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10月23日 (金) 16:30~18:20
A23-1: 【企画セッション:自治体分科会】 + 概要を表示 Show Abstracts
新型コロナ禍等における位置情報を含む個人情報の取り扱いについて
オーガナイザー:青木 和人
今回の新型コロナウィルス禍に対して政府から公式に配布された接触確認アプリは、位置情報を扱わず、更に個人情報を蓄積しない方法で開発され運営されています。一方で、感染症の拡散を追跡するには、発生場所、時間、感染者の移動経路などの個人の位置情報が必要となります。
新型コロナウィルス禍だけでなく、今年も多くの被害者を出した降雨災害などの非日常的な事象に対して、自治体現場ではどこで何が起こっているのか、更にいつ、誰が、どこで、どのような支援を求めているのかがとても重要な情報となります。
そこで本セッションでは、非日常的事象において個人の移動等に関する位置情報はどこまで収集、提供できるのかについて話題提供をいただいた上で、話題提供者と参加者が、個人に関する位置情報の活用範囲やその具体的事例について意見交換するパネルディスカッションを開催し、自治体における個人位置情報の活用の可能性を探ります。
16:30 開会挨拶(和田副代表)
16:32 進行(青木事務局)
16:35 話題提供1:(仮)「感染症対応における地理空間情報の活用」公益財団法人新潟県保健衛生センター 統括医監・健診科医長 鈴木 翼 氏
16:55 提供話題を理解するための質問
17:00 話題提供2:(仮)「感染症対応における個人情報の取扱い」港区総務部情報政策課個人情報保護・情報公開担当係長、港区みなと保健所保健予防課保健予防副係長兼務 日野麻美 氏
17:20 提供話題を理解するための質問
17:25 パネルディスカッション(和田副代表)
1. 感染症対応や災害対応における位置情報化のターゲットは何?
2. 位置情報化することで期待される効果は?
3. プライバシーと個人情報に関して利用と保護の境目はどこ?
4. zoom参加者からの質問への回答
18:15 総評(小泉代表)
18:20 終了
10月23日 (金) 18:30~21:00
A23-2: 【企画セッション:FOSS4G分科会】 + 概要を表示 Show Abstracts
COVID-19における「GISと社会」を考える: 情報流通とデジタル地図における役割・課題・展望
オーガナイザー:瀬戸 寿一
COVID-19の世界規模での感染拡大に伴い、人々の行動制限や意識変化など社会的影響が高まる中で,地理情報に関する情報伝達やコミュニケーションのあり方も劇的に変化した.そこで,本セッションでは「GISと社会」というキーワードのもとで,COVID-19に関わる地理情報の視覚化や行動地理学的側面<地図・視覚化・データ分析編>,そして社会的影響の相互作用としてオンラインを前提にした教育・協働活動における実践的な取組<教育・コラボレーション編>に焦点を当て,参加者とともに議論する.
登壇者
・瀬戸 寿一(東京大学)「趣旨説明〜COVID-19地理空間情報・地図化プロジェクトまとめより〜」
・岩崎 亘典(農研機構)「COVID-19感染マップに見る地理情報可視化の利点と問題点」
・鈴木 翼(新潟県保健衛生センター)「感染症を地図に描くこと~公衆衛生の立場からの課題と展望」
・西村 雄一郎(奈良女子大学)「時間地理学と感染症〜行動履歴データの分析と可視化について考える」
・大西 宏治(富山大学)「COVID-19による子どもの登下校空間の変化:富山市のスマートシティ事業から」
・古橋 大地(青山学院大学)「オンライン授業前提社会におけるGIS教育手法の検討と実践」
・阿児 雄之(東京国立博物館)「クラウドワークによる図書館・博物館の休館動向調査:新たな全国的動向把握のかたちへ」
・近藤 康久(総合地球環境研究所)「コロナ時代の共同研究:オンラインツール利用状況調査をふまえて」
10月24日 (土) 8:30~10:10
B24-1: 災害と移動1 司会: 橋本 雄一 + 概要を表示 Show Abstracts
B24-1-1 大地震発生時における災害拠点病院へのアクセシビリティ評価
PDF 田頭 まき・大佛 俊泰
大地震発生時における人的被害の軽減には,病院や消防署から任意の地点への移動経路が確保されていることが重要である。筆者らは,これまで,緊急車両が到達困難である脆弱区域を評価可能なアクセシビリティ指標を提案してきた。本稿では,これまでに提案した指標を施設単位のアクセシビリティ評価に適用する。具体的には,東京都を分析対象地域に設定し,大地震発生時の災害拠点病院へのアクセシビリティを定量的に評価する。
B24-1-2 氾濫特性マトリックスを基にした防災対策の検証と避難行動を促すための情報整理 -大分市高田輪中地区を対象として-
PDF 大礒 伊織・鶴成 悦久・小林 祐司
近年,全国的に甚大な豪雨災害が多発している。河川防災においては,堤防整備などのハード対策は進んでいるが,ソフト対策では住民の避難意識を向上させる取り組みが必要である。本稿では,大野川に接し輪中地区である大分市高田地区を対象に,GISを用いて浸水想定区域外の避難施設・避難場所への避難に関するリスク評価と地域的課題を明らかにした。そして,地域的特性を考慮した防災タイムラインの提案を行った。
B24-1-3 浸水想定区域内における公的機関の分布状況とネットワーク解析を用いた避難施設までのアクセス性評価
PDF 山口 慎二・洪 志弦・小林 祐司・鶴成 悦久
大分県大分市を貫流する大分川・大野川においては、過去にも水害が発生している。昨今の水害をみてもその被害は激甚化しており、より早い避難行動が求められている。GISを用いて浸水想定区域内に立地する避難施設数の分布状況、ネットワーク解析を用いた避難施設までのアクセス性の課題を把握し、約半数の避難施設が浸水想定区域に含まれること、避難に要する時間には地域特性があることなどが明らかとなった。
B24-1-4 疑似的津波集団避難に関する移動軌跡データ分析
PDF 奥野 祐介・塩﨑 大輔・橋本 雄一
本研究は,移動軌跡データ収集システムを開発して集団避難に関する移動軌跡データを収集し,そのデータを分析することで,集団避難時の課題を抽出することを目的とする.そのために,スマートフォンベースの移動軌跡データ収集システムを用いて収集した疑似的津波集団避難データを用い,避難開始から避難場所に到着するまでの集団員全員の移動軌跡データを分析した.その結果,収集した移動軌跡データから,集団避難時における課題を明らかにすることができた.
B24-1-5 バリアフリー情報と防災情報を統合した移動支援システムの提案
PDF 飯野 史・阿部 昭博・市川 尚・富澤 浩樹
ユニバーサル社会の実現に向け,全国的にICTを活用した歩行者移動支援サービスの普及に向けた取り組みが進みつつある.また,東日本大震災以降,移動制約者の災害時における避難行動の支援の必要性が指摘されており,災害時に必要な情報を取得できる移動支援システムが求められている.本稿では,先行研究での課題や意向調査を踏まえ,バリアフリー情報と防災情報を統合した移動支援システムについて提案する.
C24-1: 解析理論1 司会: 薄井 宏行 + 概要を表示 Show Abstracts
C24-1-1 ベイズ推定を応用したスパースモデリングによる集積領域検出手法の提案
PDF 増田 亮・井上 亮
小地域単位で集計されたカウントデータの空間分布から集積領域を検出する手法として,スパースモデリングに着目した手法が提案されている.スパースモデリングによる集積領域検出は,各地域の共変量の影響を考慮した集積領域検出が可能であるという利点を持つ.一方で,既存の推定方法では,検出結果の信頼性を評価する上で必要だと考えられる,結果の不確実性に関する情報は得られない.そこで本研究は,地域ごとに検出結果の確率分布が得られるよう,スパースモデリングによる集積領域検出をベイズ推定の枠組みへ拡張した手法を提案する.提案手法をシミュレーションデータへ適用し,その実行可能性を確認する.
C24-1-2 ネットワーク上のオーダnのボロノイ図の実装と応用に関する研究
PDF 山本 裕貴・奥貫 圭一
この論文では,ネットワーク上でオーダnのボロノイ図を描く効率的なアルゴリズムとその実装について考える.オーダnのボロノイ図では,任意の地点について,近い順にn番目までの施設を地図上で考えることができる.その実装においては,R言語で地理空間情報を扱うためのパッケージであるsfを用いる.さらに,浜松市を事例に,道路ネットワーク上でオーダnのボロノイ図を描き,その防災計画への応用可能性について論じる.
C24-1-3 異なる空間スケールの異質性を考慮可能な分析法の提案 空間可変パラメータモデルとスパースモデリングの融合アプローチ
PDF 田 皓一朗・井上 亮
多くの空間現象は空間的異質性を有しており,その構造把握を目的とした分析が行われている.空間的異質性には様々なスケールが存在し,都市圏の不動産価格分析を例に挙げると,都心と郊外における大域的な価格形成要因の違い,ブランド地名の影響による局所的な価格構造の違いなどが存在する.しかし,この極端に異なるスケールの違いを同時に分析できるアプローチは十分に検討されていない.そこで本研究は,大域的な異質性を表現する固有ベクトル空間フィルタリング(Eigenvector Spatial Filtering)と,局所的な異質性を抽出するスパースモデリング(FusedLASSO)を融合したモデルを用いて,様々なスケールの空間的異質性の構造を分析する手法を提案する.提案モデルの挙動をシミュレーションデータで検証した後,不動産価格分析への適用例を示す.
C24-1-4 組成データのための地理的加重回帰モデル
PDF 吉田 崇紘・村上 大輔・瀬谷 創・堤田 成政・中谷 友樹・堤 盛人
地理的加重回帰モデルは場所ごとの回帰係数を推定する手法として、これまでに計数データ、順序データなど様々なデータの形式に応じたモデルが提案されてきた。しかしながら、同手法を多変量の構成比からなる組成データに適用した例はごく僅かで、組成データが負う定数和制約の性質を考慮したモデルの定式化などに課題が残されている。そこで本研究では、地質学分野で検討されてきた対数比変換法を援用した組成データのための地理的加重回帰モデルを提案する。提案したモデルを米国における収入階級の要因分析に応用し、その有効性を議論する。
C24-1-5 車載動画像を用いた道路空間の深度判定の高精度化に向けたパラメータ補正
PDF 佐藤 剛・前田 紘弥・樫山 武浩・関本 義秀
道路画像中の物体サイズ推定にあたり、画像内の深度推定は重要である。深層学習を用いた単眼画像からの深度推定に関する既存研究共通の課題として、物体サイズ推定には絶対距離推定が必要であるにもかかわらず、既存研究はいずれも相対距離推定にとどまっているという点が挙げられる。本論文では、既存モデルの内部パラメータを日本の道路を走行した動画による学習で調整した上で、推定した相対深度を画像撮影カメラの傾きと高さを用いて絶対深度に修正し、単眼画像からの絶対深度推定モデルの構築・評価を行った。
D24-1: 自治体 司会: 青木 和人 + 概要を表示 Show Abstracts
D24-1-1 多次元データと外部データ連携を融合させた地方都市におけるデジタルシティ基盤の構築
PDF 瀬戸 寿一・関本 義秀・朝日 孝輔・遠藤 隆浩
本研究は,日本の地方都市における様々なアクテビティをデータを通じて視覚的に理解し,市民が協働しやすくすることを目的に,人口約5万人の静岡県裾野市・富山県南砺市を対象にオープンソースソフトウェアを用いて開発した都市のデジタルツインのプロトタイプについて報告する.扱うデータは,地図の基盤となるような静的データ以外に,3次元データや動的なデータも対象として,自治体内部にある(オープンな)データや外部の地理データも連携させることで,Webブラウザ上でシンプルに操作可能な視覚化を試みた.
