ太陽光を遮蔽するような建物構造はどうあるべきかを検討する。そのために建物構造を決めるパラメータに様々な値を入れ、様々な形状の「両片流れの屋根」にて太陽光シミュレーションを行い、建物構造の最適化を図る。このために、壁を照らす太陽光の壁の法線方向の照射面積を仮想カメラで測定して、その照射面積を目的変数とし、屋根や壁、軒などの傾きやその長さを説明変数として、季節に応じて、目的変数を最大、最小にする説明変数の最適化を図る。パラメータに応じて形状を変えられる「建物の3Dモデル」は、仮想空間でパッシブデザインを取り入れた持続可能な「スマートハウス」の案を検討する際、建物構造の最適化を図り、関係者で建物の出来上がりのイメージを共有することができ、合意形成に役立ち、よりよいスマートハウスの設計につながる。
C-O1-4 3D都市モデルDXプラットフォーム基盤の構築
PDF 佐藤 裕一・佐土原 聡・Mitsukiyo Tani・丹羽 雄輔
PLATEAUのLOD2/3D都市モデルをベースにした3D階層モデルと、3DGIS歩行ネットワークと組み合わせたバーチャルみなとみらい21で歩行者タイプに対応した歩行ルート解析が出来、リアルな人流データや携帯位置データを組み合わせた空間ネットワーク解析機能を備えた3D都市モデルDXプラットフォーム基盤を構築し、エリアマネジメントの課題解決の様々なソリューションを提D供する。
C-O1-5 編年時間参照系モデルデータ交換のための符号化規則の検討
PDF 村尾 吉章・清野 陽一・藤本 悠・玉置 三紀夫
西暦年とは異なった時間属性を表現する方法として「編年」がある.編年時間参照系モデルは,編年を用いた地物の時間属性表現を可能にすることを目的として,JIS X7108「時間スキーマ」に準拠した形で筆者らが定義したモデルである.本稿では、編年時間参照系モデルを利用して時間属性を定義した応用スキーマをもとに他システムとの交換データを作成するにあたって,ISO 19118 Encoding に従ってXMLやJSON形式で符号化する方法について検討した成果を報告する.
10月29日 (土) 10:20~12:00
A-O2【企画セッション・シンポジウム】+ 概要を表示 Show Abstracts
デジタルアース研究の現状と課題
オーガナイザー:福井 弘道
中部大学国際GISセンターは、2014年に文部科学大臣による共同利用・共同研究拠点の認定を受け「問題複合体を対象とするデジタルアース共同利用・共同研究拠点」として、GISをはじめ、情報科学、リモートセンシング、社会工学等に関する研究者との共同利用・共同研究を通じて、サイバースペース上に構築される多次元・多解像度の地球(デジタルアース)の研究開発を推進してきました。さらに環境、災害、感染症等の問題複合体の研究者に対し、デジタルアースを提供し、共同利用・共同研究により持続可能な社会を構築するため、問題複合体を解題し、合意形成に寄与するとともに関連諸科学の発展に貢献することを目的としています。本セッションでは、2021年度の拠点の共同研究成果の報告と、関連研究者によるパネル・ディスカッションを行い、デジタルアース研究分野と問題複合体への学術によるアプローチについて展望します。
B-O2: 防災 (オンライン 2)・犯罪 司会: 上杉 昌也 + 概要を表示 Show Abstracts
B-O2-1 医療・福祉施設の分布と災害リスクからみた日常生活圏の評価
PDF 白水 萌里・小林 祐司
高齢化が進行し、また、自然災害が発生し、各地で甚大な被害がもたらされるなかで、高齢者や医療・福祉施設がどのような災害リスクを有しているのか把握することは重要である。本研究では、日常生活圏における高齢者人口の変化を捉え、被災する可能性の高い地域を把握した。大分県において津波災害リスクの高い沿岸部では、災害によって多くの施設が被災し、高齢者人口カバー率が著しく減少するため、施設の移転などの検討を行う必要がある。
B-O2-2 各種災害を想定した避難施設の立地状況の把握と新規避難施設の提案 ―大分県佐伯市を対象として―
PDF 岩野 雄輝・小林 祐司
大分県佐伯市は、南海トラフ地震をはじめとした複合災害の発生が懸念される。同市でも津波や洪水などの各種災害ハザード内に多くの人が居住している現状があり、災害が発生した際に避難施設・収容人数の不足が想定される。本研究では、まず、避難施設の立地状況と災害ハザードをオーバーレイすることで避難性の評価を行った。そして、避難施設の充実を図る必要性を示すとともに、災害リスクと人口減少を考慮した新規避難施設の検討・提案を行った。
B-O2-3 日本海溝北部地震による津波を想定した疑似的津波集団避難行動分析-北海道苫小牧市を事例として-
PDF 奥野 祐介・橋本 雄一
本研究は,2021年公表の津波浸水想定区域が及ぼす避難行動への影響を明らかにすることを目的とする。そのために,日本海溝北部地震を起因とする最大クラスの津波が想定されている北海道苫小牧市を事例とし、独自開発の避難行動ログデータ収集システムによって集団の疑似的津波避難行動ログを収集し、GISを用いて避難時間等に着目して分析を行った。その結果、2012年公表の津波浸水想定区域と比べて広域化しており、避難距離の増大や避難時間の長時間化など、新たな避難対策検討の必要性が示唆された。
B-O2-4 北海道太平洋沿岸の津波浸水想定変更に伴う避難困難域の変化
PDF 橋本 雄一
2021年7月に北海道から日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震による津波の浸水想定が新たに公表された。本研究は,2012年公表の津波浸水想定域から,この新想定への変更に伴う避難困難域の変化を明らかにすることを目的とする。そのために,GIS上で津波浸水想定域の範囲の違いを明確にし,さらに国勢調査ベースとする昼夜間人口を重ね合わせて,両想定の浸水域人口を算出する。続いて避難困難域人口を道路ネットワークによる圏域設定(ネットワークバッファ)により求める手法を提案し,それによって両想定の避難困難人口を推定する。なお,避難困難域に関しては積雪期と非積雪期に関して求め,季節差に関して分析する。さらに,避難困難域人口の時系列的変化を求め,当該地域の人口動態についても考察する。
B-O2-5 潜在被害者の空間行動に注目した犯罪被害予防の可能性
PDF 島田 貴仁
環境犯罪学は加害者,被害者(犯行対象),守り手の空間関係に注目するが,その中でも,ひったくりや公共空間における性犯罪といった対人犯罪は,加害者のみならず被害者の空間移動を伴うため,その予防には加害者・被害者双方の空間行動に注目する必要がある。東京都下での公共空間における子供・女性対象の性犯罪被害に着目して,被害者の空間行動パターンの分析から,その被害予防対策について考察する。
C-O2: 行動分析 司会: 秋山 千亜紀 + 概要を表示 Show Abstracts
C-O2-1 心理指標を用いた相対速度の評価
PDF 村元 至穏・田中 一成
交通事故死者数および重傷者数は年々減少傾向にあるが、高齢者の事故死者数の割合は依然として増加している。また、国土交通省は、人と車両が空間をシェアしながらも、安全で快適に移動や滞在のできる道路が、交通事故のない生活空間を形成している。本研究では道路空間に対し、心理的評価をもとにしたGISによる道路図を作成することで、安全性・快適性の評価を行った。
C-O2-2 非日常空間における交通手段の評価
PDF 梶田 祥之介・田中 一成
現在、旅行満足度の多くは、旅行先の満足度(スポット評価)がその評価の大部分を占めている。交通アクセスと現地での交通に対する満足度は、旅行にとって重要な部分を占め、旅行満足度にも大きな影響を与えると考えられる。本研究では、旅行において重要な位置を占める交通に着目し満足度の評価を行う。日常圏以外の交通における時間、費用、利便性について着目した調査をもとにGISを用いて分析をおこなう。
C-O2-3 駅前広場における歩道が与える影響と歩行者の行動について
PDF 神田 陽・田中 一成
現在の日本は、車中心から人中心の空間へと転換することで、人々が集い、多様な活動を繰り広げられる場へと改変する取組が進められている。ウォーカブルな空間を計画する際に、歩行者の安全性が保証されているのかを同時に考えていく必要があるが、ウォーカブルな空間はどのような問題点があるのかについて現在の駅前広場に着目し、歩道自体が持つ潜在的非制御量と歩行者軌跡から、横断違反発生箇所について分析している。
C-O2-4 Unveiling social segregation of activity space among different income groups in Tokyo 23 wards based on multi-sources data
PDF Chenchen Sun・Yuya Shibuya・Yoshihide Sekimoto
With the world economy globalization and the advancement of the global industrial division system, the social stratification of global cities presents a trend of polarization. In these metropolitan areas, the economically disadvantaged groups may face serious geographical isolation problems due to the uneven distribution of jobs, high housing prices, and the use threshold of service facilities. However, the existed literature on social segregation mostly focuses on residential segregation and lacks attention to activity space. Moreover, limited by the small sample of activity location trajectory data, city-scale analysis on activity space segregation has still been relatively unexplored.In the past few years, the differences between different income groups have increased in Tokyo 23 wards. Meanwhile, rising commodity prices, as well as the sagging service industry hit by the epidemic which employs a large number of low-income workers, could lead to further fragmentation of the activity space for different income groups. The possible increasing segregation in activity space could lead to a lack of communication and resource sharing among different classes, thus exacerbating the social inequality in Tokyo. Therefore, this paper tries to unveil the current segregation situation of activity space among different income groups and figure out the places facing more serious segregation problems.Combining the Pseudo flow data with census data, this paper tries to couple socioeconomic attributes with activity trajectories to provide solutions to the common problem of lack of social attributes for trajectory data. Based on the coupled data sources, multiple metrics comparison of activity space social segregation in Tokyo 23 wards will be calculated and explained. Furthermore, the one-day passenger travel survey data will be used to verify the reliability of the conclusions and describe the activity pattern of different income groups in more detail.
C-O2-5 An Approach to Extracting and Visualizing Daily Human Activity Patterns Using Principal Component Analysis
PDF Weiying Wang・Toshihiro Osaragi
Human activity patterns have raised broad attention in geography, urban planning, transportation, etc. In this paper, we present a method of extracting and visualizing daily activity patterns using principal component analysis. For each person, a day is divided into 48 slots (30 min for each), each of which is filled with the activity the person conducted during that period. Every list of slots is transformed into a one-dimensional binary matrix. We applied the principal component analysis to the matrices and extracted principal components (eigenvectors), which are regarded as activity patterns. Individual samples are projected on the vectors and further visualized on the map. Some interesting spreads of activity patterns over years can be observed, which may be correlated with the development of public transportation and the sprawling of urban areas.
10月29日 (土) 14:00~16:00
S-1: 【企画セッション・シンポジウム】 + 概要を表示 Show Abstracts
第17回マイクロジオデータ研究会 「空き家問題の最前線 ~マイクロジオデータで迫る空き家の現在と将来~」
オーガナイザー:秋山 祐樹
2011年に発足した本研究会は、マイクロジオデータ(MGD:位置情報や時間情報を持つ時空間的に高精細なデータや統計の総称)の普及と利活用について産官学の有識者を中心に議論を行って来ました。MGDは既存の各種統計・空間データでは実現し得なかった、時空間的にきめ細やかな分析や計画支援等への利活用が期待されています。 今回のMGD研究会では、近年全国的に顕在化しつつある空き家問題について、MGDを活用してその現状や将来について迫っていく予定です。具体的にはMGDを活用した空き家分布状況の把握技術の開発や、空き家分布情報の分析・活用事例、また具体的な政策に活かす上での課題などについて、産官学の有識者から具体的な研究や事例の紹介を交えつつ議論を深めたいと考えています。 <プログラム> ※現在編成中です。講演者・講演タイトル、講演スケジュールは当日までに変更される場合がございます。 <本セッションの紹介> 14:00~14:10 「マイクロジオデータ研究会の紹介と本日の研究会の趣旨について」 秋山祐樹 マイクロジオデータ研究会 会長 東京都市大学建築都市デザイン学部都市工学科 准教授 東京大学空間情報科学研究センター 特任准教授 <第1部:講演 MGDを活用した空き家データ開発の取り組み> 14:10~14:30 「産官学のMGDを活用した空き家分布把握の取り組み」 秋山祐樹(対面) マイクロジオデータ研究会 会長 14:30~14:50 「将来空き家予測による空き家の発生予防施策支援」 仙石裕明(オンライン) マイクロジオデータ研究会 副会長 マイクロベース株式会社 代表取締役 麗澤大学AIビジネス研究センター 客員准教授 14:50~15:10 「スマートメータを利用した空き家期間と地域特性との関係分析」 馬塲弘樹(対面) 京都大学 東南アジア地域研究研究所/白眉センター 特定助教 休憩 15:10~15:15 <第2部:講演 空き家データ活用の可能性とその課題> 15:15:~15:35 「タイトル未定」 民間企業からのご講演を予定しています。 15:35~15:55 「タイトル未定」 民間企業からのご講演を予定しています。 15:55~16:15 「タイトル未定」 国・地方自治体からのご講演を予定しています。 16:15~16:35 「タイトル未定」 国・地方自治体からのご講演を予定しています。 休憩 16:35~16:40 <第3部:パネルディスカッション 空き家データの有用性・将来性とその課題> 16:40~18:10(80分) ・コーディネーター マイクロジオデータ研究会 会長 秋山祐樹 ・パネラー 講演者全員 18:10~18:15 パネルディスカッション総括 18:15~18:20 記念撮影
A-1: 3次元モデル 司会: 沖 拓弥 + 概要を表示 Show Abstracts
A-1-1 3次元点群による損傷データを用いるWeb型道路維持管理システムの提案
PDF 村上 篤志・窪田 諭・安室 喜弘
インフラの多くは高度経済成長期に集中的に整備され,老朽化に伴う維持管理の需要増大が懸念されている.また,技術者不足も問題であるため,効率的かつ戦略的な維持管理が求められている.従来の道路維持管理では,2次元データを用いた管理が主流であるが,橋梁などの詳細構造を把握しづらい.そこで,本研究では,業務の効率化とデータの蓄積を目的として,損傷を3次元点群データとして計測し,2次元地図上に可視化するシステムを提案する.