D24-1-2 筆ポリゴンに対する住所・地番等のデジタル空間情報補完のためのGIS解析
PDF David Sprague・岩崎 亘典
農林水産省は全国の農地の形状を示す農地の区画情報(筆ポリゴン)を公開した。この筆ポリゴンに付与されている属性は筆毎のID番号と耕地の種類(田、畑地)のみであり、行政施策や研究に活用するために他の情報を属性として追加する必要がある。本研究では市町村がオープンデータとして公開した地番情報を筆ポリゴンに補完する空間解析手法を複数試行しつつ、異なる政策目的で作成された地番と農地データの空間的及びデータベースとしての整合性を明らかにする。
D24-1-3 地理院地図Vectorデータを用いたCADデータ出力ツールの開発
PDF 窪田 諭・松村 一保・三浦 泰夫・一氏 昭吉・北川 育夫
2020年3月に,国土地理院から全国の地理院地図Vectorが公開された.従来,CAD利用者が地図を利用するためには,GISとCADとのデータ構造の違いにより,基盤地図情報を有効活用できなかった.そこで、本研究では,CAD利用者が地図を利用して工事完成図書を作成できることを目的に,地理院地図Vectorを活用したDXF出力ツールを開発し,地理院地図と同じレイヤ構造でCADデータを利用できるようにした.
D24-1-4 ドローンにより収集した熱赤外画像と可視画像を用いた空き家分布推定手法の研究
PDF 秋山 祐樹・飯塚 浩太郎・谷内田 修・杉田 暁
本研究はドローンで収集した熱赤外画像と可視画像を用いて,空き家の分布推定を行う手法の開発を目的とする。群馬県前橋市内の空き家が分布する地域を対象に,夏季と冬季の日中と日没後に,上空から可視光および熱赤外画像の直下および斜め撮影を行った.また前橋工科大学を対象に敷地全域の3Dフルモデルの作成を行った.その結果,夜間光と冬季夜間の熱分布から非空き家判定が可能なことが確認された.また,前橋工科大学の結果から,撮影の仕方次第で広域の3Dモデリングによる高精度な空き家判定の可能性が示された.
D24-1-5 GIS活用社会への課題と一般社団法人GIS支援センター設立の意義
PDF 碓井 照子・柳川 重信・北川 育夫・松村 一保・一氏 昭・西川 啓一・三浦 泰夫・安田 晋・村尾 吉章
一般社団法人GIS支援センターは、2020年4月に発表者である10名の発起人により設立され、4月末日に一般社団法人として認可を受けた。この社団法人の発起人には、6名のGIS上級技術者がいる。GIS上級技術者の社会的活動の事例ともいえる。2000年~2002年に実施された国土交通省国土計画局モデル地区実証実験で大阪ガスの500レベル電子地図を活用した「地域空間基盤データの共有化手法に関する調査」が実施され、2002年「GIS大縮尺空間データ官民共有化推進協議会」が大阪府庁内に設立された。大学の研究者をはじめ、当時の自治体職員(豊中市、門真市、高槻市等)や、GIS民間技術者、測量士などこの推進協議会の技術的支援をボランテイアで継続してきたのが、GIS支援グループである。この活動を母体に本年4月末日に一般社団法人としての認可を受けた。その実績は、20年にわたっている。道路データの更新に関しては、道路占用調整会議システム、埋設物調査システムなどの日常業務から費用の掛からない電子地図データ更新仕組みの実践をはじめ、地理院地図を活用した災害情報共有システム・職員参照システム、学校教育における防災支援、GISを活用した地域防災マップ支援システムなど、GISを活用した地理空間情報社会づくりの活動を継続してきた。 今回、一般社団法人化を実施した意図は、現在、地理空間情報の視覚化にのみ活用されるGISが多く、働き方改革や社会変革へのGIS活用が進んでおらず、行政においても住民生活の向上を目指す意思決定支援システムとしてGISを有効に活用している自治体は少ない。 地理空間情報が拡充し、ITやネットワーク環境が大きく変化し、今こそ、働き方改革、コロナ後の社会変革へのGIS活用の推進やGIS技術者のビジネス支援が必要である。本発表では、設立の経緯や社会的意義について発表する
10月24日 (土) 10:30~12:10
A24-2: 【企画セッション:教育委員会】 + 概要を表示 Show Abstracts
2020年度初等中等教育における GIS を活用した授業に係る優良事例表彰
オーガナイザー:中谷 友樹
B24-2: 災害と移動2 司会: 小林 祐司 + 概要を表示 Show Abstracts
B24-2-1 建物内避難行動モデルおよび赤外線人感センサモデルを用いた建物内滞留者分布の推定
PDF 吉行 菜津美・大佛 俊泰・田頭 まき・沖 拓弥・伊山 潤・福島 佳浩
筆者らはこれまで,心理的ストレスに基づく建物内避難行動モデルおよび赤外線人感センサの人流に対する反応を記述するセンサ反応モデルを構築し,基礎的な分析をおこなった。本稿では,センサの挙動から建物内滞留者分布の推定を試みる。具体的には,精度を高めた建物内避難行動モデルを用いて様々な状況を想定した人流データを作成し,センサ反応モデルによりセンサ挙動を推定する。さらに,センサ反応から建物内滞留者分布を推定する方法について検討し,その精度や関係性について考察をおこなう。
B24-2-2 追従行動や災害情報の影響を考慮した地震火災時避難シミュレーションモデルの構築と避難誘導方法に関する考察
PDF 久壽米木 瞳子・大佛 俊泰
地震火災時における避難誘導の効果について避難シミュレーションを用いて検証した研究は多い。しかし、避難行動について極端な単純化や理想化がなされているものがほとんどである。本稿では、避難者の災害情報の取得や他者への追従行動の可能性を考慮した避難行動シミュレーションモデルを構築し、数名の避難者の行動が全避難者の行動にどのように影響するかについて分析する。また、避難経路の選択行動や二段階避難と人的被害の関係について分析し、合理的な避難方法について考察する。
B24-2-3 積雪寒冷都市の複合災害時における避難困難地域の空間分析―北海道留萌市の津波浸水想定域の事例―
PDF 工藤 由佳・橋本 雄一
本研究は、北海道日本海沿岸を震源とする地震で津波が発生し、かつ土砂災害など複合災害が生起した場合における避難困難地域を画定する方法を提案し、その分析から避難計画の改良の必要性について検討する。対象地域は2017年の津波浸水想定見直しによって浸水域が大幅に拡大した北海道留萌市である。同市において津波避難の障害として、同時に起こる災害や積雪期の自然環境の影響を考慮し、最適な避難計画を策定するための基礎研究としたい。
B24-2-4 モバイルビッグデータを用いた迅速な被害状況および避難者の分布推定―令和元年台風19号における長野県千曲川周辺を事例として―
PDF 折出 康輔・秋山 祐樹
近年、台風や豪雨の激甚化により、人々の生活に大きな影響を与える被害が頻発している。発災時には被害状況および避難者の分布を迅速に把握・推定し、緊急車両の手配や最適な避難経路に関する情報提供などに対応する必要がある。しかし、発災直後は情報が錯綜し被害状況の把握に多くの時間を要し、対応に遅れを生じることも多い。そこで、本研究では、令和元年台風19号により被害が生じた長野県の千曲川周辺を対象に、モバイルビッグデータを用いて、被害状況および避難者の分布の迅速な推定方法の検討を行い、その有用性を検証した。
C24-2: 解析理論2 司会: 吉田 崇紘 + 概要を表示 Show Abstracts
C24-2-1 Fused-MCPに基づく点事象集積領域検出における ハイパーパラメータ設定方法
PDF 竹本 一至・井上 亮
地域係数や隣接する地域係数の差に関するL1正則化を通して点事象の集積領域を検出する手法は,検出結果に偏りが生じることが知られている.この偏りの改善を目指してMCP関数を用いた正則化を行う手法が提案され,ハイパーパラメータ設定次第で,高い精度で集積領域を検出できることが確認されたが,ハイパーパラメータの選定方法は議論されていない.本研究はfused-MCPに基づく集積領域検出手法のハイパーパラメータ設定を,情報量規準に基づき決定することを提案する.シミュレーションデータを用いた実験を行い,4種類の情報量規準を用いた検出結果を検出力・誤検出率・偽陽性率で比較した結果,EBICに基づくハイパーパラメータ設定が適切であることを確認した.
C24-2-2 ポリゴン分割時の分割四角形のラベリングによる窓設置可能な壁の明確化を行う3次元建物モデルの自動生成
PDF 杉原 健一・沈 振江・村瀬 孝宏
これまでの研究で,電子地図上の直角建物境界線(建物ポリゴン)を四角形の集まりに分割し,それらを互いに直交する長方形の集まりまで整形し,各長方形の上に直方体形状の建物本体を配置、組み合わせて3次元建物モデルを自動生成した.この分割処理時に,分割された四角形(分割四角形)の各頂点の「ラベリング(番号付け)」を行い,分割四角形の傾きや分割四角形のどの辺で,外部のどの四角形にどのように接していたか等の「隣接情報」を取得する.本研究では,分割四角形のどの辺に壁を作り,窓やドアが設置可能な壁(WDA壁:Windows and Doors Available wall)を明らかにする手法をを提案する.「WDA壁」が不明の場合,建物の直方体を組み合わせたとき,窓と他の直方体との「不要な交差」が生じる.本研究では,こうした交差を防ぐために「WDA壁を明らかにするポリゴン分割法」による建物の自動生成を提案する.
C24-2-3 建物壁面間の距離の最大値分布と最小値分布
PDF 薄井 宏行
隣棟関係にある建物の壁面間距離(以降,「壁面間距離」と記す.)は,密集市街地等における住環境の安全性(延焼リスク)や快適性(通風,採光,遮音等)を評価するために重要である.ところが,隣棟関係の判定と壁面間距離の計測を恣意性なく行うことは難しい.本稿では,建物の位置関係に基づき壁面間距離を恣意性なく計測する方法を構築する.建物ごとに壁面間距離の最小値と最大値を計測し,地域におけるそれぞれの統計分布を明らかにする.
C24-2-4 セマンティックセグメンテーションによる不動産物件外観画像からの建物抽出: 建物構造・築年代推定への応用
PDF 小川 芳樹・沖 拓弥・陳 聖隆・関本 義秀
建物の築年代・構造データの整備は,地震被害予測を高精度に推定するために必要不可欠である. 一方で, 近年は建物外観画像も不動産会社によって蓄積され,深層学習による画像分析を利用した高精度な地物の推定手法が提案されている.そのような特定の地物のクラスを分類する深層学習モデルは, 画像をそのまま学習し分類することが可能であり,さらに, 対象とする地物だけを抽出した上でクラスを推定することで,分類精度向上が期待される.しかし,本研究のような建物を対象とした場合の特性は十分に把握されていない. そこで本研究では,不動産物件外観画像ビッグデータから教師データを作成し,これをもとに,セマンティックセグメンテーションにより画像から建物を高精度で抽出することを可能とする.また,この結果を著者らがすでに提案した築年代・構造推定モデルに応用し,セマンティックセグメンテーションを用いた場合の築年代・構造クラス別の精度検証と考察を行う.
C24-2-5 Temporal Patterns of Shopping Behaviors Extracted from PT data
PDF Wang Weiying・Osaragi Toshihiro
Temporal characteristics of people’s daily behaviors, such as working, shopping, socializing, visiting, and so on, are complicated. In this paper, we attempt to analyze the temporal distributions of shopping behavior as the start of studying the temporal characteristics of various activities. In this research, the joint probability distributions of the start and end time of shopping behaviors are analyzed and multiple shopping patterns are extracted. The relationships between individual shopping pattern and individual factors, including socio-demographics and daily activity sequences, are further investigated and discussed.
D24-2: 歴史・考古 司会: 田中 一成 + 概要を表示 Show Abstracts
D24-2-1 近世風景絵画史料の写実形態比較などの解析システムの構築ータブレット型風景画検証システムー
PDF 片岡 勲人・関口 敦仁
筆者らは、近世風景画の写実性と創作性を解析評価し、近世絵画独自の芸術的アプローチを明らかにすることをめざしている。その分析・検証ツールとして、現代の地理情報技術によって、風景モチーフを特定し、描かれた作品と実風景(またはCG生成した山の稜線)とを比較するタブレット型PC のインターフェース開発を試みた。このシステムを活用し、風景にかざしながら、近世風景画の構図の移動や形態変化を解析した事例を報告する。
D24-2-2 Historical LULC Change of Pre-modern Alexandria (1517-1801 CE): Geospatial analysis for Napoleonic map (1801 CE)
PDF Soliman Mohamed・Yano Keiji・Usami Tomoyuki・Imamura Satoshi
Geostrategic location exposed Alexandria to upside down change, which effect on the historical urban land use. Since, geographic discoveries movement in the end of fifteenth and early sixteenth centuries in line with the Mamluk-Ottoman struggle that ended by fallen of the Mamluk Empire and converted Egypt to be an Ottoman subordinate state, 1517 CE. As a result, Alexandria lost its historical its importance as the main harbor of world east-west trade in favor of Rosetta. This critical condition shaded the urban fabric of medieval Alexandria causing a frequent land change, which identified by the Napoleonic map (1798-1801 CE).In the age of digital humanities, remote sensing and GIS means support understating the historical attributes of pre-modern Alexandria and analyzing its urban land use change that carried out over three centuries (1517-1801 CE).Napoleonic map (1798-180 CE) identifies pre-modern Alexandria as village scale, neither that great ancient Ptolemaic capital nor the medieval main harbor of east-west world trade line that provided the main tax income of Islamic Egypt. From the perspective of availability of specialized sciences for cultural heritage studies for achieving sustainability, LULC methodology is determined in this contribution. Subsequently, that historical raster fact reflects the land use and land cover (LULC) of the pre-modern city intersected the contemporary one, which is visualized via geospatial methodology, according to the appropriated LULC systems. Hence, to reach up reasonable diagnosis for that critical historic condition, several geospatial processing, mainly remote sensing and GIS had carried out. Consequently, the Napoleonic map is considered one of the most accurate historic maps shows some deep ancient natural and human landmarks still exist so far; lead to trace the LULC. According to that, it is digitized to identify the LULC attributes, essentially the urban fabric and natural land cover, add to classification and calculation of LULC systems that interprets the urban variations of pre-modern Alexandria over three centuries of civilized collapse (1517-1801 CE).
D24-2-3 伊能図に描かれた非実測海岸線の地理的特徴
PDF 岩井 優祈・村山 祐司
伊能図は,全国の海岸線を同一の方法で測量した科学的実測図として知られる.しかし,実測(導線法による)された海岸線は全体の75%にとどまり,残りの約25%は見通し(海上引縄を含む)で描かれている.急峻な地形が続くリアス式海岸や磯浜・低湿地が広がる海岸などを実測するのは,当時の測量技術では多くの困難を伴ったと考えられる.本研究では,こうした見通しで描かれた非実測海岸線(沖縄を除く)に着目し,その地理的分布,実際の海岸線とのズレ,さらにはズレを生じさせた要因などを解明する.この目的を達成するため,本研究では,地理院地図に伊能図(縮尺1/36,000の大図)の測線を落とし込んだ『デジタル伊能図プロフェッショナル版』を利用し,海岸線のベクトルデータに対しGIS分析を施した.分析の結果,地形に注目すると,非実測海岸線の38.6%は崖,25.7%は岩石(磯浜)海岸,6.2%は湿地(田および干潟を含む)であることが判明した.ズレの程度は海岸線の形状にも依存し,湾と岬では精度に顕著な差がみられることが明らかになった.単調な直線状の砂浜海岸は総じて精度が高いことも確認できた.
D24-2-4 京都地籍図データベースを用いた明治末期土地所有者のクラスター分析
PDF 青木 和人・矢野 桂司
これまで明治末期の大都市全域における土地所有者構造は,ほとんど解明されてこなかった.その理由は、広大な地域分析のためにGISで利用できる歴史的デジタル土地データベースが存在しなかったことも一因である.そこで本研究では,デジタル復刻された1912年刊の京都地籍図データベースを用いて,GISによる空間分析とデータベース機能を活用して京都市全域での明治末期の土地所有者分布のクラスター分析を行う。
D24-2-5 玄界灘小呂島の前方後円墳型地形の測量とその可能性 -古式前方後円墳・海浜型前方後円墳との比較?
PDF 山口 哲也・小川 進・森山 聡之
小呂島は古来から玄界灘の交通の要所であったにも関わらず、考古学的調査は進んでいなかった。筆者は小呂島北部に前方後円墳のような地形を発見した。その全長は約150mに及ぶ。このような前方後円墳がわずか周囲4.3㎞の離島に存在している例はない。また、前方後円墳としては珍しく、軸が傾く特殊な形状をしている。しかし最近、島や岬など海上交通の要所に前方後円墳が造られている例がまとめられ、海浜型前方後円墳と名付けられた。また軸が傾く前方後円墳も全国で2例あることがわかった。いずれも地域最古式の古墳である。そこで小呂島の前方後円墳型地形をドローンによる形状調査した結果、このような例と比べてよくその特徴が合致しており、日本最大最古の海浜型前方後円墳である可能性が高いと考えられる。
10月24日 (土) 13:40~15:20
A24-3: 【企画セッション】マイクロジオデータ研究会(13:40~17:40) + 概要を表示 Show Abstracts
オーガナイザー:秋山 祐樹
本研究会は2011年に発足し、マイクロジオデータ(MGD:位置情報や時間情報を持つ時空間的に高精細なデータや統計の総称)の普及と利活用について産官学の有識者を中心に議論を行って来ました。MGDは既存の各種統計・空間データでは実現し得なかった、時空間的にきめ細やかな分析や計画支援等への利活用が期待されています。近年、MGD研究会はMGDに関連した研究だけでなく、「実社会での活用」にフォーカスを当てた活動にシフトしつつあります。そこで第15回なります今回は、現在も収束の兆しが見えない新型コロナウイルスの実社会への様々な影響の把握・分析がMGDにより、何がどこまでできるのか、どのような課題があるのか、また今後のウィズコロナ時代に向けて何ができて、どのようなこに取り組んでいくべきか、などについて国内外の事例を交えつつ議論を深めたいと考えています。
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・本セッションの紹介
13:40~13:50 「本セッションの紹介」
マイクロジオデータ研究会 会長
東京都市大学建築都市デザイン学部都市工学科 准教授
東京大学空間情報科学研究センター 客員研究員
秋山祐樹
・第1部:講演 空間情報・MGDを活用した国内における新型コロナウイルス対応に関する取り組み
13:50~14:10 「モバイルビッグデータを活用した新型コロナウイルスの影響把握の取り組み」
東京都市大学建築都市デザイン学部 准教授 秋山祐樹
14:10~14:30 「人流ビッグデータを活用した新型コロナウイルス感染拡大抑止と経済回復における解析について」
株式会社Agoop 代表取締役社長 兼 CEO 柴山和久
14:30~14:50 「LocationMindxPopによる新型コロナウイルス対応に関する取り組み」
LocationMind株式会社 技術部 エンジニア 宮澤聡
14:50~15:10 「マイクロな単位に基づくCOVID-19流行の時空間的推移の把握」
東北大学大学院環境科学研究科 教授 中谷友樹
・15:10~15:20 休憩(10分)
・第2部:講演 空間情報・MGDを活用した国外における新型コロナウイルス対応に関する取り組み
15:20~15:40 「タイ国のCOVID-19感染症対応―空間情報の観点から」(タイの事例)
Asian Institute of Technology (AIT)Visiting Assistant Professor 宮崎浩之
15:40~16:00 「韓国におけるスマート技術によるCOVID-19対策」(韓国の事例)
東京大学空間情報科学研究センター 特任研究員 オム・ソンヨン(嚴先鏞)
16:00~16:20 “The Basic Framework of COVID-19-related Geodata Collecting, Publication, and Disposal in the USA”(アメリカの事例)
Graduate School of Design, Harvard University, Research Associate Dr. Jihoon Song
・16:20~16:30 休憩(10分)
・第三部:パネルディスカッション 16:30~17:40(1時間10分)
・コーディネーター
マイクロジオデータ研究会 会長 秋山祐樹
・パネラー
講演者全員
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B24-3: 防災1 司会: 渡辺 公次郎 【14:00開始】 + 概要を表示 Show Abstracts
B24-3-2 航空機オブリークカメラ撮影データからの3DTin高速作成
PDF 四俣 徹・藤原 紘子・杉浦 健人・石川 佳治・神林 飛志・埋金 進一・川口 章・佐藤 俊明
大規模災害発生後に活用することを想定した、航空機オブリークカメラによる撮影データから3DTinを高速に作成できるシステムを開発する。航空機オブリークカメラは直下方向と前後左右の斜め方向の写真を同時に撮影できるシステムであり、特に斜め方向から撮影した写真は、建物の被災状況の把握などに役立つ。これらの大量の写真は多方向から撮影されていることから三次元情報を抽出することができ、これを3DTinデータとして作成することができる。実用化のための最大の課題は航空機オブリークカメラによる大量の撮影データから3DTinを作成する処理の高速化であり、内部処理の並列化による実現をめざし、実装を行っている。本発表はその概要を報告するものである。
B24-3-3 居住エリアにおける河川氾濫を想定したリスク評価と類型化および復興デザインへの展開 ー大分県大分市を対象としてー
PDF 中湖 耕平・鶴成 悦久・小林 祐司
居住推奨区域を中心とした居住エリアにおいて,河川氾濫を想定したリスク評価とその特徴・課題を明らかにすることを目的とする。大分市全域を対象に居住エリアにおける将来人口推計,現状の居住推奨区域の実態,水害リスクを考慮した類型化,特徴把握を行い,ハザードエリアを考慮した居住推奨区域設定の必要性などを示した。その結果から,事前復興デザインのための知見として,長期的視点に立ったまちのゾーニングと地域構造のあり方を考察した。
B24-3-4 人口減少と都市構造の変容が火山防災に及ぼす影響と課題把握
PDF 大野 桃菜・鶴成 悦久・小林 祐司
自然災害は都市や地域の抱える諸課題を顕在化させ,昨今の災害による被害状況を考えれば,新たな土地利用施策の提案が求められている。大分県別府市は鶴見岳・伽藍岳の火山活動により恩恵を受け発展したが,災害が考慮されないなかで市街地拡大と人口増が進んできた。別府市における人口と土地利用の変化を時空間的に把握し,相互関係について分析を行い,今後の人口減少期の都市構造と火山災害対策について考察を行う。
B24-3-5 被災可能性のある年齢5歳階級別の住民数の推定手法の比較
PDF 川向 肇・有馬 昌宏
計画規模に加えて想定最大規模の洪水浸水想定区域が新たに国土数値情報ダウンロードサービスで公開されるなど、住民の防災行動に資するデータが、国や都道府県・市区町村から計算機可読形式で公開され始めている。しかし、防災関連データの公開が進みつつあるものの、相変わらず、毎年のように各地で多数の水災害の直接、間接の甚大な被害が出現しており、単なる防災関連データ公開が住民の直接の危機回避行動には直結しないという問題が指摘できる。単に浸水深別で色分けした浸水想定区域図を提供しただけでは、住民に被災可能性や被災時の被害の甚大さが我が事として伝わらないからである。このような現状に鑑み、我々は住民の危機回避行動を惹起するために、住民の居住地(町丁字レベル)の被災可能性と被災想定人口を提示する防災アプリを開発してきている。本研究では、各種のオープンデータを利用し、森林地域や湖沼や傾斜角を利用して推定される急傾斜地などを推計対象地域から除外するなどの方法を検討し、浸水深別の年齢5歳階級別被災者数推計に関する複数の推計手法の比較結果を紹介する。
C24-3: 犯罪 司会: 大山 智也 + 概要を表示 Show Abstracts
C24-3-1 市民安全の確保における防犯設備の効果についての空間分析 ―加古川市の「見守りカメラ」の導入事例を中心に―
PDF 張 愛鴻・川向 肇
警察庁によると、日本の刑法犯の認知・検挙数は年々減少しているものの、日本での社会の犯罪事案に関する不安は依然として高い。また、被害者の性別・年齢別データから見ると、女性と児童の被害者数は多い。そこで、本研究では、市民生活で日常的な地域安全の確保、通学路の安全確保及び犯罪類似事案の発生を抑止するため、兵庫県加古川市で導入された防犯カメラ(「見守りカメラ」)の位置と、地域安全通報で流通した事案との空間的解析を実施した結果を紹介する。導入前の犯罪類似事案の発生状況と警察署・交番・消防署などの常時何らかの形で職員が常駐する法執行機関の所在地、および犯罪の被害者と加害者の属性、事案の発生曜日・時間帯などと、防犯カメラとの位置の関係などを含め、よりミクロな視点からの導入効果などを含め、空間的分析を行った結果を紹介する。
C24-3-2 地理的犯罪予測に基づく予測型警察活動モデルの提案:警察実務における受容可能性と効果性の両立を念頭に
PDF 中江 百花・雨宮 護
犯罪データを活用した予測型警察活動への期待が高まっているが、こうした新技術は、効果的なだけでなく現場に受容されることも重要である。そこで本研究では、警察官へのインタビュー調査に基づく警察実務の実態分析と犯罪分析に基づく地理的犯罪予測を行う.両分析結果をもとに、効果性と実務における受容可能性の両立したパトロール手法を構築する。
C24-3-3 全国における交番・駐在所の廃止・新設パターンの実態 -区市町村単位での分析-
PDF 島ノ江 彩加・雨宮 護
近年,交番・駐在所等の警察施設の統廃合が進んでいる.そこで本稿では,特に統廃合が顕著に進んだ2001~2006年の期間を対象に,全国の交番・駐在所の廃止及び新設パターンの実態を明らかにする.具体的には,数値地図25000を用いて区市町村単位で交番・駐在所の推移を把握した後,交番・駐在所総数の増減と,存続,新設,廃止の有無の二軸で区市町村を分類し,廃止及び新設パターンの実態と地域性を探る.