A-1-2 建設施工現場における3次元点群データの計測と進捗管理への活用
PDF 山口 愛加・田中 友悠・原田 風渚・窪田 諭・安室 喜弘
国土交通省は建設施工現場においてICTの全面的な活用を図っているが,多種多様な建設施工現場でデータの取得に統一的な手法を用いることは困難である.本研究では,建設施工現場において3次元データを流通し利用することを目的に,地上型レーザスキャナとカメラから構築した3次元点群データを用いた進捗管理をユースケースとして設定し,データの計測と処理を行った.また,構築した3次元点群データを3次元GISで管理するプロトタイプを作成した.
A-1-3 トンネルに関する各種情報の統合と地理空間情報によるトンネルの維持管理および新規建設への適用
PDF Batbaatar Choijilsuren・三谷 泰浩・谷口 寿俊・本田 博之
トンネルの調査・設計・施工・維持管理を実施する事業者が異なるため,トンネルの各段階の情報が一元的に管理されておらず,トンネルに関する情報が効率的に利活用されていない。本研究では,既設トンネルに関する各種データを3次元空間情報として再整理し, GISを用いて統合することでデータプラットフォームを構築した。そしてこれを用いた既設トンネルの維持管理への適用,隣接して建設されている新設トンネルの施工支援を行った結果,構築された仕組みが有効であることを明らかにした。
A-1-4 保存辺に蓄積した隣接情報に基づく3次元建物モデルの自動生成
PDF 杉原 健一・Shen Zhenjiang・村瀬 孝宏
これまでの研究で、電子地図上の頂角がほぼ直角の建物境界線 (直角建物ポリゴン)を四角形の集まりまで分割し、四角形の集まりを「互いに直交する長方形の集まり」まで「整形」し、各長方形の上にBox形状の建物本体と屋根を配置して3次元建物モデルを自動生成した。この分割処理では、ポリゴンのReflex頂点(内角が180度以上の頂点)から分割線の候補を引き、分割線の優先度の高い順に分割処理を実行した。分割された四角形の集まりを互いに直交する長方形の集まりとして再構築するために、分割四角形は「どの四角形のどの辺にどのように接していたか」という「隣接情報」を分割四角形に保存する。「どのように接していたか」は、分割線がどの様に引かれるかで判明し、「どの四角形のどの辺」かは、分割四角形の隣接辺がどの四角形の、次にその四角形のどの辺に含まれるかを順次探索して調べる。ここで、分割四角形の形状、即ち、本体ポリゴンの「内角が90度の頂点」をどれだけ(3頂点以上かそれ未満か)含んだ分割四角形であるかに応じて、分割四角形から枝屋根を延長させるかどうかを決める。本体ポリゴンの頂点を2頂点だけ含んだ分割四角形は、四角形の第3番目、4番目の頂点は分割線と本体ポリゴンの辺の交点として求め、その上に載る屋根は、多くの場合、隣接四角形へ枝屋根を伸ばす「延長型四角形(extendable quad)」となる。本体ポリゴンの「内角が90度の頂点を3頂点以上」含んだ分割四角形(これを「独立型四角形」とする)は、延長できず独立した屋根を形成すると同時に、逆に「枝屋根を吸い込む四角形」となりうる。独立型四角形は、その分割時に、自らの四角形IDや自らの隣接辺、隣接方法などの隣接情報を確定できる。この隣接情報を「設計諸元」として、四角形の切断時、その本体ポリゴン側の「切り口の辺」に、独立型四角形の設計諸元を保存する。この「切り口の辺」を「保存辺」とし、整形プロセスにおいて、保存辺に蓄えられた隣接情報に基づいて独立型四角形を再構築する。この再構築のプロセスである「分割・整形」は、四角形の分割時、分割四角形の頂点の「ラベリング (番号付け)」を通して、処理される。延長型四角形の場合、自らの隣接辺、隣接の仕方、その後、本体ポリゴン側の隣接辺を順次探索して調べ、これらの「隣接情報」に基づいて、整形処理を実行する。この延長型四角の一辺が「保存辺」の場合、この延長型四角は両側に伸びる「両側延長型四角(Both Sides Extendable Quad)」となり、保存辺でない場合は、「片側延長型四角(One Sides Extendable Quad)」となる。本研究では、この「両側延長型四角」と「独立型四角」、それから「片側延長型四角」と「独立型四角」の全ての接続の仕方を洗い出し、整形後はありえない隣接関係を正すため、四角形の方向フリップを行うポリゴン分割・整形手法による3次元建物モデルの自動生成を提案する。
A-1-5 多様な時系列データのWebタイル化に関する実証研究
PDF 関本 義秀・小川 芳樹・朝日 孝輔・遠藤 隆浩・Nishio Satoru
近年、人流や道路、建物等様々なインフラなどの時系列的なシミュレーションのニーズが増えている。しかしその一方で、時系列の変化データをムービーデータではなく、Webブラウザ上でGISのレイヤーとして誰でも見られるようにするのは容易ではなく、タイル技術を適切に利用していく必要がある。そこで本研究では、建物の被災状況や人流等を対象にタイルデータに変換し、表示する性能について、実証的な研究を行った。
A-1-6 建物に関する様々な計測データの3D都市モデルへの効率的なマッチング
PDF 佐藤 剛・遠藤 隆浩・小俣 博司・関本 義秀
現在、国土交通省においてオープンな3D都市モデル「PLATEAU」の整備が行われている。しかし、レーザー点群や民間地図等、様々な主体による建物に関する計測データは豊富に存在し、それらを活用することでモデルの価値はさらに高まる。そのためには、これらの計測データがどの建物のデータなのかを特定する必要がある。本論文では、建物に関する様々な計測データの効率的なマッチング手法について、主に幾何学的な特性等を用いて、提案し評価を行う。
B-1: 防災 (1) 司会: 吉田 崇紘 + 概要を表示 Show Abstracts
B-1-1 首都直下地震発生時における徒歩および鉄道利用による帰宅困難者の分散帰宅方策に関する検討
PDF 草野 峻一・大佛 俊泰・岸本 まき
首都直下地震によって多数の帰宅困難者が発生すると予想されている。発災直後の一斉帰宅による混乱を避けるため、東京都は条例によって帰宅困難者の発災後 3 日間における帰宅の抑制を促しているが、発災 4 日目以降の帰宅困難者の行動については検討されていない。そこで本稿では、帰宅困難者の徒歩移動モデルを用いて、徒歩のみの移動の場合および一部復旧する鉄道の利用も可能な場合の帰宅行動をシミュレートすることで、混雑する道路や施設、路線を予測し、適切な帰宅困難者の分散帰宅方について検討する。
B-1-2 加速度センサおよび赤外線人感センサを用いた階段利用者人数および歩行方向の推定
PDF 羽田 優太・大佛 俊泰・岸本 まき・伊山 潤・福島 佳浩
建物のIoT化に伴い取得可能となった多様なデータを活用すれば,建物内滞留者分布の把握,ひいては,災害発生時の効果的な避難指示や救助活動などへの活用が可能になると考えられる。筆者らはこれまで,加速度データを用いた階段利用者人数およびその歩行方向の推定手法を提案してきた。本稿では,加速度データに加え,赤外線人感センサデータを活用することにより検知能力を向上させ,機械学習を用いた推定モデルの精度検証を行う。
B-1-3 延焼ネットワーク分割による大規模焼損被害低減効果の検証
PDF 谷本 光大・大佛 俊泰・廣川 典昭・岸本 まき
木造住宅密集地域では,大地震時に大規模火災が発生する危険性が高く,建物の不燃化を促進することは急務である。そのため,従来までの大規模な市街地整備手法に加え,特定の建物を不燃化することによる効率的な整備手法が重要となる。本稿では,少数の建物を不燃化することで火災延焼により同時に焼損する建物の集塊である延焼クラスターを分割し,焼損被害を効率的に低減させるための手法を提案する。また,複数の木造密集地域で延焼シミュレーションを用いた効果検証を行う。
B-1-4 携帯電話人口統計を用いた災害発生直後の都市内部における人口分布変化
PDF 小野塚 仁海・橋本 雄一
本研究では、災害発生直後の都市における人口分布の変化について、その空間的特徴を把握することを目的とする。災害発生後の都市においては、避難者・帰宅困難者の発生や通勤・通学の抑制などによって平常時とは異なる人口分布が生じると考えられる。平成30年北海道胆振東部地震発生後の札幌では、大規模停電が継続した地震発生後約2日の間、平常時とは大きく異なる人口分布が見られた。この変化について、携帯電話人口統計データと他の空間統計データを比較し特徴を把握する。
B-1-5 函館市における土地利用の空間的特徴と津波災害リスク
PDF 川村 壮・橋本 雄一
本研究では、過去に青函連絡船が運行され北海道の玄関口の役割を果たしてきた函館港が立地する函館市を事例に、港湾都市の土地利用の空間的特徴と津波災害リスクの関係の把握を試みた。このために、複数年次の都市計画基礎調査の建物データと津波浸水想定データによる空間分析を実施し、建物被害面積と年次間の増加・減少量を算出した。結果、港湾周辺の観光地化等による土地利用の空間的特徴の変化が津波災害リスクと関係していることが示唆された。
B-1-6 苫小牧市の津波浸水想定域における避難困難域の空間分析
PDF 三井 和・橋本 雄一
北海道苫小牧市では、2021年の津波浸水想定域変更により浸水想定域が大きく拡大した。本研究は、想定域の拡大により新たに避難が必要になった人口、および避難が困難になった人口を抽出し地域の特性について考察することで、津波防災上の課題を明らかにすることを目的とする。なお、苫小牧市が積雪寒冷地であることから、冬季の路面状況による歩行速度の変化に着目して分析を行った。
C-1: 移動 (1) 司会: 堤田 成政 + 概要を表示 Show Abstracts
C-1-1 全国擬似人流データの提供と評価
PDF Yanbo Pang・樫山 武浩・関本 義秀
近年、都市問題や大規模災害、コロナに代表される感染症等の問題を解決するために、人の流れを把握する需要が高まってきている。国内ではパーソントリップ調査データをもとに作成した「人の流れデータ」は32都市約688万人分の移動データを提供しているが、調査が行われていない地域にはデータが整備できない現状となる。一方、民間の携帯通信会社が保有するデータは、販売・公表されるものはあくまで500mメッシュデータ等、集計データであり、個人情報保護の観点でも個々の移動情報が使える場面は限られる。そこで、我々は既存のPT調査と公的統計データをもとに、研究用に無償提供できる全国規模の基盤的なデータ構築を目指し、全人口分の典型的一日の人の流れを再現する擬似人流データを作成した。本稿では、全国47都道府県における擬似人流データの提供状況及び精度評価について報告する。
C-1-2 シナリオに基づく擬似人流生成のためのシミュレーション基盤の構築
PDF 澁谷 遊野・Yanbo Pang・関本 義秀
政策介入や都市基盤の変更、人々の意識変化等に応じて都市空間での人の流れがどのように変化しうるかを事前に把握・分析することは、公衆衛生や都市計画、マーケティング等幅広い分野で応用が期待される。そこで本研究では、例えば大型ショッピングモールが建設されるシナリオなど、新規の建物が建設された場合や撤退した場合、建物の利用用途が変更された場合、集客力が変化した場合などの任意のシナリオに基づき、都市空間での擬似的な人の流れデータを生成することができるシミュレーション基盤の形成を目指す。具体的には、ユーザーが新規に建設する建物の座標や建物面積、用途、収容数などの任意の値を入力すると、そのシナリオに基づく都市空間内での人の流れの軌跡データを生成するシミュレーションを構築する。
C-1-3 擬似人流データにおける時刻表を考慮した自治体全域の交通手段の推計 ー静岡県裾野市を対象にー
PDF 笠原 有貴・関本 義秀・龐 岩博・樫山 武浩・瀬崎 薫
近年は,感染症対策など様々な分野で人流を把握することが重要となっており,人流を把握する手段としてはGPSデータやパーソントリップ調査データなど様々な種類が存在する.しかし,これらのデータはプライバシー保護の問題から,共有することが困難である.それを踏まえ,樫山らは統計データなどを用いてシミュレーションを行い,擬似人流データを作成することで,共有を可能にしている.本データは高精度に作成されているものの,人の交通行動に関して時刻表が考慮されていないため,考慮することで時刻表に応じた交通行動が再現されて精度が向上すると考えられる.そこで本研究では,樫山らが作成した擬似人流データにおいて静岡県裾野市を対象に時刻表を考慮して交通手段の推計を行い,精度の評価を行った.