C24-3-4 空間加法混合モデルを用いた犯罪の地理的要因の識別・選択
PDF 村上 大輔・梶田 真実
過去の犯罪履歴、人口密度、所得といった多数の要因の中から犯罪リスクを決める重要な要因を特定することは防犯対策を検討する上で重要である。各要因からの影響は、場所毎に異なる可能性もあれば、非線形な効果を持つ可能性もある。従って、各種影響を正しく推定・識別するためのモデル選択は重要となる。そこで本研究では、各要因からの影響を、空間効果・非空間効果を含む多様な効果の中から、計算効率よく選択する方法を開発する。次に、開発手法を東京都における犯罪の地理的要因分析に応用する。最後に、同モデルを町丁目別の地理的犯罪予測に応用し、その精度を従来手法と比較する。
C24-3-5 Addressing the reverse causation between the occurrence of crimes and income distributions with an instrumental variables approach
PDF Maas Alexander・Ryo Inoue
The occurrence of crime is difficult to model due to its multifaceted nature with various effects contributing to the crime count of an area. One of these effects, and the focus of this paper, is the income distribution of the area under investigation and how changes in this distribution affect the occurrence of various types of crime in that and surrounding areas. This is done by utilizing an Instrumental Variables (IV) approach to address the reverse causation which exists between the occurrence of crime and the income distribution of the area combined with Compositional Data with a Total (CoDa with a total) to address the compositional nature of the demographic data used in the model. The results show that the occurrence of violent crimes are associated more with areas with a larger proportion of low income households while property crimes are more likely to occur in areas with a higher proportion of high income households. However the effect of neighboring areas’ income distribution is uniform across all crime types, with a higher proportion of low income households associated with increasing crime occurrences. The results make it possible to plan for a changing crime landscape by observing how the income distribution of an area is changing. This allows both private and public entities to adjust their current security measures to ensure the continued effectiveness of those measures.
D24-3: 土地利用 司会: 瀬戸 寿一 + 概要を表示 Show Abstracts
D24-3-1 旭区における街区公園の利用率に関する研究
PDF 浦中 翔・田中 一成
1980年代以降,公園を利用する人数は減少しており,その背景には電子機器の普及が挙げられている.本研究では,現代の人々のコミュニケーション空間のひとつである身近な公園について人々が積極的に利用する公園デザインの提案をめざし,街との繋がりに着目した利用について調査を行った. 対象地は旭区の街区公園とする.研究方法は,まず利用状況について調査を行い,利用率と施設の関係性について重回帰分析行った.公園内は現地調査から要素を摘出し,公園外はGISを用いて要因を摘出した.さらにこれらの分析の結果をもとに,街路からみた公園の画像解析を行い,可視率を算出し、利用率と関係が高いことがわかった。
D24-3-2 東京における都市農業の産地形成と多面的機能への展開
PDF 岸本 慧大・厳 網林
東京における都市農業は,都心から郊外にかけての都市化,台地や低地に区分される地形,歴史といった地域特性に応じて産地形成する.そこでは食料生産や雨水浸透機能などの多面的機能と,農薬や園芸栽培による環境負荷を展開するが,その地域的展開は明らかではない.本研究は,産地ごとの多面的機能と環境負荷の展開構造を明らかにするため,食料・水・エネルギー資源の利用や産出の量や分布の可視化を行う.
D24-3-3 高経年マンションの地理的分布とその集積傾向
PDF 馬場 弘樹
本研究は高経年マンションの将来地理的分布を推定してその空間的重心の変化を捉えるとともに,平米当たり販売価格,平均専有面積などに基づくマンション類型を構築し,地理的分布と対照させた.対象地は全国の半数以上の分譲マンションが立地する首都圏とし,2050年までを射程として高経年マンションの地理的分布を可視化した.これにより,どのような特質の高経年マンションが特定の地域に集積しているのかについて明らかにした.
D24-3-4 河川上流域土地利用算出プログラムの開発と公開
PDF 岩崎 亘典・稲生 圭哉・上田 紘司
国土交通省が公開している国土数値情報と、農林水産省が公開している各種統計資料を用いて、河川流路および流域の土地利用、水稲作付率等を関連付けたデータベースを構築した。さらに、このデータベースを用いて、河川上の任意の地点の上流域面積、土地利用および水稲作付率等を算出するプログラムを開発した。データベースの構築にはPostGISを、プログラム開発にはQGISを活用した。あわせて、開発したプログラムをWeb上で公開する。
D24-3-5 登記情報を用いたスキーリゾート地区における不動産の空間分析
PDF 塩崎 大輔・橋本 雄一
本研究は北海道虻田郡倶知安町字山田北部地区を対象とし、不動産登記情報をデータベース化し分析することによって、観光地区における建物および不動産所有の実態を明らかにすることを目的とする。本研究は不動産登記情報723件をデータベース化し、登記情報を収集するにあたっては、ZENRIN住宅地図の2017年度版に記載されている建物を対象とする。また災害関連地理空間情報と合わせて分析することにより、観光地区の不動産と災害リスクについて考察する。
10月24日 (土) 15:40~17:40
B24-4: 防災2 司会: 三谷 泰浩 + 概要を表示 Show Abstracts
B24-4-1 "Forecasting of vegetation based on MODIS NDVI data using Holt-Winters model: A case study of Tana River county, Kenya"
PDF Said Omar Mwana・Kawamukai Hajime
Forecasting of vegetation plays a vital role in monitoring vegetation health and identifying regions of potential vegetation deficit. Normalized Difference Vegetation Index (NDVI) indicates vegetation health and is one of the most widely used indexes for vegetation monitoring and forecasting at regional and global scale. We used the Holt-Winters Model to forecast vegetation situations in Tana River county, Kenya, using the datum of 16- days MODIS NDVI at 250m resolution during the 2000-2019 period. Root mean square error (RMSE) and mean absolute error (MAE) was calculated to evaluate the accuracy of the model. The method elaborated in this paper can be used to forecast vegetation dynamics in advance to ensure proper planning and devise methods to improve the vegetation in the region.
B24-4-2 水害常襲地におけるまちの変遷および人口減少時代の地区構造のあり方?大分市高田輪中地区を対象として?
PDF 吉本 沙穂・鶴成 悦久・小林 祐司
近年、河川流域において治水整備が進められる一方で、豪雨による水害が全国的に多発している。水害常襲地においては近代的治水事業が進んだが,災害の激甚化により,防災対策のあり方があらためて問われているといえる。そこで本稿では、大分市高田地区を対象に、まちの構造の変遷と水害リスクとの関係を明らかにし,課題を整理した。そして,人口減少下の地区構造のあり方について考察した。
B24-4-3 水害常襲地におけるまちの水害対策の特徴と課題把握 ?大分市高田輪中地区を対象として?
PDF 相川 倉健・小林 祐司・鶴成 悦久
近年,堤防整備と土地開発が進み,水害は外水氾濫から内水氾濫に変化している。今後は,激甚化する水害対策として,これまでの対策を改めて検証し,共有・継承していく必要がある。本稿では,大分市高田地区を対象に,文献やGISを用いた水害対策の特徴を有する建物調査を行い,その特徴や分布特性を把握した。その結果,水害リスクの高い地区に住む住民が多いことや輪中文化の保全・継承に関する課題を把握した。
B24-4-4 都市型内水氾濫に影響を及ぼす周辺地形の特徴について
PDF ツアン イリ・大佛 俊泰
国土地理院50mメッシュ標高データ(DEM)を基に地形指標を作成し,クラスター分析を行うことで世田谷区の地形を7種類に分類した。次に、同区における内水氾濫発生地点の周辺地形(中心メッシュと隣接する計9メッシュの地形)について分析した。微凹地、微高地、河谷低地、遷緩面および沖積低地では、同一の地形分類であっても,内水氾濫が発生した地点と発生していない地点の周辺地形には統計的に有意な差がみられた。また、周辺地形、雨水収支要因等の情報を用いて、ロジスティック回帰分析を行い、内水氾濫の発生を推定するモデルを得た。
B24-4-5 過疎地域における洪水危険性を考慮した住環境評価
PDF 渡辺 公次郎
世界各地で災害激甚化が進む中、土地利用の面からも災害への備えが求められている。過疎地域では、急激な人口減少もあり、防災に加え、地域の持続も同時に必要となる。そのためには安全であり、かつ良好な住環境の実現も重要である。本研究では、洪水危険性を考慮した住環境評価を行うことで、過疎地域における土地利用計画策定への知見を得る。対象地域は徳島県海陽町である。
C24-4: 居住・人口1 司会: 村上 大輔 + 概要を表示 Show Abstracts
C24-4-1 母子世帯の子供の空間クラスター:GISと空間パネルデータを用いた分析
PDF 安部 由起子・河端 瑞貴・柴辻 優樹
日本は、先進国の中で著しく母子世帯の貧困率が高い。本研究では、2000、2005、2010年の市区町村単位の空間パネルデータとGISを用いて、全国を対象に母子世帯の子供の空間クラスターを分析した。その結果、日本には、母子世帯の子供の空間クラスターが多数存在し、その多くは北海道と西日本に見られた。空間固定効果モデルを推定した結果、2000年から2010年にかけて、母子世帯の子供率は、所得増加が小さく、転出率の高い地域で増加したことがわかった。本研究の結果は、貧困対策や母子世帯支援政策を特に必要とする地域の特定に役立つと期待する。
C24-4-2 母子世帯の空間分布と地域特性:母と子のみの母子世帯と3世代同居母子世帯の比較
PDF 柴辻 優樹・河端 瑞貴
本研究では日本の母子世帯の空間分布について、母と子のみの母子世帯と3世代同居の母子世帯の比較及び地域特性との関連を分析する。近年の研究では母と子のみの母子世帯だけでなく、3世代同居の母子世帯が直面する困難にも焦点が当てられている。本研究ではGISを用いて、世帯構造別にみた母子世帯の空間分布の差異と、労働などの地域特性との関連性を分析する。まず、日本全国の地方自治体単位のデータを用い、母と子のみ・3世代同居母子世帯について空間分布を比較する。次に、労働市場をはじめとする地域特性と、それぞれの母子世帯の空間分布との関連性を分析する。
C24-4-3 高齢化の進展に伴う人口の将来の予測人口分布と密度の地域差の検証
PDF 王 暁華・川向 肇
現在日本が抱える大きな社会問題の一つに少子高齢化が挙げられており、高齢化に伴う人口減少地域にとって大きな課題となっている。オープンデータとして提供されている全国の小地域別将来人口推計データを活用して高齢者の空間的分布パターンを把握し、将来的の地域の人口構造とその集積状況の検討を行った結果を紹介する。より具体的には、近畿の7府県を対象地域として、高齢化率と実効老年人口密度の空間的自己相関の状況を検証し、さらに、町丁字等別の小地域領域についてのこれらの指標値を用いた2変量ローカル・モラン統計量を用いて、空間的相関関係に基づくややマクロな地域の人口の構造の変化について紹介する。これらの結果に基づき、近畿圏の将来の地域構造の姿とその課題、それに対する政策についても考察する。
C24-4-4 外国人労働者の地域経済への寄与に関する考察
PDF 古川 浩規・山本 佳世子
国及び地方自治体で検討が進められている多文化共生の取組に資するために、我が国に在留する外国人がどのような背景及び目的で在留しているかを明らかにする。そのために、我が国に在留する外国人のうち上位国出身者を例に、Natural Breaks (Jenks)を用いてその在留状況を経年で考察した。また、主な国籍別に、各国籍在留外国人数に占める外国人労働者の割合を在留資格区分ごとに調査することで地域経済との関係性についても考察した。
C24-4-5 近畿圏のニュータウンの今後の将来像に関する定量的検証
PDF 武田 茂久・川向 肇
日本の人口減少は、「少子化」によりもたらされ、少子高齢化が深刻な問題になっている。第1次・第2次ベビーブーム世代(団塊世代)ともに、高齢化に向かう中、これらの世代の世帯が集中的に居住するニュータウンでは、居住世帯の高齢化傾向が著しい。1980年代の団塊世代の典型的な核家族向けニュータウンにおいても2010年には大半の世帯で子供が独立し、夫婦のみ世帯になり、オールドタウンへと変貌しつつある。この結果、70年代から80年代開発されたニュータウンでも、将来、世帯数が減り空き家が増え、オールドタウンを突き抜けてゴーストタウン化する地域の発生が予想される。兵庫県におけるニュータウンを対象に、現状でゴーストタウン化しているニュータウンとそうではないニュータウンを明確化し、今後リノベーションのための集中投資を行うべきニュータウンの空間的特性の明確化を試みた結果を紹介する。
D24-4: 景観 司会: 片岡 勲人 + 概要を表示 Show Abstracts
D24-4-1 街路構造の類似性に着目した居住地推薦システムの構築
PDF 大塚 昇・山本 佳世子
訪れたことのない街の様子を想像することは難しいため、引越しの際に住みたい街を最初に決める、ということにも困難が伴う。本研究では人々の街選びを支援することを目的として、街同士の類似度を算出し、近しい街を推薦するシステムを構築する。東京都内の各駅から800m圏内を一つのエリアとして扱う。オープンストリートマップから各エリアの特徴量を抽出してクラスタリングを行い、その特徴を分析した。
D24-4-2 印象評価アンケートとSNSデータに基づく木造住宅密集地域の魅力分析
PDF 木澤 佐椰茄・沖 拓弥
木造住宅密集地域(以下,木密地域)は,防災上の課題の早急な解消が必要である一方で,地域特有の魅力がどこにあり,それをいかに維持していくかを検討することもまた重要である.本稿では,被験者アンケートとSNSという異なる2つのソースから得られるデータを用いて,木密地域のもつ魅力の特性を多角的に分析することを目的とする.具体的には,まず,Google Street Viewから得られる木密地域の街路画像を用いた印象評価アンケートを実施し,被験者の印象評価と地域の特徴量との関係を分析する.次に,SNSの一つであるFlickrを例に,SNSに投稿されやすい木密地域の街路画像の特徴を明らかにする.
D24-4-3 視線解析および深層学習に基づく印象評価の可能性 ―木造住宅密集地域における街路の魅力評価を例に―
PDF 沖 拓弥
本稿は,木造住宅密集地域における街路の魅力評価を例に,被験者の視線解析および深層学習に基づく印象評価の可能性について検討することを目的とする.具体的には,まず,モニタ上の街路画像の魅力を評価している被験者の視線をアイトラッカーで計測し,被験者の注視傾向と魅力評価の関係を分析する.次に,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた魅力評価推定モデルを構築し,街路のどの構成要素が魅力評価に寄与しうるかをGrad-CAMにより可視化するとともに,被験者の注視傾向との類似性について考察する.
D24-4-4 看板の文字表現に着目した商店街の構造
PDF 松浦 達也・田中 一成
近年デジタル技術の発展により様々なタイプの看板が溢れており近年では多くのフォントが用いられている。店舗への入店には建物のファサードの様々な要素によって顧客が入店することが既に明らかであるが、本研究は店舗のファサードの要素である看板を研究対象として、シズル感を用いて、フォントとの関係に着目する。 そこで本研究は商店街などの飲食店が乱立する通りを対象地とし、シズル感のある看板の位置と通りの評価をイメージ調等により見出すことを目的とする。
10月24日 (土) 18:00~19:40
A24-5: 【企画セッション:若手分科会】学生フリーテーマ発表会2020 + 概要を表示 Show Abstracts
オーガナイザー:相 尚寿 司会:堤田 成政 表彰担当:相 尚寿・薄井 宏行・関口 達也・堤田 成政
A24-5-1 Twitterデータを用いたCOVID-19の影響によるテレワークの実態分析
PDF 下村 隼生・沖 拓弥
従来、人々の生活実態を把握するために用いられてきたアンケート調査は、詳細な情報を得ることができる一方で、十分なサンプル数を確保するには多くの時間と労力を要し、また、情報の即時性に劣るという問題点がある。そこで本稿では、多数のユーザーが投稿したリアルタイムに収集可能なTwitterデータに着目し、Twitter APIを用いて収集したデータから得られる画像やテキスト等の情報を用いて、COVID-19の影響によるテレワーク(在宅勤務)の実態を分析することを試みる。
A24-5-2 交通ビッグデータを用いた短距離の交通流動推計に関する一考察
PDF 日野 陽介
近年,交通ビッグデータを活用した都市経営が推進されているが,統計化された交通ビッグデータでは,駅勢圏(例えば1km圏域内)の移動実態が把握困難である.計測技術の進展により,例えばWi-Fiパケットセンサは約200m圏域内の端末を常時計測でき,他のデータと組合せることで駅勢圏の移動実態を推計できる可能性がある.本研究は,複数の交通ビッグデータを用いた駅勢圏における移動実態の推計手法を考案する.
A24-5-3 交通事故の重傷死亡率が高い交差点の特徴分析
PDF 和田 吉史・浅見 泰司・樋野 公宏
交通事故は日本における大きな課題であり、この問題に限られた予算で対応するためには危険箇所の特定が必要である。しかし交通事故の危険性を表す指標の一つである重傷・死亡率についてはどのような場所でその値が高くなるか十分な研究が行われていない。本研究では京都市の四叉路を対象に負の二項回帰分析を行い、交差点における道路構造や周辺施設が交差点の重傷・死亡率とどのように関係しているか分析を行った。
A24-5-4 言葉の壁がない観光ナビゲーションシステム
PDF 佐々木 諒・阿部 真也・山本 佳世子
外国人観光客の増加が予想され,観光システムの多言語化が進められているが,多言語化によって十分な数の言語を網羅することは難しい.そこで国内外からの来訪者が効率的に観光することを支援するために,言葉の壁がない観光ナビゲーションシステムを開発した.システムの特性として,仮想空間では画像やピクトグラムを利用した観光スポットの検索を行い,実空間ではARを利用してピクトグラムをマッピングして現地案内を行う.
A24-5-5 駅勢圏の決定要因に関する分析~2時点比較からみる空間分布の変化~
PDF 藤松 駿・浅見 泰司・樋野 公宏・薄井 宏行
駅周辺の土地利用変化や交通体系変化が駅利用者の空間分布にどう影響するのかを目的とした研究である。対象地域を東京の多摩地域とし、PT調査に基づき2時点で駅勢圏を推定することにより分析を進めた。分析の結果以下の3つを結論づけた。まず土地利用変化の影響が交通体系変化の影響よりも大きく年々この傾向は強くなっていること、次に駅勢圏の空間分布パターンにより類型化が可能であること、最後に駅や地域によって駅勢圏の決定要因は異なることである。
A24-5-6 地理的環境を用いた犯罪予測モデルの地理的移転可能性
PDF 足立 浩基・中谷 友樹
近年、将来の犯罪発生場所を予測する技術(犯罪予測)が国内外で盛んに研究されているが、1つの地域で限定的に検証されている場合が多い。実際は、地理的環境の分布や犯罪発生パターンは地域により異なるため、例えば市街地と農村地域の予測モデルはそれぞれの環境に特徴的な犯罪発生パターンを捉えると考えられる。本研究では警察署レベルのさまざまな地域で地理的環境に基づく犯罪発生の予測モデルを学習し、地域間における学習結果の移転可能性を議論する。
10月25日 (日) 8:30~10:10
A25-1: 【ハンズオンセッション】 + 概要を表示 Show Abstracts
クラウドGIS体験
オーガナイザー:土田 雅代
インターネットの接続環境があれば、どこでも、どの端末でも利用できるクラウドGISであるArcGIS Onlineを使ってWebマップの作成、ArcGIS Online Appsなどを体験していただきます。各自インターネット接続可能なPCおよびタブレットのどちらかをご用意ください。PC利用をお勧めいたします。必要なライセンスは弊社にて用意します。
お申込み先:土田 masayo_tsuchida@esrij.com
B25-1: 教育 【9:10開始】 司会: 米島 万有子 + 概要を表示 Show Abstracts
B25-1-3 新型コロナ禍における北海道のGISコミュニティ活動
PDF 三好 達也・橋本 雄一
新型コロナウイルス(COVIT-19)により、セミナーなどの人を集めて行うイベントに制限がかかる社会情勢となった。GISコミュニティの活動もまた影響を受けており、中止や延期などが相次いでいる。本研究では、GISコミュニティの直近における活動状況の傾向を分析し、著者が行ったオンラインセミナーや、他組織のヒアリングをもとに、アフターコロナ時代のGISコミュニティのあり方を考察する。
B25-1-4 日本版WorldMapの構築と日本版MapWarperとの連携:日本の古地図研究への活用を事例として
PDF 今村 聡・鎌田 遼・矢野 桂司
これまでの研究成果である古地図ポータル,および日本版MapWarperの構築によりオンライン上で5,000枚以上の古地図の閲覧およびジオリファレンスが可能となった。しかし,日本版MapWarperで扱えるのはラスタ形式のみであり,ベクタ形式のデータを作成し,管理,閲覧,共有することはできない。そこで本研究では,ハーバード大学CGAがオープンソースソフトウェアであるGeoNodeをベースに構築したWorldMapの日本版インスタンスを立ち上げ,オンライン上でラスタとベクタの両形式による分析を可能にすることを目的としている。
B25-1-5 ライフサイクル思考に基づく環境学習支援システムの構築
PDF 白土 晶・山本 佳世子
現代社会において高度にブラックボックス化した技術・システムを利用する我々は、日常の消費行動や生産活動とそれを支える自然環境とが密接につながっているという意識が希薄である。環境問題が深刻化する中、日常の行動と自然環境とのつながりを再認識させる環境教育の重要性はますます増していくものと考えられる。また近年、環境教育の現場においては、学習プログラム中にライフサイクル思考を取り入れる試みが広まっている。しかし多くの学習プログラムは教師による対面授業の形式で、時間・空間的に自由な学習が可能な事例、またはそれを支援するようなシステムを構築している事例は極めて少ない。本研究は以上の背景を踏まえて、ライフサイクル思考に基づく環境学習支援システムを構築することを目的とする。Web上で、飲料水の利用形態からCO2排出量を定量的に算出できるライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment : LCA)アプリケーションを構築し、さらにそのアプリケーションを用いた演習形式で学習を進めるe-ラーニングシステムを構築する。演習後には、各利用者の行動変容を促すために、市町村を1か所選定し、CO2削減計画書を作成してもらう。この計画書の対象市町村はWeb-GISを用いてマッピングし、地域ごとの計画書の特性を分析する。
C25-1: 観光 司会: 藤田 直子 + 概要を表示 Show Abstracts
C25-1-1 拡張現実とピクトグラムを利用したナビゲーションシステムの構築
PDF 佐々木 諒・山本 佳世子
携帯情報端末の普及により,観光している間に自分の訪れたい場所を調べることが容易になった.一方で,土地勘やその土地の知識がない場所では,目的地までの道や方角が分からなくなるといったことが起こりえる.さらに,訪れている場所の土地勘がない人は,災害に見舞われた場合に利用する避難場所の位置を把握することが困難な場合が考えられる.そのため,観光地の案内や情報を提供するだけでなく,防災施設の情報を提供し,移動を支援する手段が必要である.本研究の目的は,拡張現実とピクトグラム,GISを組み合わせ,平常時から災害時の移動を支援することを目的としたナビゲーションシステムを構築することである.本システムの対象地域を東京都調布市とし,システムの要件として,1) 位置情報と拡張現実を用いて目的地や周辺施設の方角が表示されるようにすること,2)システムで表示される地図を変更できるようにすること,3)ピクトグラムと拡張現実と組み合わせ現実世界に重なるように画像が表示されることの3点を実装する.拡張現実とピクトグラムを組み合わせることで,利用者はピクトグラムによって表示された場所がどのような場所なのかを直感的に理解できるだけでなく,目的地の方角がリアルタイムで表示されるため,目的地までの位置を把握することができる.さらに地図を変更することで災害時に利用できる施設の情報も取得することができる.