C-1-4 余暇歩行量と近隣レベルでの土地利用の配置パターンとの関連:GULPデータを用いて
佐藤 理貴・雨宮 護・嚴 先鏞・中谷 友樹
人々の余暇歩行量は,近隣レベルで集計された土地利用混合度と関連することが示されてきた.しかし,既存の土地利用混合度指標には,土地利用の配置パターンが十分に反映されていない.本研究では,余暇歩行量と土地利用の配置パターンとの関連を明らかにする.具体的には,土地被覆,建物データを用いて町丁目単位の土地利用混合パターンを計測し,社会調査GULPにより計測された個人単位の余暇歩行時間量との関連を分析する.
C-1-5 移動系列データのベクトル化に基づく地域分類
PDF 伊藤 翔・井上 亮
人の移動実態に基づく地域特徴の抽出手法に関する研究が近年盛んに行われており、マーケティングなどへの応用を通じて、その有用性が確認されている。ただし、既往研究の多くは、個人の移動履歴を出発・到着地域や時間帯、目的別に集計したODデータを分析し、各地域の特徴を、そこを発着するトリップのパターンのみで評価する。そのため、例えばある商業地域に集まる人々の居住地や就業地の多様さは、その魅力を表すと考えられるが、ODデータの分析ではそれを捉えることができない。しかし、トリップの系列で表される移動履歴データを分析すると、ODデータでは把握できない地域の特徴を抽出できると考える。 そこで本研究では、系列データの分析手法であり、自然言語処理において、文章中の単語の前後関係から単語の特徴を多次元ベクトルで表現するWord2Vecを、都市内の移動系列データに適用し、各地域の特徴を表したベクトル表現に基づく地域分類を試行する。既往手法に基づくODデータ分析による地域分類結果と比較し、本提案手法が抽出する地域の特徴について考察する。
C-1-6 人の流れから見た都市間の関係の可視化
PDF 嚴 先鏞・長谷川 大輔・西堀 泰英
本研究では,携帯電話の位置情報から把握できる都市間の人の流れの量とその変化に基づき,都市間の関係を可視化することを目的とする.第一に,モバイル空間統計を用いて都市間の人の流れを平日・休日に分けて集計した上で,その変化の特徴を地域別に分析する.第二に,各都市をノード,都市間を結ぶ線をリンクとするグラフを構築し,都市間の人の流れに基づいた圏域を抽出する.第三に,その圏域の変化を時系列に分析して可視化することで,都市間の連携した計画の基礎を提供する.
D-1: 【企画セッション・ハンズオン】 + 概要を表示 Show Abstracts
クラウドGIS体験
オーガナイザー:土田 雅代
インターネットの接続環境があれば、どこでも、どの端末でも利用できるクラウドGISであるArcGIS Onlineを使って、Webマップの作成、ArcGIS Online Appsなどを体験して頂きます。
10月29日 (土) 16:20~18:20
A-2: 【企画セッション・シンポジウム:若手分科会】学生フリーテーマ発表会2022 研究発表セッション + 概要を表示 Show Abstracts
オーガナイザー:薄井宏行、岸本まき、関口達也、馬塲弘樹
A-2-1 構造変化と計算効率を考慮した時空間不動産価格指数の開発
松尾和史・村上大輔・堤盛人・今関豊和
近年、任意の地点において価格指数を導出することができるローカルな価格指数に対する関心が高まっている。しかし、既存手法は大量のサンプルサイズを必要とする一方で、計算効率が悪く、実用性に欠けている。本研究では、固有ベクトル空間フィルタリングに基づく空間可変係数モデルと、Rowling window approachを組み合わせることで、大規模なデータに対しても高速に計算でき、変数の影響の経時的な変化を考慮した価格指数を開発した。開発した指数は、不動産市場のローカルな実態を理解するための一助となることが期待される。
A-2-2 季節や時間帯を考慮した自転車盗と都市環境の関連
杉浦完征・浅見泰司・樋野公宏・薄井宏行
日本における自転車盗は刑法犯に占める割合が高い一方で,検挙率が低いため未然に防ぐ必要がある.自転車は通勤・通学や買い物等の特定の目的に利用され,同時に気象条件の影響を受けるため,季節や時間帯によって自転車の利用される空間は変化する.本研究では福岡市を対象に,自転車盗と都市環境の関係を季節・時間帯の違いを考慮して数理モデル化する.その結果から季節や時間帯別に自転車盗が発生しやすい空間を考察する.
A-2-3 発掘調査成果を用いた平安京跡における歴史災害地理空間情報基盤の構築
武内樹治
対象地域とする平安京跡では、多くの発掘調査が行われてきた。本研究では、発掘調査報告書から歴史災害に関する情報を発掘調査地点とともに抽出し、歴史災害研究の地理空間情報基盤を構築する。それを用いて、災害史や歴史災害構造の解明に取り組むとともに、発掘調査成果の社会への提示方法や現代社会における埋蔵文化財のマネジメントについて検討する。
A-2-4 事業所系建物の構造推定を行う機械学習モデルの開発
PDF 水田京佑・武田直弥・秋山祐樹・佐藤亮吾・稲村友彦
自然災害が発生した際の被害推定を,住宅だけでなく住民の生活にとって欠かすことができない各種小売店や企業等の事業所系の建物に対しても実施することは,地域の防災性向上を検討する上で重要である.しかし,事業所系建物の構造推定を行った既存研究は数少ない.そこで,既存の建物データに保険契約データから得られる建物特徴量や各種統計情報を統合したデータベースを作成し,同データを用いた機械学習モデルを構築することで,事業所系建物の構造推定を行う技術を開発した。東京都23区全域での推定精度は約77%に達した.
B-2: 空間分析 司会: 嚴 先鏞 + 概要を表示 Show Abstracts
B-2-1 未知パラメータに対する空間的自己相関の検定 -推定誤差を考慮したMoran’s Iの分布-
PDF 西 颯人・山田 育穂
本研究では、社会調査等で得られた空間データを用いて空間的自己相関を検定する際に、推定誤差を明示的に考慮する必要性を考察する。平均税負担額などの集計値は真の平均値という未知パラメータの推定量と見なせるが、推定量が持つ推定誤差の大きさは地域人口などに影響されるため、誤差の大きさは地域によって異なる。本研究は、この推定誤差の地域差がMoran's Iを用いた検定の偽陽性率に与える影響を補正する方法を示す。
B-2-2 異なるスケールの連続的・離散的な空間的異質性の検出
PDF 彭 湛・井上 亮
地理現象には,空間上で連続的に変化する異質性と特定の地域のみで発生する離散的な異質性の二種類が同時に存在し,それぞれが複数の空間スケールで作用している.しかし,従来研究は,多様なスケールを有する二種類の空間的異質性を考慮した分析ができないため,得られた推定結果に基づいて地域の特徴を誤って解釈する可能性がある. そこで本研究は,異なるスケールで作用する連続的・離散的な空間的異質性を同時に検出するために,Random effects eigenvector spatially filtering-based spatially varying coefficient (RE-ESF-SVC) モデルとGeneralized lassoを融合したモデルを提案し,制限付き最尤法に基づく二段階推定法を構築する.東京都の不動産市場の分析に応用し,提案手法が大域的または局地的なスケールで連続的に変化する価格形成要因の影響や,特定の町丁目のみで発生する不連続な価格変動を抽出できることを確認した.
B-2-3 複数階層の領域分割を考慮したTree-Guided Group Lassoによる空間的異質性の抽出
PDF 竹本 一至・井上 亮
近年,空間現象が有する空間的異質性の構造把握を目指す地域分析が数多く行われている.領域単位で離散的に発生する空間的異質性に注目した分析はその一種で,一般に,事前に特定の領域分割を設定した上で,領域毎に固有の係数を推定する.しかし,市区町村,町丁目,街区など階層的な複数の領域分割候補が存在し,また,各場所で生じる空間的異質性のスケールが異なる可能性があるため,それらの複数の領域分割候補を同時に考慮することが不可欠だが,その効率的な分析手法は議論されていない.本研究は,木構造で表せる階層的なグループ構造を説明変数に定義し,そのグループ単位に変数選択を行うスパース推定手法のTree-Guided Group Lassoに着目し,複数階層の領域分割を同時に考慮した離散的な空間的異質性抽出の新たな分析手法を提案する.また,不動産賃料分析を例にその有効性を検証する.
B-2-4 組成データに基づく地域分類手法の提案
PDF 石川 理人・井上 亮
組成データとは,ある対象を分類したときの各成分の割合を表すデータである.選挙における各市区町村の政党別得票率のように,地理空間情報には組成データの形式をとるものも多く存在する.本論文では,組成データに基づく地域の特徴把握を容易にすることを目的とした,複数の地域分類手法を提案する.この手法は,市区町村などの各領域に1つの組成が対応したデータについて,組成が類似し,かつ空間的に連続する領域を集約し,組成が変化する境界を検出する.実データへの適用により,各手法による結果を比較,考察した.
B-2-5 Location powered quotient: A compositional data analysis-based industrial concentration measure
PDF 吉田 崇紘・村上 大輔・瀬谷 創
A typical measure of industrial concentration is the Location Quotient (LQ), which is simply calculated as the regional and national ratios of employment in each industrial sector. However, its calculation focuses on a single sector and thus ignores relationships with other sectors. Therefore, we propose an alternative version of LQ based on compositional data analysis, which is commonly used and developed in geosciences. The proposed index, Location Powered Quotient (LPQ), has the following properties. (1) LPQ is derived from the powering operator in Aitchison's vector space structure, (2) LPQ considers not only specialization but also the balance of composition. We apply this LPQ to an analysis of Japanese industry data to examine how the LPQ is interpreted.
B-2-6 多変量地理空間データからの総合指標作成手法の比較
PDF 堤田 成政・村上 大輔・吉田 崇紘・中谷 友樹
社会統計データや環境データなど、地区単位で集計された多変量の地理空間データから総合指標を作成する場合、データの空間的性質を考慮する必要があると言われている。総合指標作成には加重平均や主成分分析(PCA)など、線形和を基礎にした手法がよく用いられるが、空間的自己相関や空間的異質性がみられる地理空間データにおいてはそれらの空間的特性が結果に影響を及ぼす可能性がある。本研究ではPCAとBenefit of the Doubt(BOD)のそれぞれを基にした手法を地理空間データに適用した際に、どのような違いを示すのかについて、は東京23区の地震災害リスクデータを用いたケーススタディを通じて明らかにする。
C-2: 観光 司会: 桐村 喬 + 概要を表示 Show Abstracts
C-2-1 徒歩によるコンテンツツーリズム支援システム
PDF 長野 伸秋・山本 佳世子
近年、映画、ドラマといったコンテンツの舞台である土地を訪れる観光(コンテンツツーリズム)が盛んになっている。その推進のためには、コンテンツのファンだけでなく、その地域の住民の理解が必要であり、地域住民が舞台である場所を知ることもまた重要である。本研究では、健康の保持増進も兼ねた徒歩によるコンテンツツーリズムを支援するために、Web-GIS、観光情報システム、SNSの3つのシステムを統合したシステムの設計と構築を行った。運用対象地域として東京都調布市を選定し、約1ヶ月間の本システムを運用した。アンケート調査の結果から本システムがコンテンツツーリズムに有用であること、地域のさらなる理解につながることが明らかとなった。
C-2-2 観光情報配信にとっての良いタイミングの把握に向けたスマホ加速度センサーデータの基礎的分析
PDF 相 尚寿・鍛治 秀紀
本研究は、必ずしも観光目的とは限らない地域の来街者に、タイミング良く観光情報を配信して観光行動を誘発することを目標に据えており、本稿ではスマートフォン(スマホ)で取得した位置、速度、加速度のデータが観光情報配信に適したタイミングを自動判別するためのデータとして活用できるかの基礎的な分析を行う。具体的には実証実験参加者本人が良いタイミングだとした歩行区間の内外で速度や加速度に違いが見られるか検証する。
C-2-3 フードツーリズム計画作成支援システム
PDF 平野 真誠・山本 佳世子
近年、旅行者の観光地での目的が多様化している。特にフードツーリズムは注目されているが、支援するシステムについての研究は少なく、既存のシステムでは食事を主要な目的に据えた観光計画を作成するのに適しているとは言い難い。本研究では、飲食店検索システム、観光経路作成システムとWeb-GISを統合することで、旅先での昼食・夕食を食べる飲食店から途中で立ち寄る観光スポットまで決定し、これらを訪問する観光経路を作成するフードツーリズム計画作成支援システムを構築することを目的とする。また、運用対象地域内外の人々を対象として本運用を実施し評価を行った結果、構築したシステムは利用者のフードツーリズムに関する経験の有無に関わらず飲食を主な目的とした観光の支援に有用であることが明らかとなった。
C-2-4 観光まちづくりのアイデアソンにおける人流データ利用に関する考察
PDF 吉田 魁人・藤原 康史・中島 円
本研究は「人の動き」を捉え、表現できる人流データが、観光まちづくりの課題抽出から解決アイデアの創出、そしてプロトタイピングに至るまでの、どのフェーズにおいて影響を与えるのか考察した。地域の観光課題に対し、人流データを用いてアプローチするといったアイデアソンを実施し、参加者の思考プロセスごとに人流データがどの程度貢献したかを確認した。結果として、人流データは、課題の抽出や解決アイデアの創出のフェーズに対して、適切なエビデンスを得るために利用された。適切なエビデンスは、利用者に新たな課題の抽出や解決アイデアを創出するといったサイクルとなり、より深い検討がなされたと考えられる。また、人流データにはじめて触れた利用者は、操作の容易なツールと適切な情報をインプットをすることで、より深い理解が得られることが示唆された。
C-2-5 視線計測と機械学習を用いた不特定多数の屋内歩行者によるデジタルサイネージへの注視傾向推定手法
PDF 高井 崚・沖 拓弥・福島 佳浩・羽田 優太・伊山 潤
昨今では,視線計測機器が比較的入手しやすくなり,様々な場面を対象に人々の視線行動特性や注視傾向の分析が試みられている。しかし,不特定多数の歩行者を対象とする場合,視線計測機器を着用してデータを取得することは現実的でない。そこで本稿では,限られた人数の被験者による事前の視線計測実験結果と機械学習を活用し,デジタルサイネージ上部に設置したwebカメラ1台で撮影した動画のみから,不特定多数の屋内歩行者の注視傾向を推定する手法を開発する。
C-2-6 3D都市モデルを活用した観光計画作成支援システムの構築
PDF 古賀 友朗・山本 佳世子
一般的に観光を目的とした旅行では、観光客の嗜好や観光スポットの営業時間などの静的な情報と、観光地の混雑状況や期間限定のイベント等の動的な情報の両方を反映させた観光計画を提供することが、満足度の高い計画の立案につながる。 本研究では、観光口コミサイトやSNSから収集した静的・動的情報を効率的かつリアルタイムに収集・更新する機能と、収集した情報から推定したデータを観光地の3D都市モデル上に可視化して表示する機能によって、土地勘の無い観光客に対して観光計画の作成を支援するシステムを設計・構築することを目的とする。本システムは、観光計画作成システム、他者の観光を追体験できるバーチャル街歩き体験システム、動的な情報を生成するSNSを統合することで利用者の観光情報の収集にかかる負担を軽減する。
D-2: 【企画セッション・ハンズオン】 + 概要を表示 Show Abstracts
ArcGIS API for Python体験
オーガナイザー:土田 雅代
Pythonをブラウザ上でインタラクティブ(対話的)に実行できるツールであるJupyter Notebookを利用して Webマップと地理空間データを扱うためのPythonベースのAPIを体験していただきます。
10月30日 (日) 8:30~10:30
S-3: 【企画セッション・ワークショップ】 + 概要を表示 Show Abstracts
オープンで、皆で使える空間データの動向 (技術・サービス・各国制度) ~OGCと日本の研究・実践の連携について
オーガナイザー:福井 エドワード
世界の各都市でデジタルツインが整備され注目を集めている。3Dデータを取得、共有する技術・サービスのプラットフォームの構築が急速に進んでいるが、問題点として、規格やソフトウェアも多様で、一般の普及の障害が指摘されている。この問題から、何に役に立つのか、ユースケースがまだ少ないの、にわとり卵の状況が生まれている。 ひろく世界での知見を共有するため、OGC(Open GeoSapatial Consortium)と、日本の教育・実践の連携を活発にするための方策を議論したい。
A-3: 【企画セッション・ワークショップ:自治体分科会】 + 概要を表示 Show Abstracts
基礎自治体におけるベースレジストリとGIS
オーガナイザー:青木 和人
皆さん、自治体のGIS担当部署の組織名が変更されていることをご存知でしょうか。従来の「情報政策課」等の組織名が「DX推進課」等のデジタルトランスフォーメーションを冠した名称に変わってきています。これ等の名称変更に込められた自治体の思いは、「アナログからデジタルへの転換」を超えて、「デジタルを前提とした組織や仕組みの改変」をめざすという意気込みではないでしょうか。 自治体にとってGISは既に業務の効率化が目的ではありません。これまで庁内で共用されていたデータの他、利用が限定されていたデータもうまく活用して、新たなバーチャル環境を築いていく役割を担うものになっていくということです。 当セッションは、この変革のまっただ中にある自治体GISが、DX推進の基礎と定義されるベースレジストリ(人、法人、土地、建物、資格)の運用や利活用について、自治体視点での話題提供と、自治体分科会ならではの議論を行い、地域の最前線に立つ基礎自治体のベースレジストリの在り方について検討します。
B-3: 【8:50~】人口・居住 司会: 奥貫 圭一 + 概要を表示 Show Abstracts
B-3-2 居住者構成のダイナミクスを反映するジオデモグラフィクスの開発
PDF 植田 雄登・中谷 友樹
居住者構成をもとにしたジオデモグラフィクスは、単年度の国勢調査が主に利用されてきた。一方で、居住者構成は調査年次を通して変化する。例えば、日本では定年退職および少子高齢化に伴い郊外住宅地などで無職の高齢者割合が増加しているが、彼らの職歴によって、生活スタイルが異なると想定される。以上より、本研究では複数年次の国勢調査を活用し、居住者構成のダイナミクスを反映するジオデモグラフィクスの開発に取り組む。
B-3-3 説明文・内観画像・間取り画像を用いた不動産物件の分析手法―ハウスメーカーが提案する子育て世帯向け住宅実例を対象としたケーススタディー
PDF 下村 隼生・沖 拓弥
住まい探しにおいて考慮すべき観点は多く,居住者のニーズと実態との間に存在するギャップに,入居後に気づくことも多い.もし,物件の多様な特徴と住まい手のニーズのそれぞれを定量的に表現する手法があれば,こうしたギャップの縮小を支援できる可能性がある.そこで本稿では,住宅供給側の視点に立ち,ハウスメーカーがホームページ上で公開している子育て世帯向け住宅実例を対象に,説明文・内観画像・間取り画像データを用いて,提案物件の特徴を多様な観点から分析する手法を構築する.
B-3-4 首都圏人流の人口重心を用いた時空間解析
PDF 一井 直人・鈴木 勉・大澤 義明
モバイル空間統計をはじめとした、携帯電話位置情報データはリアルタイムかつ高精度でデータが集積されることに加えて、居住地などの携帯電話利用者の属性を得ることが可能である。本稿では居住地別の人口重心を時系列で算出することによって、関東地方における人口流動を体系的に把握する。また、COVID-19流行前後の人口重心を算出することで、県またぎを中心とした人流がどれほど抑制されたかを考察する。
B-3-5 地理情報を用いた産婦人科医の需要と供給の現状分析
PDF 藤田 楓・市川 学
全体の医者数は増加している一方で、産婦人科医は減少しており、産婦人科医不足が問題となっている。それにより、地域の産婦人科に関する医療提供サービス質の低下が懸念される。本研究では、全国の市区町村を対象に産婦人科の需要と供給を明らかにすること医療提供サービスの現状を把握することを目的とする。産婦人科の各施設からの人口カバー率を基に、市区町村別の産婦人科の供給を把握する。次に施設別で供給対象人口から専門医あたりの負担を把握し、産婦人科の供給に関する現状分析を行う。需要については、厚生労働省の患者調査を基に、各施設ごとの疾患別患者数の推計を行う。全国の産婦人科施設の供給量と需要量を把握により医師不足の現状を考察する。
B-3-6 土地利用計画制度の変更に伴った人口分布の空間変動について
PDF 床井 晴香・熊谷 樹一郎
我が国では少子高齢化を伴う人口減少下で「都市のスポンジ化」など が課題として挙げられている.これに対し,著者らは人口分布の低密な範囲を空間的に把握する手法を開発してきた.今後,中長期の都市モニタリングでは人口に加えて,世帯数・世帯人員などの世帯特性に着目した 空間分析が望まれる.本研究では,開発手法の応用から世帯人員の低密な範囲の把握を試み,区域区分の廃止された都市における人口と世帯人員の空間特性を明らかにした.
C-3: 【9:10~】移動 (2) 司会: 樫山 武浩 + 概要を表示 Show Abstracts
C-3-3 モバイルビッグデータと個人属性データを用いた地域ごとの来訪者による特性把握の提案
PDF 山中 惇矢・秋山 祐樹・山本 俊行
地域メッシュ単位の空間統計は、地域の現状を詳細に把握し様々な計画立案を実施する上で有用な情報である。そこで本研究では、携帯電話の移動履歴に基づく人流データと既存統計から得られる個人属性データ(年収、性別など)を組み合わせることで、地域メッシュ単位で任意の時間帯において来訪者の個人属性を推定できる新たな空間統計を開発した。さらにメッシュごとの来訪者属性を変数とするクラスタリングを行うことで、地域ごとの来訪者の特色を明らかにする手法を提案した。
C-3-4 立ち寄り行動を考慮した大規模地下街における歩行者OD交通量の推定
PDF 矢田部 航成・大佛 俊泰・岸本 まき
精緻な歩行者交通量に関する情報は、都市再開発の効果等について検討するための基礎情報として重要である。歩行者断面交通量調査に基づくOD交通量の推定手法は多く提案されているが、歩行者の滞留行動に着目した分析は十分ではない。本研究では、歩行者の立ち寄り行動を考慮した経路選択モデルを構築することで、歩行者OD交通量を推定する方法を構築し、大規模地下街を対象とした分析を試みる。
C-3-5 日常における外来医療へのアクセシビリティの空間分布特性
PDF 山田 育穂
外来受診率の高さは日本の医療の特徴の一つであり、また、高齢社会における医療需要に対応するため外来医療の重要度が高まっている。本研究では、日常生活における外来医療へのアクセスのしやすさを、空間的アクセシビリティを含む複数の指標で評価し、その空間分布特性を明らかにする。その分布を地域の社会経済特性等と関連づけて分析することで地域格差や需給バランスを検証し、外来医療アクセシビリティの現状と課題を整理する。
C-3-6 アクティブな交通行動・歩行量に関連するマルチスケールな都市環境要因の解析:全国70都市を対象とした横断分析
PDF 瀧宮 健介・埴淵 知哉・磯田 弦・中谷 友樹
近年、15分都市やコンパクトシティ等、都市の環境を整備することで自家用車利用を抑制し徒歩や公共交通の利用を促進する施策が注目を集めている。そこで、本研究では、個人属性を考慮したうえで都市環境と交通行動・歩行量の関係を明らかにすることを目的とする。本研究では、日本全国70都市を対象とした全国都市交通特性調査の資料と地理情報を結合することで、都市単位、近隣地区単位ならびにその中間的範囲等の異なる範囲の地区特性を同時に考慮したマルチスケールな分析を行う。
D-3: 不動産・経済 司会: 村上 大輔 + 概要を表示 Show Abstracts
D-3-1 時間的な変動を加味したオープンスペースと地価との地理的加重回帰分析の試み
PDF 金子 渉平・熊谷 樹一郎
我が国では人口減少による都市の衰退が危惧されており,活性化を如何に図っていくかが課題となっている.オープンスペースにはその活用によって都市の価値を高める効果があるといった報告もみられる.一方で,時間変遷を加味した上で,オープンスペースの効果を分析した事例はまだ多くない.そこで本研究ではGTWRを採用し,都市の価値を表す1つの指標として公示地価を取り上げ,複数の時期を対象にオープンスペースの分布状態との関連性の分析を試みた.
D-3-2 仙台市における単身世帯向け賃貸物件の価格形成要因の調査
PDF 溝井 祥太
一般に市場財として不動産には,財の性能を短い時間では十分に把握できなく,同質の財が存在しない特殊性がある.それゆえに,わが国の不動産市場における情報は不透明であり,借り手が価格決定の要因を知ることができない.そこで本研究では,ヘドニック分析によって,仙台市の単身世帯向け賃貸物件の価格形成要因を明らかにすることを目的とする.対象地域を宮城県仙台市とした理由は,東京や大阪といった大都市圏における実証分析と比べ,地方都市のそれは蓄積が少ないためである.学習モデルは線形回帰モデルを採用し,住宅の特性と周辺施設の近隣効果の2つのカテゴリに分類した.また,仙台市は路線バスと市営地下鉄が市内を網羅することから,交通利便性が有意な価格形成要因になると考え,特徴量に加えた.その結果,賃貸物件の家賃は,住宅自体の設備,構造,近隣施設の近接性により形成されることが明らかになった.