C25-1-2 利用者の訪問頻度を考慮した観光スポット推薦システム
PDF 加藤 雄大・山本 佳世子
高度情報化により誰もが容易に情報の送受信を行えるようになり、インターネット上では多種多様かつ大量の情報が得られるようになった。これらは観光情報においても同様であり、観光客は情報の取捨選択をする必要が生じてしまい、自身の目的に適合した情報を収集することが困難となっている。人気の観光地においては、初訪問者やリピータなどの訪問頻度の異なる観光客が数多く訪れており、また先行研究で訪問回数の異なる観光客は訪問目的の観光スポットに違いがあることが明らかにされていることから、観光客の訪問頻度を考慮し、適切な観光スポット情報を提供することが重要である。 本研究では、利用者の訪問頻度を考慮し、初訪問者およびリピータの両者の観光支援が可能な観光スポット推薦システムを構築することを目的とした。本研究ではWeb-GIS、SNS、推薦システムを統合した観光スポット推薦システムを設計・構築し、特に知識ベース型推薦と協調型推薦の2種類の推薦手法を用いることで、訪問頻度の異なる利用者それぞれに対応した観光スポットの推薦を行った。運用対象地域には神奈川県鎌倉市を選定し、運用対象地域内外の人々を対象に約6週間の運用を行った。その結果、本システムは訪問頻度の異なる利用者に利用して貰うことができ、アンケート調査やアクセスログ解析の結果から、2種類の推薦手法を用いた観光スポット推薦システムが訪問頻度の異なる利用者の観光支援に有効であることが明らかとなった。
C25-1-3 関西のAirbnbの料金に関する空間分析の試み
PDF 周 亮・川向 肇
COVID-19の罹患者の急増まで、国土交通省をはじめとするVisitJapan政策などもあり、日本における海外観光客は急増した。しかし、その急増の背景には、従来高価格で設定されてきた日本の宿泊市場への代替的手段が、Airbnbによって提供されてきた部分もあると考える。 本論文では、筆者らが独自に収集した関西圏のAirbnbに登録されたデータを用い、反吐ニックアプローチによるAirbnbの物件の設定価格が、どのような要因によっているのかについての分析結果を紹介する。より具体的にはAirbnbで宿泊サービス提供者が提示している各種物件情報などとオープンデータとして提供されている観光施設や集客施設、駅やバス停などの公共交通機関までの距離などを用いた、Airbnbの料金構造の分析結果とCOVID-19罹患者の増加に伴う各種政策とAirbnb価格への影響などの分析結果について紹介する。
C25-1-4 「観光地戦略マップ」の可視化 ――口コミ・レビューデータを用いた観光地選好空間モデル――
PDF 鈴木 英之
本報告は、旅行者によって記述された口コミ・レビューデータを多次元ベクトル化することで、観光地に対する認知空間地図を作成し、そこに人気度・満足度等、選好度の次元を加えて選好空間モデルとし、地域観光戦略策定に資する「観光地戦略マップ」の可視化を試みた。
C25-1-5 クラウドGISを活用した地域密着型のマイクロツーリズム -afterコロナの時代に向けた新しい観光のあり方-
PDF 原 雄一
2019年までは観光公害という言葉で、有名な観光地に人や車が集中することに起因する環境上の問題が指摘されてきた。2020年以降、新型コロナウィルスが蔓延し、観光公害にさらされてきた地域は激変した。インバウンドはもちろん、国内からの観光客もほとんど見かけることはなくなった。今度は経済上の問題が深刻となり観光公害ではなくなった。コロナとの付き合い方を模索する中で、afterコロナの時代に向けた社会の展望が始まってきている。観光もその一つであり、有名な観光地に大勢が押し寄せるタイプのツーリズムは敬遠される可能性が高い。個人あるいは少人数で、経費をかけずに近場を回り、ソーシャルディスタンスを保ちながら、これまであまり注目されてこなかった地元の地域資源に目が注がれることに関心が高まる。このようなafterコロナの時代に向けて、本稿では大阪24区を例にあげ、クラウドGISを活用した地域密着型のマイクロツーリズムの仕組みと利用の仕方を解説する。
10月25日 (日) 10:30~12:10
A25-2: 【ハンズオンセッション】 + 概要を表示 Show Abstracts
ArcGIS API for Python体験
オーガナイザー:土田 雅代
ArcGIS API for Pythonは、WebGISを活用してマップと地理空間データを扱うためのPythonベースのAPIとなります。本ハンズオンセッションでは、ArcGISS API for Pythonのコンセプトをご紹介し、実際に簡単な操作を体験いただきます。各自インターネット接続可能なPCおよびタブレットのどちらかをご用意ください。PC利用をお勧めいたします。ハンズオンセッションに必要になるライセンスは弊社にて用意します。
動作環境は、こちら https://www.esrij.com/products/arcgis-api-for-python/environments/
お申込み先:土田 masayo_tsuchida@esrij.com
B25-2: 公共交通 司会: 小川 芳樹 + 概要を表示 Show Abstracts
B25-2-1 首都圏鉄道路線の朝の通勤時間帯におけるCOVID-19の感染拡大による遅延要因の変化
PDF 大島 圭祐・山本 佳世子
首都圏の鉄道路線には通勤による激しい混雑が存在し、それにより遅延が発生することがあるが、その遅延の発生頻度は路線により大きく異なっている。また、COVID-19の感染拡大を受けて、企業ではオフィスへの通勤を避けてテレワークを推進するなど、生活様式の変化が起こっており、それにより首都圏の鉄道の利用状況も変化しつつある。 以上の背景に基づき、本研究では、遅延の多い路線や遅延の少ない路線に共通する特徴から遅延の要因を発見し、首都圏鉄道路線の遅延の発生要因を把握することを目的とする。各鉄道事業者の発表する遅延発生状況のデータを、各路線の設備やダイヤグラム、乗降客数などのデータと合わせて統計解析を行い、遅延の発生に影響を与える要因を明らかにする。また、CONID-19の感染拡大前後の遅延に影響を与える要因を比較することによって、COVID-19の感染拡大による鉄道の利用状況の変化を分析する。
B25-2-2 鉄道駅構内における歩行環境や個人属性が迷いやすさに及ぼす影響
PDF 河村 優介・沖 拓弥
迷いにくい建築空間を計画することは,歩行者の快適性や移動円滑性などの観点から重要である。本稿は,大規模ターミナル駅であるT駅を例に,歩行環境や個人属性が迷いやすさに及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。具体的には,まず,T駅構内で歩行者の観測調査を実施し,サインの位置や個人属性などの静的要因が迷いに起因する立ち止まりに及ぼす影響を分析する。次に,歩行中の空間構成要素の注視傾向をモデル化することで,動的に変化する視認情報と立ち止まりの関係を示す。
B25-2-3 都市地域における任意の地点の事業所、従業者の集積と鉄道駅数の関係の分析
PDF 小西 純
先行研究において事業所や高度人材の集積は生産性と正の相関があることが知られている。本研究では、任意の地点における事業所、従業者数の可住地による密度を算出し、同じ地域範囲の鉄道駅数を独立変数として回帰分析を行う。平成26年経済センサス-基礎調査の地域メッシュ統計データを用いて、移動窓法(窓:バンド幅3000mの円とする)により任意の地点の従業者密度と鉄道駅数を計算し、東京圏における従業者密度と鉄道駅数の相関係数を計算すると0.79であり、両者には強い相関関係がある。本研究では回帰分析により鉄道駅数との因果関係について検討し、事業所、従業者の集積の条件について考察する。大会当日は平成28年経済センサス-活動調査のデータを利用した結果について報告する。
B25-2-4 エージェントベースドモデルによる公共交通網が都市構造に及ぼす影響の検討
PDF 瀧宮 健介・磯田 弦・中谷 友樹・埴淵 知哉
人口減少及び高齢化が進行する日本の諸都市において、アクセシビリティ効率化のための人口集約が求められている。こうした都市のコンパクト化を実現するための大きな柱の一つとして、都市内公共交通の活用が挙げられる。そこで、本研究では、ある仮想的な都市において、空間的相互作用モデルを用いて都市内部の公共交通網を考慮した人口分布及び雇用分布を求めるシミュレーションを行い、公共交通網が都市構造に及ぼす影響を明らかにする。
C25-2: 居住・人口2 司会: 河端 瑞貴 + 概要を表示 Show Abstracts
C25-2-1 日本の人口移動による地域の吸引性の測定
PDF 小坪 将輝・中谷 友樹
地域の吸引性を測る、すなわち、より多くの移動者を引き付ける地域及びその要因を明らかにすることは人口移動の説明や予測において重要である。移動者数から測れる指標としては一般に転入者数や純増加数といったものが挙げられるが、これらはその地域と周辺の地域との地理的関係を考慮していない。本研究では日本の人口移動を事例として、空間的相互作用モデルを基に地域間移動者数と移動距離を用いて地域の相対的な魅力を測る枠組みであるRelative Intrinsic Attractivityを応用し、地域の吸引性を測るとともにその要因を検討する。
C25-2-2 社会・建造環境を含めたジオデモグラフィクスの拡張
PDF 植田 雄登・中谷 友樹・磯田 弦・埴淵 知哉
健康地理学や犯罪分析研究の領域では、年齢や所得等の個人の属性に加え、各種施設へのアクセスといった近隣環境が、健康や犯罪被害のリスクに関連していると指摘されてきた。そこで本研究では、ジオデモグラフィクスを拡張し、居住者属性とともに近隣の社会・建造環境の指標群を含めた小地域類型を作成する。
C25-2-3 地域を構成するクラスター:気仙沼市唐桑町屋号電話帳を用いたネットワーククラスター分析
PDF 岡部 佳世・一谷 和希・結城 和佳奈・徳永 景子・前橋 宏美・伊藤 香織・高柳 誠也・旦 まゆみ
本研究は,地域のコミュニティーを形成するクラスターの空間構成について,3種類のクラスター分析を適応し,比較検討することを目的とする.ここで3つのクラスターとは,(1) 「唐桑町屋号電話帳(2002)」に記載されている既存の「隣組」クラスター,(2)道路ネットワーク上で最近隣距離法を用いて算出・形成される最近隣距離クラスター,(3)パラメトリックな道路ネットワーク近隣距離を用いて算出される階層クラスターである. 使用したデータ源である「唐桑町屋号電話帳」は,「隣組」単位ごとに,氏名,屋号,電話番号,住所からなっており,唐桑半島における,東日本大震災前の地域の姿が記録されたデータである.
C25-2-4 人口増加に寄与する住環境要因の日韓比較 - 東京都市圏とソウル都市圏の比較 -
PDF 相 尚寿・嚴 先鏞・張 珉瑛
本研究では、東京都市圏を対象に開発された住環境得点の概念をソウル首都圏に適用し、両者の差異を議論する。住環境得点は、小地域レベルで実際の人口増減傾向を様々な住環境指標の水準で説明できるように指標化したもので、人口減少・高齢化時代のコンパクトシティ政策の検討において定量的な判断材料になることが期待される。比較の結果、ソウル首都圏では東京都市圏と比較して人口増加に結び付く住環境指標の水準が大きく異なることが明らかとなった。
C25-2-5 全国規模の推定世帯データの高精度化に向けたモデル構築
PDF 梶原 健人・瀬戸 寿一・関本 義秀
人口減少や社会基盤施設の老朽化に伴い見直されている地方自治体の都市計画方針では、総務省が整備したものをはじめとするオープンデータの活用が求められている。精緻な計画にはデータを用いた自治体の長期的な展望の把握が不可欠であり、公共サービスの対象となる住民の動向を捉えることを重要である。そこで本研究では、国勢調査をはじめとするオープンデータから世帯エージェントを推計し、構成員、世帯の属性、居住地選択に着目した長期シミュレーションを作成し、精度を評価する。
10月25日 (日) 13:40~15:00
A25-3: 【企画セッション】 + 概要を表示 Show Abstracts
あいまいな時空間情報を分析するためのツールの開発とその応用:「あいまいな時空間情報の分析」出版記念シンポジウム
オーガナイザー:浅見 泰司
だいたいの場所,だいたいの時間というような,あいまいな時空間情報の利用ニーズは多い.ところが,その分析手法は十分に開発されていなかった.2016年度に科研費の研究課題(基盤研究A)として採択された「時空間情報の次世代分析ツールボックスの開発と応用」(研究代表者:浅見泰司(東京大学大学院教授))では,あいまいな時空間情報を分析するためのツールの開発とその応用を進めてきた.本シンポジウムでは,これらの研究成果をまとめた書籍「あいまいな時空間情報の分析」の出版を記念し,あいまいな時空間情報を分析するための代表的なツールとその応用事例を紹介する.
<プログラム>
13:40 - 13:50 浅見 泰司:はじめに(5~10分程度)
13:50 - 14:00 奥貫 圭一:空間近傍分析のためのツールボックスとその応用(10分)
14:00 - 14:10 中谷 友樹:3D-GIS環境における時空間カーネル密度推定と空間疫学への応用(10分)
14:10 - 14:20 関野 樹:あいまいな時間情報とその活用(10分)
14:20 - 14:30 矢野 桂司:あいまいな時空間情報をもつ古地図の検索と活用(10分)
14:30 - 14:40 藤田 秀之: エッジバンドリングによる空間ネットワーク可視化ツール(10分)
14:40 - 14:55 議論など(15分程度)
空間近傍分析のためのツールボックスとその応用
奥貫 圭一(名古屋大学)
この発表ではオブジェクトの近傍領域を扱う空間分析のためのツールボックスについて紹介する。「まわり」や「となり」などと表現される近傍の概念は一般にあいまいで,分析する上での難しさがある。これに対してここで紹介するツールボックスでは,バッファやボロノイ図の考え方を応用することで,近傍領域を明示的に表現してその分析を可能にしている。この近傍分析ツールボックスは,住環境の評価やミクロスケールのまちづくりに有効であろうと期待している。
3D-GIS環境における時空間カーネル密度推定と空間疫学への応用
中谷 友樹(東北大学)
3次元の時空間カーネル密度推定(3D-STKDE)は、2次元の空間分布に加えて1次元の時間次元を加えた時空間的な点密度分布面を推定する手法であり、犯罪や疾病の空間疫学研究においてホットスポットの時空間的な推移の記述に利用されてきた。その視覚化にあたっては、ボクセルデータ用の可視化ソフトウェアが必要であったが、本研究ではArcGIS Pro (ESRI)で利用可能な3D-STKDEの計算とその3次元等値面の可視化ツールを開発した。本講演では、本ツールの概要と空間疫学的な分析例を紹介する。
あいまいな時間情報とその活用
関野 樹(国際日本文化研究センター)
時間情報は、1次元であること、日付と時刻による日常的な表現をそのまま計算機上でも利用できることなどから、空間情報に比べると扱いが容易である。しかしながら、暦法の違い(例:江戸期以前の和暦)、不完全な時間範囲(例:10月頃、20世紀前半)、日付や時刻によらない時間表現(例:バブル期、戦後)など、時間情報にもあいまいさの問題は存在する。本報告では、このようなあいまいな時間情報のデータ化と処理に対応するための枠組みを紹介する。
あいまいな時空間情報をもつ古地図の検索と活用
矢野 桂司(立命館大学)
国内外にある近世以降の日本の古地図のポータルサイトを構築し、それらをGIS上で閲覧するために、オープンソースが公開されているライブラリを用いて、1)日本版Map Warperと、2)古地図ビューアのMaplatを構築した。前者は、ジオリファレンス機能を用いて、古地図を歪めることで重ね合わせを可能とするもので、後者は、古地図を歪めることなく、常に表示されている地図の中心点で現在の地図と古地図が一致するように重ね合わせを行うものである。
エッジバンドリングによる空間ネットワーク可視化ツール
藤田 秀之(電気通信大学)
大規模ネットワーク可視化の課題として、視覚的乱雑性に加え、ノード間の接続関係や、領域間の関係性の強さの読み取りにおけるエッジあいまい性(Edge ambiguity)が知られており、エッジ群を束ねて描画する可視化手法である、エッジバンドリング(Edge bundling)は有効である。ズームやパン操作を考慮した新しいエッジバンドリング手法と、これに基づくネットワーク可視化ツールについて報告する。
B25-3: 施設配置 司会: 関口 達也 + 概要を表示 Show Abstracts
B25-3-1 一般廃棄物最終処分場の立地に関する研究ーNIMBY施設の適正立地に向けてー
PDF 佐藤 瞭平・磯田 弦・中谷 友樹・関根 良平
NIMBY施設を立地する際、住民からの反対運動が起こることもしばしばある(宮川ら, 1999)が、一方で実際に被害を受ける可能性が著しく高まるわけではなく、あくまで住民の主観で不安視されているという研究結果も存在する。(羅ら, 2008)そのため、行政と住民との相互理解や合意を図るよりももっぱらNIMBY施設の適正立地を十分に考慮する方が、NIMBY施設に関しより公正な議論が期待できると考え、本研究では一般廃棄物最終処分場を題材に分析を行い、そして考察した。
B25-3-2 モバイル空間統計を利用したJリーグクラブの商圏についての分析
PDF 芥川 穂高
地域密着を理念の一つとし、様々な地域に立地するJリーグクラブは、商圏を把握することで、宣伝・広報活動を効率的に行うことができると考える。そこで本研究はJリーグの各クラブの商圏の特徴を明らかにすることで、クラブの集客戦略への示唆を得ることを目的とする。NTTdocomoのモバイル空間統計を利用し、商圏の可視化、及び傾向の分析を行う。各クラブの商圏は、クラブの立地場所・参入年によって三つの商圏の構成パターンに分類できる。商圏を一律なものとして捉えるのではなく、各々の特徴を理解した上での集客戦略が必要と考える。
B25-3-3 保育所入所状況データに基づく保育所選択行動分析
PDF 増喜 浩太郎・沖 拓弥
地域の保育施設計画を評価する上で,世帯の保育所選択行動を考慮することは重要である.そこで本稿では,まず,ハフモデルおよび積乗型競合相互作用(MCI)モデルを応用して,自治体が公開する保育所入所状況データをもとに,保護者の保育所選択行動を記述するモデルを構築する.次に,神奈川県横浜市をケーススタディとして,保育所選択行動モデルのパラメータを推定する.さらに,推定したモデルを用いて,保育所の属性や居住地との位置関係などが世帯の保育所選択行動に及ぼす影響について考察する.
B25-3-4 大都市郊外における集約型都市構造への移行に伴う食料需給のギャップ分析
PDF 中山 俊・厳 網林
大都市圏では,郊外住宅地が拡大する一方で人口減少が始まり,集約型都市構造への移行が進められている.ただしその過程では,食料品店の店舗撤退事例が数多く報告されるなど,食料需給に空間的なギャップが生じつつある.そこで本研究では,集約型都市構造への移行に伴って,どこでどのように食料需給にギャップが発生しているか,時系列データを用いて実証的に明らかにする.これまで食料需給のギャップはFood Desertsとして,ケース毎に「住民の移動能力」に関する定義や「店舗による商品やサービスの提供能力」に関する定義を用いて,特定されてきた.しかし,大都市郊外における集約型都市構造への移行に伴う食料需給のギャップは,高齢化に伴う「住民の移動能力」の低下と立地変化などに伴う「店舗による商品やサービスの提供能力」の変化が同時並行的に発生することによるものである.そこで本稿では食料需給のギャップを,Food Desertsの定義から,食料需要側の「住民の移動能力」と食料供給側の「店舗による商品やサービスの提供能力」の空間上のギャップと定義した.横浜市郊外部を対象としたケーススタディでは,「住民の移動能力」を徒歩移動能力に限定し,一方の「店舗の商品・サービスの提供力」については対象店舗をスーパーマーケットに絞って立地・品揃え・商品供給力の3点から評価した.この結果,集約型都市構造への移行が進められた駅前では食料需給ギャップが減少したが,その駅勢圏では食料需給ギャップの急速な拡大が明らかとなった.
C25-3: 移動・交通1 【14:00開始】 司会: 桐村 喬 + 概要を表示 Show Abstracts
C25-3-2 越境利用から見た都市拠点計画における広域連携の必要性評価
PDF 佐野 雅人・田宮 圭祐・鈴木 勉・大澤 義明
コンパクト・プラス・ネットワーク型の集約都市形成を目指して立地適正化計画を策定する自治体は年々増加している.しかし,市民の生活は自治体境界を越えて展開しているにもかかわらず,多くの自治体では域内での機能完結を前提としており,隣接自治体にまたがる都市拠点計画は一般になされていない.本研究では,都市拠点計画において重要な地域施設へのアクセシビリティを基礎指標とし,最近隣の施設が隣接する他の自治体となる人口を施設種類別に計測する.これにより,アクセシビリティの面から越境利用が合理的選択となる人口と移動距離を定量的に求めるとともに,拠点計画策定時に自治体間の広域連携によりアクセシビリティ向上が期待される自治体を抽出し,広域連携に基づく拠点計画策定の必要性を考察する.