D-3-3 相続可動産の東京一極集中に関する地理的計量分析
PDF 阿部 くらん・藤巻 米隆・小西 弘樹・宇佐美 朋香・大澤 義明
日本の経済が発展するにつれ、東京一極集中が問題になっているが、その実情は定かではない。子供の都会への大学進学等、様々な段階で金融資産が都会に流出すると言われている。そこで本稿では、相続という段階に着目し、相続に関して顧客と専門家を結びつけるプラットフォーム事業を展開する株式会社ルリアン提供の相続データを活用して、相続によってどれだけの規模の資産が地方間で移動しているかを明らかにする。
D-3-4 所有権移転の把握に向けた階層的マンションデータベースの構築
PDF 馬塲 弘樹・眞木 仁・高橋 裕人・清水 千弘
近年、不動産管理に起因する課題が顕在化しており、その複雑な所有関係、空間構成を把握できる不動産データベース構築の機運が高まっている。本報告では、住戸-住棟-土地の三階層を統合することで、不動産登記情報まで含めたマンションデータベースの構築を行う。さらに、所有権移転情報から、棟単位でのストックとフローを定量化し、登記目的による流動傾向についての考察を試みる。
D-3-5 豪雨災害における住宅への経済的被害評価
PDF 吉成 翔・武田 直弥・秋山 祐樹・古谷 貴史
近年、各地で豪雨災害による被害の発生が相次いでいる。令和元年度には、津波を除いた年間の水害被害額が昭和36年の統計開始以来最大となり、自治体規模での対策が求められている。本研究では、多摩川流域を対象に想定浸水深から家屋一棟あたりの損害額の算出を行った。さらに、各種統計から地域の貯蓄高を推計した、これを一棟あたりの損害額と比較することにより、地域の経済的被害の評価を行った。
D-3-6 施設・企業立地の集積・多様性がイノベーション創出に及ぼす影響
PDF 長谷川 大輔・岡本 千草・秋山 祐樹・長瀬 洋裕・武藤 祥郎
我が国における今後の経済成長・社会課題解の担い手として,スタートアップ企業の発展が重要視されている.そこで本研究では,スタートアップ集積の進む東京23区を対象に,スタートアップの企業立地,およびその資金調達・特許数などに着目し,それらがどのような形で集積が起きているかの実態を把握し,同時にイノベーション創出を支える各種施設の密度・多様性を評価し,それぞれの集積の関係性について,共集積を測ることで分析する.それによって,他都市においてイノベーションを創出するための必要条件を把握することを目的とする.
10月30日 (日) 10:50~12:50
A-4: 【企画セッション・シンポジウム:若手分科会】学生フリーテーマ発表会2022 交流セッション + 概要を表示 Show Abstracts
A-4-1 地理学におけるモバイルビッグデータの活用
清水裕朗・阿部和叶・永井祐貴
近年、民間を中心にモバイルビッグデータの利用がさかんに行われている。地理学においてもこれを利用した研究がみられるが、比較的新しい試みであり発展途上である。本セッションでは、発表者3人がそれぞれテーマとする時空間行動の変化、商店街の利用実態調査、公園の利用実態調査について紹介する。特に、このデータを利用することによるメリット・デメリットや利用上の課題について検討する。
A-4-2 日本における母子世帯の空間的集中
柴辻優樹
本研究では、日本における母子世帯の空間的集中パターンの特徴を分析する。母子世帯の空間分布に関する研究は限られているが、政策的に重要な課題であり、詳細な分析が必要である。本研究では都道府県や市区町村単位のデータと空間統計手法をもとに、母子世帯割合の地域差、空間クラスターの発生有無と分布傾向、時系列的な変化を分析し、その特徴や関連する要因を探る。
B-4: 景観・自然環境 司会: 相 尚寿 + 概要を表示 Show Abstracts
B-4-1 街路全方位画像ビッグデータを用いた街路景観の主観的印象評価モデルの構築
PDF 小川 芳樹・沖 拓弥・趙 琛渤・関本 義秀・清水 千弘
都市の街路景観を人の印象に基づいて評価するモデルを構築することは、街路景観に対する人の嗜好を定量的に把握し、より人々が好む都市を計画するのに役立つ。本研究では、東京都世田谷区の街路全方位画像に対して行った22の印象項目(「開放的」、「通りたい」など)のWebアンケート結果を用いて、街路全方位画像から各印象評価項目を推定可能なマルチラベル分類モデルを提案する。提案モデルは、全ての印象評価項目で高い精度を達成した。
B-4-2 街路全方位画像ビッグデータを用いた街路景観の主観的印象評価の属性別傾向
PDF 沖 拓弥・小川 芳樹・趙 琛渤・今出川 祐亮・清水 千弘
前稿(小川ら,2022)では,大規模な街路印象評価Webアンケートの結果をマルチラベル分類モデルに学習させることで,主観的印象評価(22項目)を高精度で推定可能なモデルを構築した.ただし,このモデルで推定される印象評価値は,あくまでも全属性の平均的な印象評価傾向を反映したものと考えられる.そこで本稿では,上述のWebアンケート結果を属性別(性別,年代別,居住地域別)に学習させることで,属性別の街路印象評価推定モデルを構築するとともに,東京都世田谷区を例に街路印象評価の属性別傾向を定量的に分析する.
B-4-3 Exploratory potential analysis of Mapillary for streetscape monitoring in Japan
PDF Xinrui Zheng・Mamoru Amemiya
Crowdsourcing is believed to be an efficient way to collect data involving a large group of people and has been used to generate VGI (Volunteered Geographic Information) data. Recently, the application of this method to collect SVI (street view imagery) data has made it possible to generate an open VSVI (Volunteered Street View Imagery) dataset which has a lower barrier for data collection and usage. This research provides a potential analysis of the typical VSVI of Mapillary in Japan making use of Mapillary image point data collected through API across the whole country. Specifically, we investigate two aspects: 1) completeness evaluation which provides an overall summary of road statistics for Mapillary to assess the potential of the dataset to provide adequate coverage of geographic information; 2) contribution pattern evaluation to help to understand how users are contributing in the Mapillary platform in terms of contribution time (e.g., by the hour, by day of the week) and modes (e.g., walking, cycling, driving).
B-4-4 樹木成長が偕楽園千波湖借景に及ぼす影響
PDF Yihan Ren・石井 儀光・小林 隆史・大澤 義明
日本の大名庭園には長い歴史があり、借景という造園技法で作られたものもある。しかし、都市開発や樹木の成長によって景観が変化し、元々の造園思想が崩れてきている。本稿では偕楽園を中心に樹木成長と視野変化の関係の視点から、FlickrとそのAPIを利用して観光写真のデータベースを構築し、カメラのパラメータで各場所からの眺望視野を計算する。借景作庭のモデルを作成して樹木伐採と緑地管理について検討する。
B-4-5 動的な照明演出の特徴量が歩行者の経路選択行動に及ぼす影響
PDF 田中 なつみ・大佛 俊泰・岸本 まき・小川 祐輝・八田 和洋・原田 和樹・三橋 史弥
歩行者の経路選択行動について、筆者らは照明が経路選択に与える影響に関して検討を行ってきた。本稿では、特に照明の特徴に着目し、実験計画法に基づいた歩行実験および主観評価を行う。さらに、歩行者の経路選択行動をロジットモデルを用いて記述することで、照明の特徴が経路選択行動に及ぼす影響を定量的に評価する。
B-4-6 つくば市における芝畑の抽出方法の検討-衛星画像.数値地図.ドローンを利用して-
PDF Shan Liu・藤田 直子
芝生は都市景観の最も強力なシンボルの1つであるとともに、都市型水害が増加する中で、グリーンインフラとしての防災減災機能が注目されている。茨城県つくば市は日本一の芝生の生産地であるが、市内における分布や面積は明らかではない。本研究はそれを解明するために、衛星画像、数値地図、ドローンを用いて、芝畑の抽出を試みるものである。
C-4: 住居 司会: 長谷川 大輔 + 概要を表示 Show Abstracts
C-4-1 建物外観画像と機械学習を用いた建物単位の空き家判定手法の開発
PDF 武田 洸明・秋山 祐樹
近年、我が国の都市では空き家の増加が顕在化しており、その空間分布の把握は自治体にとって重要な課題である。しかし、空き家の分布調査は人の目による外観目視が中心であることから、自治体にとって大きな負担となっている。そこで本研究では建物の外観画像と空き家の分布データを地図上で結合する技術を開発し、同技術で作成した建物外観画像を教師データとした畳み込みニューラルネットワークによる機械学習手法を開発し,空き家の外観目視判定を迅速化する手法を提案する.
C-4-2 ドローンで収集した熱赤外画像および可視画像から人工知能(AI)により迅速に空き家分布推定を行う手法の検討
PDF 秋山 祐樹・飯塚 浩太郎・小川 芳樹・今福 信幸・谷内田 修・杉田 暁
近年,全国で空き家が増加し続けており,自治体では空き家の空間分布の調査を迅速かつ安価に実施する手法が求められている.そこで本研究ではドローンに搭載した熱赤外カメラを用いて,空家が分布する住宅地の撮影と3Dモデリングを実施し、居住者の生活に由来する熱や夜間光の発生をAIに学習させることで,特に非空き家の自動抽出がある程度可能であることが明らかとなった.またVRを用いた仮想空間における空き家調査の可能性が示された.
C-4-3 既存統計を活用した建物ごとの構造および建築年代の推定手法の開発
PDF 武田 直弥・秋山 祐樹・佐藤 亮吾・稲村 友彦
近年,台風や豪雨災害が多発,甚大化し,大きな経済的損失が発生している.このような自然災害に対するリスクを正確に評価するためには,建物の特徴量を精緻に把握することが重要である.そこで本研究では被害と相関の高い建物の構造や建築年代を推定する予測モデルの構築を行なった.モデルの構築には保険契約データから得られる建物特徴量に加えて,国勢調査などの統計資料から得られる年代別の人口や居住期間など居住者の情報を使用した.
C-4-4 建物周辺の生活利便性を考慮した建物ごとの空き家確率予測モデルの構築
PDF 水谷 昂太郎・冨田 健人・秋山 祐樹・谷内田 修
近年,全国で空き家が増加し続けており,自治体では空き家の空間分布の調査を迅速かつ安価に実施する手法が求められている.そこで本研究では,住民基本台帳をはじめとする自治体保有の公共データに加えて,各建物と各種生活利便施設までの平均勾配や直線距離など,建物周辺の地理的特性を説明変数とする建物ごとの空き家確率を予測する機械学習モデルを構築した.その結果,平均勾配と直線距離が比較的大きくなる建物で空き家確率が高くなる傾向が認められた.
C-4-5 Basic Analysis of Characteristics of Vacant Houses in Ota Ward, Tokyo
PDF Yujia Yao・Takuya Oki・Naoko Saio・Masahiro Fukagawa・Shoma Tamba
With the number of vacant houses increasing nationwide, municipalities need to understand the characteristics of vacant houses with particular problems to take effective measures. As a part of collaborative research with Ota Ward, Tokyo, we analyzed the characteristics of vacant houses with various problems based on Ota Ward’s vacant houses database. First, we used regression analysis to clarify the influence of various regional characteristics on the vacant house rate in each area. Then we analyzed property attributes and exterior images of individual vacant houses. In this way, we reached some fundamental findings of features that can help detect potential vacant houses.
C-4-6 建物の利用実態を考慮した流域下水道の広域化・共同化の可能性に関する検討
PDF 秋山 千亜紀・秋山 祐樹・佐藤 大誓
人口減少社会を迎え,地方公共団体をはじめ,国土交通省など関連省庁を中心に,将来的に持続的な下水道事業の実現に向けた下水道事業の「広域化・共同化」の検討がなされている.そこで本研究では,処理区域が複数の自治体に跨る流域下水道を対象に,建物の利用実態を考慮するとともに,関連する原単位を用いることで,処理施設の利用実態により即した形で流域下水道の広域化・共同化の可能性を検討する.
D-4: 【企画セッション・ワークショップ:防災GIS分科会】 + 概要を表示 Show Abstracts
災害時の状況認識図作成支援活動
オーガナイザー:畑山 満則
近年、気候変動の影響により風水害は巨大化、高頻度化する傾向にある。また、阪神・淡路大震災以降、日本全国で50人以上の死者・行方不明者を出した地震が10年程度のサイクルで発生していることを鑑みると災害への備えは最重要課題ともいえる。災害時には状況認識図(Common Operating Picture)を用いた認識の統一が重要と言われているが、これらは、位置と時間が付随した情報として管理することが必須であり、GISの役割は大きいことが近年の災害で示されている。これまで、地理情報システム学会では防災GIS分科会が中心となり、災害支援活動を行ってきた。これらの経験を総括し、今後の災害時での状況認識図作成支援の在り方について議論を行う。
10月30日 (日) 13:50~15:50
S-5: 【企画セッション・シンポジウム:教育委員会】 + 概要を表示 Show Abstracts
2022年度初等中等教育におけるGISを活用した授業に係る優良事例表彰
オーガナイザー:塚本 章宏
2022年度に実施された,初等中等教育においてGISを活用した授業のうち,優良事例について表彰する。さらに表彰者による事例発表を行い、活用現場や開発についてのノウハウや有用性、ならびに解決すべき諸課題などの情報交換を通して、今後の発展を図る。
A-5: 都市計画 司会: 窪田 諭 + 概要を表示 Show Abstracts
A-5-1 機械向けの地図データベースと人向け地図データベースの融合
PDF 角本 繁
地図データは主に人が参照する情報媒体であった。紙面に描かれた地図は、電子化されて、情報処理に利用されてきた。住宅地図、地形図など様々な地図データは、何らかの形で人の見るデータであった。登山の時には、等高線から地形を読み取ったが、人が参照していることに変わりはない。カーナビの地図データは、運転誘導に使われているが、運転者が図面として参照する。自動運転では、この様相は異なる。目的地の指定において、運転者が地図を参照して、目的地やルートを指示する場合もある。しかし、地図に描かれた道路データを利用するのは、人ではなく自動運転の制御機構になる。ここで、必用となるのは、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作のための制御情報となる。人が見るための地図は、折れ線近似で描かれていた。それに対して、制御地図では、微係数の連続性が求められる。車の制御の場合は、曲線が利用される。そこで、(X,Y)空間の表現に変えて、進行方向の距離を1軸として、他の軸を回転半径や局率で表現する(D,*)表現を取ることが期待される。この表現を「距離地図」と呼ぶ。自動運転では、緩和曲線や円弧の記述はされてきたが、その多くは地図データとは別データとして扱われていると推測する(実情法は、非公開で入手が難しい)。(X,Y)地図も距離地図も同じ地物や移動を表している。そこで、どちらの表現でも、同じ対象を記述することになる。そこで、その両表現で同じ描画が出来れば、利用目的によって、使い分けることが、期待できるハイブリッドデータ記述を提案する。道路の走行軌跡は距離地図の表現として、建物は(X,Y)表現とすることで、両データを画面上に表現すれば、従来の地図になる。距離地図では、道路に沿った断面を表現することが出来る特徴もある。自動運転では、高精度地図の利用が提案されて、多くに研究開発が進められている。その中で、地図情報処理の視点から、人の代わりに機械が参照する地図として「距離地図」を提案し、その特徴を紹介する。
A-5-2 Automatic Cost and Effect Estimation for Regional Planning Scenarios - Based on the Planning Cases in Susono, Shizuoka Prefecture
PDF Jue Ma・Hiroshi Omata・Yoshihide Sekimoto
This article introduces an extension function and improvement for evaluating the cost and effect automatically in the prototype application of a citizen-oriented digital design regional planning tool. The cost estimation consists of the land purchase cost, construction cost, tax revenue, and building compensation incurred by regional planning. The future living population, visitors, and traffic volume are incorporated in the effect estimation. The result can be used as a referential result expectation for planning stakeholders during consulting and public participation phase, to support the decision-making. The pseudo people flow data and simulation model were installed for the evaluation of future visitors and traffic volume by time. The processes of creating person, activity, trip, and trajectory were adapted for regional planning scenarios. Finally, the cost and effect generation were applied in two regional planning cases: the New Fukara Station project and New Hiramatsu Fukara Line project in Susono, Shizuoka Prefecture as case studies.
A-5-3 Deep-learning based approach for building extraction and usage classification from fused DSM and satellite images
PDF Shenglong Chen・Yoshiki Ogawa・Yoshihide Sekimoto
Accurate acquisition of building information from remote sensing data is essential for urban planning and construction. However, due to the diversity of buildings, such as scale, color, and texture, it is challenging for automatic building extraction and usage classification from complex scenes. This paper proposed a deep-learning-based approach to obtain a detailed building distribution map from fused satellite images and a digital surface model (DSM). The approach first extracts the building footprints from the fused data based on an improved Mask R-CNN network, followed by a ConvNeXt model for building use estimation. We chose Kobe city as the test area to verify the proposed approach's effectiveness. Compared with satellite images, the method based on fused data can extract more complete building footprints and obtain higher accuracy in building use classification.
A-5-4 上水オフグリッドを見据えた水道管路配置の分析
PDF 川辺 怜・石井 儀光・大澤 義明
全国各地で設備更新が迫る水道事業について、持続可能な事業として継続させることを目的とし、ハードの面から分析を行い長期的・短期的提案を行う。具体的には、自治体から提供された水道管路データを用いて、管路配置、管路縮減について検討する。現状、多くの自治体はほとんどの住民をカバーする管路配置をとっているが、今後の人口減少を踏まえ、上水オフグリッドを見据えた地下水の有効活用など、コスト削減とサービスの質の両立を目指したインフラの在り方を検討する。
A-5-5 都市の空間パターンに応じたネクサス効果とその環境負荷に与える影響の評価
PDF 中山 俊・藤田 周・厳 網林
都市の多様な空間パターンは、人・モノ・サービスにリンクし、CO2排出など環境負荷に多大な影響を与えている.しかし,環境関連データの空間スケールや解像度は多様であり、脱炭素分野で近年注目を集めるセクター間のシナジーやトレードオフといったネクサスまで考慮して空間パターンを環境負荷に関連付けることは困難とされてきた.そこで本研究では,都市生活の基本を構成する食料・エネルギー・水・建物・モビリティ・公共・廃棄と都市空間の相互作用をネクサスマトリックスと呼ばれる行列で整理し,ネクサスをセルで表現する方法を提案する。行はこれら7つの基幹インフラを表し,列は地域内からの投入を表す.そして、都市管理とインフラサービス提供のために占有する空間面積とその過程で排出されるCO2排出量を吸収するために必要な森林面積を合算した環境指標ネクサスフットプリントを開発し,ネクサス効果を定量的に評価できるようにする.本手法は,首都圏を対象に統計データを用いて適用する.本研究により,都市の多様な空間パターンを構成する人口密度、建物形態、世帯形態などが資源利用に及ぼす複雑な影響を定量的に明らかにでき,カーボンニュートラルで持続可能な都市計画・都市デザインのベースラインを精緻に提示することができる.
A-5-6 都市の水道事業におけるCO2排出の空間分布の推計ー東京都と神奈川県を対象にー
PDF 藤田 周・中山 俊・厳 網林
近年、脱炭素社会実現に向けてインフラ事業のCO2排出量削減が課題となっており、水道事業もその一つとして取り上げられている。水道事業のエネルギー消費は地形による配水方式に依存するため、水道事業者は配水方式の見直し・適性化を行っている。一方で、給水方式も水供給におけるエネルギー消費の要因であるが、建物構造に依存するため今まで議論されてこなかった。そこで本研究は、地形や建物構造を考慮した取水から蛇口までに伴うCO2排出の空間分布の推計を行う。その結果、直結直圧給水方式が導入できなくなる前後の建物でCO2排出原単位が約2倍近く跳ね上がった。また、直結給水方式は配水方式の水圧に制約されるため自然流下方式地域に適用しづらいが、自然流下方式のCO2排出が少ないため、適用地域の総合的なCO2排出が一番低くなった。本研究によって、その土地の特徴を活かした水インフラの再構築の仕方が明らかとなり、脱炭素社会実現に向けた水事業のCO2排出削減に寄与する。
B-5: 防災 (2) 司会: 岸本 まき + 概要を表示 Show Abstracts
B-5-1 企業単位のエージェントシミュレーションモデルによる水害がサプライチェーンに及ぼす影響の推計 -平成30年7月豪雨を事例として-
PDF 楊 少鋒・小川 芳樹・柴崎 亮介・池内 幸司
本研究では、水害によってサプライチェーン(SC)の寸断が発生した際に、SCに及ぼす影響の時系列変化を推計可能な企業単位のエージェントシミュレーションのモデルを提案する。提案モデルは(1)災害後企業の復旧、(2)企業間の取引関係の変化、(3)企業の取引先の代替性、(4)災害後の需要の変化を考慮する。平成30年7月豪雨を事例として、約140万社の企業のSCに対して本モデルを適用し、SCの寸断による影響を分析する。さらに提案モデルは水害による個別企業だけでなく、マクロ経済への影響も推計することが可能である。
B-5-2 クラウドGISベースの応急危険度判定支援ツールの実証実験から見えてきた課題と展望
PDF 阪田 知彦
地震災害後に行われる現地調査の1つに応急危険度判定調査がある.地震で被害を受けた建築物について,その後の余震等による倒壊や落下物等の危険度を判定し,住民等に危険情報を提供することで,「人命に関わる二次災害を防止する」ための調査である.この調査の効率化やDXへの対応を目指し,クラウドGISをベースとした支援ツールを開発し,公開を行って来た.本稿では,そのツールを使った実証実験の事例を概観するとともに,そこから見えてきた課題や展望について述べる.
B-5-3 地理空間情報およびGISを活用した災害リスクコミュニケーションに関する研究
PDF 菅原 巧・三谷 泰浩・藤原 旅人・川野 浩平
日本はその地形的特徴から自然災害による被害を受けやすく,激甚な災害が発生した際には,行政による公助が十分に機能せず,自助・共助による防災活動が重要となる。これらの防災活動を行うためには,住民の防災リテラシーを向上させることが必要である。 本研究では,地理空間情報やGISを活用した災害リスクコミュニケーションを設計し,糸島市および大野城市で実施する。具体的には,まちあるきでは,G空間情報収集システムと称する現地調査アプリを活用し,GPSを活用し,地域の危険箇所を地理空間情報として収集した。また,ワークショップでは,まちあるきで収集した現地情報をGIS上に表示し,航空写真や地形分類図と重ねて表示することで,地域の自然災害の特徴を検討した。 リスクコミュニケーションにGISを用いることで,地域の危険性の把握が促進され,避難経路や避難場所を合意形成によって決定することが可能となった。
B-5-4 大量のソースデータを利用した浸水想定データ加工手法
PDF 嘉山 陽一
I created a set of programs to create data for hazard maps that collect a large number of inundation assumption data, and to create aggregate data in quadratic mesh units to aggregate these data.The data for the expected inundation areas are prepared by the national government, prefectures, and municipalities. I overlaid the 5-meter mesh with the data for each assumed inundation area to determine whether or not each mesh had the potential to inundate an area.Each 5-meter mesh had an attribute value for the assumed inundation depth. However, a single 5-meter mesh may be included in the range of multiple assumed inundation data. In such cases, the mesh attribute is assigned the value of the greatest depth value among the assumed inundation depths of the assumed inundation areas where the 5-meter mesh crosses.In addition, when overlay processing of inundation assumption data for rivers with large river basins was performed, the processing time became very long, and there were some data for which the work could not be completed in time. This paper describes the method used to speed up the long overlay process.
B-5-5 大学地理教育におけるICT及びWebVR技術を用いた防災教育システムの利活用
PDF 塩崎 大輔・橋本 雄一
大学地理教育において地理空間情報及びGISをより高度に活用する能力を身に付けるうえで,ICTと地理空間情報及びGISを体験的に学習することが重要である。そこで本研究はVRやARといったいわゆるXR技術に着目し,地理空間情報を活用したVR避難訓練システムを開発し運用することで,高校教員免許取得要件となる大学地理教育における利活用法を検討することを目的とする。
C-5: 地域分析 司会: 馬塲 弘樹 + 概要を表示 Show Abstracts
C-5-1 SNSと口コミデータによる魅力的なカフェの抽出とその空間分布
PDF 鈴木 英之
本報は前報に引き続き、来街者によって記述された口コミ・レビューデータより得られた情報を用いて、街の魅力の空間的な所在を可視化して示す試みである。具体的には、来街者の集客範囲とその回遊行動を確認した上で、街の魅力を左右すると思われるサードプレイスとしての魅力的なカフェに対して、その空間分布を明らかにした。その結果、魅力的なカフェには空間的な集中分布が確認され、また他のサービス事業所と同所的な集積が部分的に確認された。
C-5-2 ジオタグ付きツイートデータを用いた地域間の感情的関係の分析
PDF 桐村 喬
ツイートデータからはユーザーの様々な感情を読み取ることができ、災害時には、被災地に対する心配の感情などがツイート上に表出される。本研究では、災害後に発信されたジオタグ付きツイートデータから、地域間の感情的な関係を把握することを試みた。2016年の熊本地震時の被災地への心配についてのツイートを抽出した結果、このようなツイートは、熊本県からの転入者が多い地域ほど多い傾向にあり、故郷とのつながりの強さが、そのような感情的関係を生じさせているものと考えられた。
C-5-3 栗東歴史民俗博物館所蔵の地券取調総絵図の局地的歪みについて
PDF 笠井 賢紀・玉川 英則・岡部 佳世・飯守 光太郎・飯田 壮一郎・高宮 圭介・花牟禮 優大・村林 颯太・中川 敦之・竹山 和弘・松本 章伸
明治初期に地券を補助する絵図として地券取調総絵図が作られた。絵図と実地図の間には歪みが生じる。本研究では両地図間のユークリッド回帰分析の残差、すなわち絵図を平行移動・回転・伸縮させても各所に現れる局地的歪みに着目した。滋賀県栗東市の栗東歴史民俗博物館に所蔵されている絵図群を分析した結果、街道や条里遺構は歪みが生じづらいが、池沼・山地および絵図の周縁部では歪みが生じやすいことが明らかになった。
D-5: 犯罪・事故 司会: 伊藤 史子 + 概要を表示 Show Abstracts
D-5-1 交通事故統計情報オープンデータを用いた京都府内のホットスポット分析
PDF 青木 和人
警察庁はオープンデータ官民ラウンドテーブルでの公開要望に応えて、全国の交通事故の発生箇所や日時等の情報として、2019年309,178件、2020年381,237件の膨大なデータをオープンデータとして公開している。そこで本研究では,交通事故統計情報オープンデータを空間データベース化し、GISによる空間分析とデータベース機能を活用して京都府内での交通事故発生状況のホットスポット分析を行う。
D-5-2 市民の認知する犯罪危害の地理的分析:47都道府県パネルデータを用いた検討
PDF 大山 智也・羽生 和紀・谷 真如・中江 百花
一口に犯罪といっても,その種別により社会に与える影響は全く異なる.最近では,これをharm(危害)と称して測り,その時空間的変動を観察する試みが行われているが,量刑の軽重による重みづけを行うのが主流である.本研究では社会調査により測定した市民による犯罪のもたらす損害の認知を利用した新たな危害指標を提案しつつ,47都道府県の15年間のパネルデータを用いて,犯罪危害の変遷とその構造的要因について検討した.
D-5-3 転移学習による空間予測の高精度化:犯罪データへの応用
PDF 村上 大輔・梶田 真実
人流、所得、貧困などに関するデータを活用した地理的犯罪予測が注目を浴びている。しかし、通常の予測手法では、犯罪データの限られた地域における高精度な予測は困難である。そこで本研究では、犯罪データが豊富な他地域からの転移学習により、データの限られた地域の空間予測精度を高める手法を提案する。提案手法では、犯罪の空間分布パターンを学習するために空間相関モデルを用い、他地域との類似傾向を学習するためにブースティングを行いる。提案手法の精度を、シミュレーション実験ならびに実データへの応用を通して検証する。
D-5-4 時間帯別滞留人口データを用いた街頭犯罪発生リスクの地理的要因の研究
PDF 足立 浩基・中谷 友樹
犯罪パターン理論や日常活動アプローチなどの環境犯罪学理論によると,周囲の人の多寡は犯罪発生リスクに影響を及ぼす.近年,比較的高い解像度で時間帯別に集計された人口データを利用できるようになり,時間帯別滞留人口と犯罪発生リスクの関係が議論されるようになった.しかし,被害者の性・年齢によって時空間的な発生状況が異なることから,性年齢階級に細分化した時間帯別滞留人口との関係を確認することが望ましい.そこで本研究では,京都府を対象にひったくりや強制わいせつといった街頭犯罪の犯罪発生リスクと性年齢階級別の時間帯別滞留人口の関係を空間統計学的に分析する.
ポスターセッション Poster Session+ 概要を表示 Show Abstracts Click the button to show/hide abstracts
P-01 スプロール市街地の定量的整理 ―埼玉県3市を対象とした比較分析―
PDF 稲垣 遥大・天野 莉緒・岡村 幸樹・菊地 穂澄・成澤 拓実・橋本 侑京・福島 渓太・細野 良子・山田 拓実・薄井 宏行
本発表では、従来曖昧に定義されていたスプロール市街地について、定量的分析を通じて特徴を明らかにした。埼玉県に存する、立地的特徴の異なる3市(さいたま市・新座市・熊谷市)を対象地として、道路網や土地利用等の物的環境を変数としてメッシュ単位でクラスター分析を行い、地域の類型化を行った。類型化の結果と市街地の経年変化の特徴に基づいて、将来起こり得るスプロール市街地での課題を整理した。
P-02 市区町村スケールにおける別荘地の立地特性
PDF 前田 一馬・夏目 宗幸
二地域居住などの居住スタイルは、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて近年注目を集めている。都市を離れた地域への人口移動やリモートワークのあり方が模索されるなかで、別荘地の利用形態にも変化が生じてきた。本研究では、以上のような新たな動向をとらえための基礎的調査として、『住宅・土地統計調査』における「二次的住宅」(別荘等)の分布から市区町村スケールで別荘地を把握し、立地特性について分析する。
P-03 毛呂山町におけるスプロール現象の分析ー農地と建物の割合に着目してー
PDF 竹内 萌恵・岡澤 由季・藤田 舞・薄井 宏行
スプロール現象とは、無秩序に拡散した住宅と農地が混在することであるが、その用語が示し得る現象は多様であり、都市によって実態はさまざまである。本研究は埼玉県毛呂山町を対象とし、市街化区域・市街化調整区域及び両者の境界での現地調査、農地の筆ポリゴン(農林水産省)とPLATEAU(国土交通省)で取得した建物データを500mメッシュ単位で分析することにより、農地と住宅の混在状況を定量的に明らかにした。
P-04 密集市街地解消の経済効果
PDF 河端 瑞貴・直井 道生・安田 昌平
本研究では、東京都を対象に密集市街地解消の効果を分析する。国土交通省の「地震時等に著しく危険な密集市街地」境界における地震リスクの不連続性に着目し、空間回帰不連続デザインを用いて密集市街地が地価(固定資産税路線価)に与える影響を推定する。道路幅員の広い密集市街地境界付近に限定したサンプルでは、推定した影響の度合いが大きく、延焼リスクの空間スピルオーバーから生じるバイアスを軽減できることが示唆された。
P-05 豪雨災害軽減を目的とした河川水位予測システムの構築
PDF 小松 彩人・金井 治樹・山本 佳世子
日本では、豪雨による水害は身近な災害ながら多くの命を奪うこともある。河川氾濫を数時間前に予測して周辺住民に警告することができれば、住民は余裕をもって避難ができ、災害軽減につながる。本研究は、機械学習を用いて、豪雨による河川水位の上昇を予測するシステムを構築することを目的とする。本研究で構築する水位予測システムにより、事前に河川氾濫の危険を察知し、周辺住民に伝えることで、彼らがより安全に避難でき、災害を軽減することができる。
P-06 深セン市の住宅地地価の空間パターンと公園緑地
PDF 丁 瑞キン・柴辻 優樹・河端 瑞貴
本研究は、中国の深セン市を対象に、公園緑地と住宅地地価の関係を分析する。分析は、住宅地地価の空間パターンの分析と、ヘドニック法を用いた分析にわけて行う。空間パターンの分析では、空間統計手法を用いて地価の高い(低い)値の空間クラスターを特定する。ヘドニック法を用いた分析では、非空間モデルおよび空間計量経済モデルを用いた地価関数を推定し、公園緑地が住宅地地価に与える影響を分析する。
P-07 豪雨災害時における避難誘導支援システムの構築
PDF 国分 弾・金井 治樹・山本 佳世子
令和元年台風19号等による洪水災害を例に、避難対象者に対して河川の避難水位に基づいた避難開始の通知や、避難先の把握が防災上の観点から有効である。 そこで、本研究は避難対象者に向けて避難水位を通知し、最適な避難所へ誘導する避難誘導支援システムの構築を目的とする。本システムは豪雨や訓練時において、ユーザーが避難先情報を取得することや、誤った避難先に向かわせないこと等、適切な避難支援を行う。
P-08 東京都の母子世帯と所得の空間クラスターと地域要因
PDF 柴辻 優樹・河端 瑞貴
本研究では、東京都における母子世帯と所得の空間分布の関連を分析する。分析は母子世帯・所得階級別の空間クラスターの特定と、それらに関連する要因の類似点・共通点の分析に分けて行う。空間クラスターはGlobal Moran's IとLocal Moran's Iを用いて空間的自己相関関係をもとに特定する。要因分析では、地域ごとの母子世帯・所得の空間分布それぞれと、居住・住民特性との関連性を、回帰分析を用いて検討する。
P-09 極値分布のパラメータの空間的依存性を考慮したMax-stable processモデルによる極値降水量の空間分布推定
PDF 幕内 加南子・井上 亮
極端な気象現象の分析には,データの極大値の分布を表す極値統計が用いられてきた.また,複数地点で観測されたデータに基づく分析を行うため,極値統計を空間的に拡張し多変量極値分布として表現するMax-stable processモデルが提案され,極値分布のパラメータと空間相関構造を同時に推定できる.空間的依存性を含む気象観測データに適用すると,未観測の場所も含めた空間的な極値分布の推定が可能である.本研究では,極値分布のパラメータの空間的依存性を考慮したMax-stable processモデルによる,未観測地点の極値降水量の内挿性能を実データへの適用を通して確認した上で,空間分布の推定結果を示す.
P-10 係留気球と無人航空機を活用した災害対応情報支援システムの構想
PDF 塚本 章宏・佐原 理・三輪 昌史・山中 亮一・寺田 賢治・服部 恒太・松本 卓也
本研究プロジェクトでは、係留気球と無人航空機を活用して災害情報を迅速に取得・配信するためのシステム構築を目指している。この取り組みの特徴は、無音で長時間の定点観測が可能な係留気球と、短時間であるが一定範囲の柔軟な観測が可能な無人航空機という、それぞれの利点を活かした情報収集を行う点である。本プロジェクトの構想と実際に上空から撮影した種々のデータや実験結果をポスターで提示しながら、意見交換を行いたい。
P-11 道路条件を考慮した粘菌アルゴリズムによる避難経路探索法
PDF 藤原 伶・山本 佳世子
安全で迅速な避難を実現する方法として、粘菌アルゴリズムを用いた避難経路導出手法の活用があげられる。粘菌アルゴリズムを用いると、避難先までの最短経路だけでなく、避難先までの通行可能性を考慮した複数の避難経路も導出できる。本研究では、従来の粘菌アルゴリズムを用いた避難経路導出手法を、幅員や勾配等の道路条件を考慮するように改良する。この改良により、従来手法よりさらに安全な避難経路の提案が期待できる。
P-12 沿岸域の小都市における市街地変化と災害リスクの関連に関する研究
PDF 渡辺 公次郎
本研究では、沿岸域に位置し、津波、洪水、土砂災害の危険性がある徳島県小松島市を対象に、市街地変化に災害リスクがどのように影響したのかを分析した。1950年代から現在まで、市街地変化をデータ化し、災害リスクの影響を分析した。当初は各地区でまとまって市街地が存在していたが、中心部の土砂災害危険性がある地域や内陸部の洪水浸水域となっている農地で分散的な市街化が進んでいた。沿岸部は津波危険性があるものの、1962年の新産業都市指定を契機に工業地開発が進んできた地域であり、津波危険性の影響は小さかった。年次が進むにつれて災害危険性の影響が小さくなる傾向にあった。
P-13 高解像度な空間単位でのCOVID-19流行予測アプリケーションの開発
PDF 永田 彰平・足立 浩基・藤原 直哉・中谷 友樹
COVID-19流行が長期化する中で、感染予防と経済活動の両立には適切な感染リスク把握が重要である。しかし依然として、感染情報の多くは都道府県など粗い空間単位で公開され、身近な感染リスクと結び付けがたい。本研究では、都道府県よりも高解像度な感染情報と人流データに基づき、基準メッシュ単位で感染規模を予測する機械学習モデルを構築し、数週間先までの流行予測をマップ上で確認可能なWebアプリケーションの開発を行った。
P-14 樹木葬墓地分布の地理情報分析に基づく空間設計および利用実態の評価
PDF 今泉 優子・藤田 直子
1999年に日本で樹木葬墓地が誕生してから現在までの人々の持つ樹木葬像、全国の樹木葬の地理的特徴、空間設計・利用実態を明らかにする。樹木葬を取り上げた日本3大新聞の記事から樹木葬像の変遷をテキストマイニング分析により明らかにし、全国の樹木葬墓地と併せてGIS分析を行った。さらに、現地調査による空間設計・利用実態分析を行い、多角的視点での現状把握から今後求められる樹木葬の形を考察する。
P-15 障害者の社会交流を促進する医療薬草園と農作物園のデザイン研究
PDF Ma Ding
本研究の目的は、医療薬草園と農作物園で園芸療法を行うことが障害者の心理と体の健康を改善するかどうかを検証することであります。まず、農場の多様なデザインを通じて、障害者が手軽に農業体験できる場を作りたいです。次に、農業体験園を通じ、障害者と健常者の交流の場を設けります。お互いを理解する機会を増やします。障害者の社会交流能力を高め、社会に溶け込むことができるようにします。お互いの理解を促進し、お互いの心の健康を築きます。最後に、障害者が類型別の農業体験に参加した後、参加前後の状態調査を通じて、医療薬草園と農作物園の障害者の社会的交流促進効果の違いを比較し、障害者により適した園芸療法を見つけ出す。健常者と障害者の農業活動を通じた交流のメリットとデメリットを探る。 農業経験と雇用創出に焦点を当て、高齢者、健常者、障害者に対する農業地域の適用可能性を研究する。農業活動へのバリアフリー設計やリハビリ設計の活用についても調査する。農業活動における行動観察法を用いて、健常者と障害者の交流レベルを評価し、リハビリ期間中の障害者のイニシアチブを高める方法を検討する。また、地域の専門産業とプランテーション活動を組み合わせてプランテーションのランドスケープデザインを作り、障害者の雇用を創出したい。本研究では、高齢者、健常者、障害者が植物の命を手で育て収穫できる農業体験を提供する。本研究は、高齢者、健常者、障害者間の社会的交流を促進することによって、社会的障壁を打破し、相互理解を強化するものと信じている。本研究の結果は、障害者が社会に参加し、心身の健康を改善するためのアドバイスをする機会を増やすことができる。
P-16 Spatial Transformation of Cultural Landscape Caused by Pickle Making: An International Comparison of Yamagata Prefecture and Sichuan Province, China
PDF Sun Suxueer・藤田 直子
This study focuses on pickle making from the viewpoint of cultural landscape, by using GIS to spatially analyze the distribution of land for growing ingredients, distribution of facilities related to pickles, and distribution of individual vegetable gardens, to clarify various factors such as production, processing, people's working styles, and living landscape, and to elucidate the spatial relationship and transition of various fields related to pickle making.
P-17 街路全方位画像ビッグデータから抽出した建物外観画像に基づく汎用的な印象評価手法の検討
PDF 今出川 祐亮・沖 拓弥・小川 芳樹・趙 琛渤
建物の外観は,建物自体の印象はもちろん,街路景観にも影響を及ぼす重要な要素である.しかし,建物外観の印象を定量的に評価可能な汎用性の高い手法は存在せず,設計者の感覚や経験に依存している.そこで本研究では,車載カメラで撮影した街路全方位画像ビッグデータから,大量の建物外観画像を機械的に抽出し,これを大規模印象評価Webアンケートの提示画像および学習データセットとして用いることで,汎用性の高い建物外観印象評価手法を構築する.本発表では,データ処理や印象評価アンケートに関する基礎的な検討結果を報告する.
P-18 Spatial Analysis of Care Farm Landscapes to Facilitate Agriculture-Social Welfare Cooperation by Using ArcGIS
PDF Tian Zile・藤田 直子
15% of the world population and 7.6% of the Japanese population are disabled. In order for them to live together as members of a society in which physical and social segregation has been removed, 'Agriculture-Social Welfare Cooperation' is being considered as a means of social participation. In this study, the spatial characteristics of the care farm landscape are analyzed using ArcGIS in order to elucidate the present condition and issues of care farms across Japan that are involved in the Agriculture-Social Welfare Cooperation. Furthermore, based on the results of the analysis, design methods for care farm environments and landscapes that are easy for people with disabilities to work in are considered from a spatial perspective.
P-19 パノラマ画像を用いた空間構成要素による都市の類型化
PDF 西尾 尚子
本研究では、街路景観の特徴を空間構成要素から抽出し分類することで、街づくりに資する知見を得ることを最終的な目標としている。そのためにまず、道路接続状況や周辺地物の影響による異なる空の開け方を天空図形状と定義し、その分類を行う。その上で、街路景観によって都市を類型化し、地図上に可視化することで、その空間的分布から都市の特性を明らかにする。
P-20 旧高旧領取調帳と農業集落境界データによる近世村領域推定
PDF 本田 謙一・夏目 宗幸・根元 裕樹
本研究では『旧高旧領取調帳』と農業集落境界データを用いた簡易な近世村領域の復元手法を考案した。全国へ適用し手法の課題を抽出した。はじめに、旧高旧領取調帳の村の位置を推定し、空間結合により農業集落境界と突合した。本手法を全国に適用し、詳細には把握が困難であった藩領分を農業村落境界の単位で作成した。また、近世村と農業集落の対応関係や適用に際しての課題を抽出した。
P-21 堆肥化活動参加者の地理的分析:小田原市の事例研究
PDF 髙橋 彩子
本研究は小田原市の市民参加型堆肥化促進事業に関して、参加登録者の地理的分布の分析と、コンポストを推進する上での課題をアンケート調査で明らかにすることである。第一に、地域ごとの参加登録者率と、世帯数、世帯密度、勤務地別人口などの相関分布と、それらのDID内外の比較分析を行う。第二に、DID内の飲食店を対象にして生ごみの排出量、現在のゴミ処理方法、コンポスト使用方法の知識等を問うアンケートを実施する。
P-22 東京都のIT企業の空間クラスターと業績
PDF 小林 知成・柴辻 優樹・河端 瑞貴
本研究は、IT企業の空間クラスターを特定し、業績との関連を分析する。IT企業の半数近くは東京に集積し、渋谷・五反田・新宿などに企業クラスターを形成しているが、こうした企業間距離の近さは、業績に正の外部性をもたらすと予想される。そこで本研究では、東京都におけるIT企業のクラスターの位置を特定し、クラスターに含まれる企業とそうでない企業での業績を比較し、企業間の距離と業績の関連性を検証する。
P-23 都道府県別にみた人口増加率の要因分解:1950~2015年―総人口の分析結果(地理的分布編)
PDF 鎌田 健司・小池 司朗・菅 桂太・山内 昌和
本研究は、1950-2015年までの都道府県別にみた総人口の人口増加率を、年齢構造要因、出生要因、死亡要因、移動要因に分解し、地理的分布として示す事を目的とする。要因分解は、全期間と期間を分割した5期間について分析を行った。その結果、年齢構造要因は2000年代を境にマイナスに転じ自然減少による構造的な人口減少に寄与し、移動要因は三大都市圏を中心にプラスの寄与であり、人口集積の地理的分布の形成に寄与したことが明らかになった。
P-24 大阪市における建物経年データの構築と都市代謝分析
PDF 奥岡 桂次郎・杉本 賢二
日本の空間建物データは数か年度にわたり整備されているが各々が独立しており、過去から積み上げられたデータとして十分な比較検討がされていない。本研究では、空間建物データ(2003, 2009, 2013, 2016, 2020)を用いて、大阪市を対象に各年度間でデータの突合を行い、経年データとして構築した。構築したデータから都市の動態について定量的に示し、土地利用政策に応じてどのような都市代謝が行われているかを分析した。都市代謝により、災害に対する脆弱性がある地域にリスクの高い建築物が分布していることや、土地価格の変化と建築物の解体・着工の関係を示した。
P-25 ビッグデータのためのローカルなオフィス賃料指数の開発
PDF 松尾 和史・村上 大輔・堤 盛人・今関 豊和
近年、時空間不動産価格指数への関心が高まっているが、既存手法の多くは計算負荷が大きく、また、適用分野も住宅市場に限定されている。本研究では、計算負荷の小さい空間可変係数モデルを援用した時空間不動産価格指数を提案し、東京オフィス市場のデータに適用することで、提案手法の有用性を検証した。検証の結果、提案手法は、計算負荷や時間方向の局所的変化を捕捉できるという面で有用であることが明らかになった。
P-26 COVID-19に伴う外出自粛が東京都の飲食店の立地に与えた変化
PDF 前平 廉・柴辻 優樹・河端 瑞貴
本研究では、新型コロナウイルス流行時に影響を受けやすい地域を、飲食店増減率の空間クラスターをもとに特定する。対象地域は東京都、空間単位は1㎞メッシュ、対象期間は2019年から2021年とする。まず、Global Moran's I、Local Moran’s I統計量を用いて飲食店減少率の高い(低い)空間クラスターおよび空間外れ値を特定する。次に、回帰分析で人流と飲食店減少率の関連性を分析する。
P-27 コロナ禍が人々の食料品の購買行動・意識に及ぼした影響
PDF 関口 達也・林 直樹・寺田 悠希・大上 真礼
本研究では2020年初頭から世界的に続いているコロナ禍に伴い、店舗の閉店や、感染リスクを避けるため等の理由で買い物環境が変化し、新たに不便や困難を有したり、身体的・精神的健康まで悪影響が出た人々を「コロナ禍による買い物弱者」と捉える。アンケート調査の結果に基づき、日常の食料品の買い物行動に関するコロナ禍前後での変化に着目する。具体的には、利用店舗の形態、店舗への移動手段、利用頻度・時間帯等、店舗の評価等のコロナ禍により変化が想定される複数の項目に分け、その変化の有無、理由について分析し、「コロナ禍による買い物弱者」の発生メカニズムについて探る。また、該当者になりやすい人々の特徴を明らかにする事で、現在も買い物に不便や困難を有する人への対策や、今後の問題の発生予防につなげる事が本稿の目的である。
P-28 『地理総合』の重要語句に基づいたGIS教材の開発
PDF 根元 裕樹・夏目 宗幸
高等学校にて『地理総合』が必履修科目として始まった。その中でも、GISに関しては、わかりやすく扱いやすい教材が不十分であるなどの問題がある。そこで、本研究では、各社の『地理総合』の教科書からGISに関わる重要語句を抜き出し、その重要語句について学習できるわかりやすく扱いやすいGIS教材の開発を行った。実際にGISを触りながら、語句の説明も確認できるため、その語句がどのような意味合いで使われているのかわかりやすい教材を開発できた。
P-29 ドローン空撮画像を用いた病害虫画像識別
PDF 岩崎 亘典・彌冨 仁・鍵和田 聡・和山 亮介・佐々木 優興・井上 康宏
発表者らは、農林水産省委託プロジェクトにおいて、国内の主要四作目を対象として、深層学習による病害虫画像識別人工知能を開発した。開発した識別器は、病害虫の被害に遭った作物の部位を大きく撮影して診断するものである。そのため、ドローン等により取得された空間情報に対して、このような画像識別が可能かどうかは十分に検討されていない。そこで本発表では、上記のプロジェクト研究で開発した識別器を用いてドローン空撮画像により取得した植物病害被害画像の識別可能性を報告する。
P-30 低価格・小型な機載RTK-GNSSとACP法を用いたUAV写真測量の高精度化
PDF 杉田 暁・井上 公・福井 弘道
本研究では、低価格かつ小型・軽量な多周波・多システム対応のGNSS受信機と、RTK測位技術、ドローン空撮技術、写真測量技術を統合して運用する方法論を構築することにより、高精度なオルソ写真や数値地表モデルを得ることを目的としている。我々の開発した精密測位の座標と空撮写真を突合する手法と、空撮の効率化を図るACP法により、高価な精密測量用ドローンを用いることなく、高精度なプロダクトを得る可能性を示した。
P-31 港湾岸壁のオルソ画像を対象としたひび割れ検知Webシステムの開発
PDF 小見 大騎・吉田 大介・亀山 智仁・上田 直生
老朽化したインフラが増加する中で、人員不足が原因で点検が追いつかないことが社会課題となっている。本研究では、点検項目の1つであるひび割れを深層学習により自動検出するシステムを開発し、点検を効率化することで前述の問題解決に取り組む。GISによる点検結果の管理が可能となるため、システムへの入力データはオルソ画像を対象とした。ひび割れの検知精度向上のため、オルソ画像を細かく分割し検知する手法を実装した。
P-32 大学生向けカーシェアリングの移動分析
PDF 草野 邦明・奥貫 圭一・永野 清仁・松井 猛・杉山 学
本研究では,群馬大学社会情報学部・情報学部と群馬トヨタ自動車株式会社が2019年から実施している,大学生向けカーシェアの共同実証実験から得られたデータについて分析を行う。具体的には,同サービス利用者の走行データから,目的地、移動距離および利用時間を分析することで,自動車保有率の高い群馬県におけるカーシェアの需要を考察する。とくに地方都市では,モータリゼーションが進展する一方,公共交通は脆弱であり,年齢や職業によって移動に対する制約が生じている。また,人口減少社会における地方自治体では,予算面・人員面の制約からシェアリングエコノミーが有用とされており,それらには移動手段の確保も含まれている。よって,カーシェアリングの利用実態を捉えることは,地域における問題解決にもつながると言える。
P-33 移動目的別にみた自動車依存度の都市圏内分布の可視化と解析:仙台都市圏パーソントリップ調査を利用して
PDF 伊藤 裕貴・中谷 友樹・埴淵 友哉・磯田 弦
現在、環境負荷の高さや、運転者の高齢化に伴う事故リスクの増加などから、自動車依存社会からの脱却が求められている。自動車依存状況は都市圏内でも一様ではなく、また移動目的によっても変化する。そのため、都市圏内部での自動車分担率の分布を可視化し、自動車に依存せざるをえない地域特性を明らかにすることで、過度な自動車依存を脱する手がかりが得られると考えられる。そこで、本研究では、自動車依存度の高い地方都市圏である仙台都市圏を対象に、第5回仙台都市圏パーソントリップ調査を用いて、都市圏内部の自動車分担率の詳細な地域差を移動目的別に可視化し、居住地域特性との関連を検討する。
P-34 国土地理院航空写真画像を利用した鉄道踏切の検出
PDF 吉田 亮太・三宅 亮一郎・田中 みなみ
鉄道において地域内外の鉄道利用者に避難誘導が求められる。そこで鉄道従事者向けのハザードマップが必要であると考えた。オープンデータを用いてハザードマップを作成する際、必要データの一つである踏切の位置情報は一般には入手できない。このことから踏切の位置情報を取得する手法として、本研究は国土地理院空中写真を用いて、鉄道の踏切部の色の違いに着目したpythonによる色検出により踏切の抽出を行うものである。
P-35 建物壁面後退距離と建物高さに対する街路幅の比(D/H)の自動計測方法
PDF 薄井 宏行
街並みの構成を評価する際に,街路沿いの建物壁面後退距離(以降,「壁面後退距離」と記す)や建物高さに対する街路幅の比(以降,「D/H」と記す.)の計測は欠かせない.ところが,壁面後退距離やD/Hを恣意性なく計測すること,高精度の建物高さのデータを取得することは困難であった.近年,高精度の建物高さをもつ3D都市モデルが「Project PLATEAU」の一環としてリリースされ,建物高さに関するデータの制約は解消しつつある.本稿では,街路沿いに1m間隔で壁面後退距離やD/Hを自動計測する方法を開発した.東京23区における複数の町丁目に適用した結果,同一街路における壁面後退距離やD/Hの多様さを可視化することに成功した.
P-36 デジタルアーカイブ「自由学園100年+」における基礎年表情報の時空間的可視化
PDF 吉川 慎平・菅原 然子・村上 民
自由学園は2021年の創立100周年を機に、デジタルアーカイブ「自由学園100年+」を公開した。主要なコンテンツとなる創立以前からの詳細な基礎年表情報について、自由学園は小規模学校ながら全国各地で教育活動が展開したという特色があり、これを効果的に表現する方法として、時間と空間を同時的かつ連続的に可視化するWebコンテンツを制作し公開した。本発表では、制作プロセスを含めた事例紹介並びに今後の課題・展望について示す。
P-37 最適化アルゴリズムを用いた鉄道代替バスの経路探索法
PDF 長岡 慧・山本 佳世子
過疎地域の人口減少に伴い、ローカル線の利用者低迷が問題となっている。鉄道が廃線となった場合には、路線バスのような代替となる輸送手段が求められる。本研究ではこのような背景にもとづき、最適化アルゴリズムを用いた鉄道代替バスの経路探索法を提案することを目的とする。まず発着駅間でバス停留所候補地を選び出し、距離、主要道路率、右左折回数などを考慮してバス経路を生成する。次に、提案した経路探索法を用いて、代替バスとして最適な経路を探索することができる。対象路線として、兵庫県中央部のJR加古川線(西脇市駅~谷川駅間)を選定した。