C25-3-3 モバイルビッグデータを活用した新型コロナウイルス禍における人の動きの分析
PDF 三嶋 瑞季・秋山 祐樹
2020年、新型コロナウイルスの流行の影響は世界中の国々に広がっている。この影響は本国においても例外ではない。とりわけ、緊急事態宣言の発令による移動の自粛や、夜の街におけるクラスターの発生など、人の動きと新型コロナウイルスの感染拡大の間には大きな関係があるものと考えられる。そこで、本研究では携帯電話の移動履歴に関するビッグデータであるモバイルビッグデータを活用し、人々の動きの増減を分析・可視化することにより、人の移動と新型コロナウイルス拡大の関係を考察することを目的とする。
C25-3-4 オフィスワーカ行動モニタリングデータに基づくワーカ行動時空間分布推定と部署間活動量の関係について
PDF 樋上 貴大・大佛 俊泰
無線計測技術を活用して建物内の人々の位置情報を取得し,空間の使われ方や移動・滞留行動を解明しようとする研究が進められている。ビーコン端末を用いた行動モニタリングデータは,個人識別情報を活用しやすいという利点はあるものの,位置座標の精度が低いことに難点がある。本研究では,ビーコン端末から得られる位置座標を補正・補間する方法を開発し,オフィスワーカの活動を抽出することで,ワーカ行動の時空間分布を推定し,部署間活動量との関係性について考察する。
10月25日 (日) 15:20~16:40
A25-4: データ理論 司会: 窪田 諭 + 概要を表示 Show Abstracts
A25-4-1 Google Spread Sheetを利用した地理空間情報フレームワークの開発
PDF 嘉山 陽一
コンピュータでデータセットを格納し利用・共用する方法はコンピュータとネットワークの利用形態の進化によって変化をしている。地理情報システムにおいてもコンピュータローカルへのデータセットの格納からサーバコンピュータでのデータセット利用・共用。インターネットサーバによるデータセットの利用・共用。様々なインターネット地図サービスを組み合わせたマッシュアップ型地図データ利用等様々な形態で進化を続けてきた。近年は安価なクラウドを利用したデータ基盤、アプリケーション基盤が普及をしてきて、そのような基盤を利用することで低価格で高機能であり、かつ共用や公開が簡単にできるアプリケーションを簡単に作成することができる。地理空間情報を利用する場合も既存のクラウドサービスで管理や編集ができる地理空間情報用のフレームワークを作成することができれば低価格で高機能な空間情報利用基盤を作成することが可能であろう。本発表ではGoogle Spread Sheetを利用して作成した地理空間情報利用フレームワークプロトタイプについて解説する。
A25-4-2 地物の時間位相とその利用について
PDF 村尾 吉章・清野 陽一・藤本 悠・玉置 三紀夫
JIS X7108「時間スキーマ」では時間位相が規定されているが,これを実際に利用した事例はごく限られている.筆者らはこれまで,同規格に準拠して定義した編年時間参照系モデルを提示し,「編年」を時間属性として利用可能にすることの意義を明らかにしてきた.本稿では,編年を中国王朝の変遷の時間属性表現に適用し,同時に民族,部族,首都の位置など多様な属性を保持した実装例を使用して,研究者の視点に基づいた王朝間の関係性を定義する際に時間位相を用いることが有効であることを示し,時間位相のより汎用的な利用法について考察する.
A25-4-3 3次元点群データの3D Tiles化とWeb配信のパフォーマンス評価
PDF 柳下 大・嘉山 陽一
3次元点群データは、景観の表現やシミュレーション用途などでGISでも活用されるようになってきた。3次元点群データは計測密度が高いと地物の精細な表現が可能となるが、データの容量増大に比例して読み込みや表示のパフォーマンスに影響するという課題がある。特にWebで取り扱う場合は通信を介するため影響が大きく、大容量の3次元点群データをそのまま扱うことは不向きである。この課題を解決する仕組みとして、Level of Detail (LOD)という技術がある。視点からの距離に応じて読み込む点数を制御することで、表示をスムーズにする仕組みである。Webの3次元データの標準的なフォーマットの一つである3D Tilesでは、データを階層化することでLODを実現している。今回このLOD技術を用い、東京23区全域の3次元点群データを3D Tiles化し、Webブラウザで表示する検証を行った。本稿ではLODのためのデータ階層化の手順と、 Web 3Dレンダリングのライブラリごとの表示パフォーマンスの評価について解説する。
A25-4-4 ボランタリーな地理空間情報の品質評価指標としての信頼性に関する一考察
PDF 山下 潤
本報告では、ISOで定められた地理空間情報のデータ品質要素以外の品質評価指標として信頼性を用いて、ボランタリーな地理空間情報(volunteered geographic information)の品質を評価した。VGIのデータ品質を評価する際に,OpenStreetMap(OSM)データを用いた。結果として、信頼性はVGIの品質を評価する指標となりうる可能性があることを示した。
B25-4: 防災3 司会: 嚴 先鏞 + 概要を表示 Show Abstracts
B25-4-1 鶴見岳・伽藍岳の火山災害を想定した別府市の都市空間構造のあり方と課題
PDF 江内谷 万緒・鶴成 悦久・小林 祐司
大分県別府市が有する鶴見岳・伽藍岳では、ハザードマップで示されるような大規模な噴火が発生した場合、甚大な被害をもたらすことが想定される。別府市では人口増加によって居住地を拡大してきた結果、災害リスクの高い地域にも関わらず多くの人が住んでおり、大規模な噴火災害が起きた際には影響が長期化する。本稿では,別府市における現状の空間構造を把握し、被災した場合の空間構造的課題を明らかにした。
B25-4-2 土石流シミュレーションのための3次元地形モデルと動的3次元建物モデルの自動生成
PDF 村瀬 孝宏・杉原 健一・沈 振江
土石流や地滑りなどの土砂移動現象を3次元の仮想空間にてシミュレートできるシステムは国内外の研究にてほとんど見られない。筆者らのこれまでの研究で、外周線であるキー等高線から等高線群を自動作図し、それらに基づいて、3次元地形モデルを自動生成した。また、建物境界線に基づいて、3次元建物モデルを自動生成する研究も行ってきた。本研究では、3次元仮想空間内で、大量の移動要素を地形モデルに配置し、「土石流シミュレーションを行える要素群から成り立つレイヤー」を備えた3次元地形モデルを自動生成、そして、土砂移動現象を再現し、さらに、3次元建物モデルを「力学シミュレーションを行える部品」で構築し、「動的3次元建物モデル」を仮想空間に配置して、これらを使って、「土石流による3次元建物モデル倒壊などのシミュレーション」を行えるシステムを提案する。
B25-4-3 クラウドGISをベースとした応急危険度判定支援ツールの開発
PDF 阪田 知彦・石井 儀光・櫻井 洋祐
地震災害後に行われる現地調査の1つに応急危険度判定調査がある.地震で被害を受けた建築物について,その後の余震等による倒壊や落下物等の危険度を判定し,住民等に危険情報を提供することで,「人命に関わる二次災害を防止する」ための調査である.この調査は,建築士の資格を持った方等で一定の講習等を受けた応急危険度判定士が現地に赴いて実施されるものである.建築研究所では,その作業の1つである調査表への記入やその後の集計などを簡便化するための支援ツールについて継続的に研究を行ってきた.今回,マルチプラットフォーム対応をめざし,クラウドGIS上に調査表のテンプレートや集計機能を実装し,これらを公開した.本稿では,開発の経緯や,機能,訓練等での実証について報告する.
B25-4-4 都市・街路構造の定量的分析からみた火山防災と将来都市構造の検討 ?大分県別府市を対象として?
PDF 瀬井 亮太・鶴成 悦久・小林 祐司
対象地である大分県別府市は火山災害のリスクが存在し,事前に火山防災を考慮した都市計画のあり方や将来構造の検討を行っておく必要がある。本稿では,スペースシンタックス理論に基づいたAxial分析を用いて,1927年から2015年までの街路網の変遷と街路を中心とした空間構造の把握を行い,都市の中心性を検証した。その結果と人口増減率,火山ハザードマップを比較し,将来どのように都市を集約していくべきかの考え方を提示した。
C25-4: 移動・交通2 司会: 磯田 弦 + 概要を表示 Show Abstracts
C25-4-1 県レベルの疑似人流データの作成と精度評価
PDF 樫山 武浩・? 岩博・関本 義秀
人の移動を理解することは、都市計画、商業開発や災害対策において重要である。しかし、地方部をカバーし、品質が一定で、だれもが利用可能な人流データが存在しないといった課題がある。そこで、我々は、国勢調査や経済センサスなどの統計データをもとに、全国規模の疑似人流データの開発を目指している。本研究では、これまでに試作した県レベルの疑似人流データの生成手法とその精度について報告する。
C25-4-2 人々の移動状況に関する時系列データとしての位置情報付きTwitterデータの活用
PDF 桐村 喬
本研究の目的は,人々の移動状況についての時系列データとしての位置情報付きTwitterデータの活用可能性を検証することである.市区町村単位の位置情報付きTwitterデータをもとに,同一市区町村内で移動するTwitterユーザーの割合を日単位で求めた結果,COVID-19の拡大に伴う非常事態宣言時だけでなく,2019年の台風19号など,不要不急の外出を控えることが求められた時期とおおむね一致することが明らかになった.また,大型連休や帰省などによる移動状況の変化も観察できた.
C25-4-3 駐車料金体系の変更が駐車場利用に与える影響の分析
PDF 金森 亮
駐車場の精算システムがオンライン化することで,精算データを駐車場利用データとして扱うことができるようになってきた.また料金体系を変更することも容易になり,時間単価や最大料金などがある程度の頻度で実施されている.本研究では名古屋都市圏で千箇所以上の駐車場を運営されている会社の精算データを用いて,料金体系の変更を行った駐車場利用への影響に加えて,他の駐車場利用への影響を分析する.
C25-4-4 強化学習を用いた都市圏レベルの人の流れの再現手法の構築
PDF Pang Yanbo・樫山 武浩・関本 義秀
近年,人口の急激な減少と高齢化を背景として,都市政策や都市全体の構造が変化し,個人レベルら都市圏レベルまでの人の流れをボトムアップに把握することが重要である.そこで,本研究では,強化学習手法を用いて人々の日常的交通行動をモデル化し,首都圏などの広範囲における人の流れをシミュレーションすることを目的に研究を行った.さらに,シミュレーションによる作成した擬似人流データを評価し,提案手法の有効性を示した.
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P-01 都市公園における子供・女性に対する脅威事案の発生実態
PDF 蜂須 康介・雨宮 護
子供や女性に対する声かけ・つきまとい等の脅威事案は、被害者に対して身体的・精神的苦痛を与えるものであり、性犯罪への発展可能性等も示されている。子供・女性が様々な目的をもって利用する都市公園においても一定数の脅威事案が発生しており、その発生実態を明らかにする必要がある。本研究では都市公園における脅威事案の発生実態を、被害対象者別・公園の種類別に明らかにすることを目的とする。
P-02 全国区市町村における窃盗犯の確率分布:犯罪オープンデータを用いた分析
PDF 雨宮 護・大山 智也
犯罪の偏在の測定や,回帰分析等による地理的要因の検討の際,犯罪の頻度分布の背後にどのような確率分布を仮定するかは重要な問題である.しかし,既往の研究では特定の分布がアプリオリに仮定される場合が多く,実証的な検討はなされていない.本研究では,2018年公開の犯罪オープンデータを用い,全国区市町村単位で,国勢調査の小地域単位で集計された窃盗犯7手口の頻度分布に適合する複数の確率分布を比較・検討する.
P-03 新型コロナウイルス感染拡大への対応下における犯罪情勢の変化
PDF 山根 万由子・雨宮 護・大山 智也・島田 貴仁
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は,国内外に大きな社会変化をもたらした。これに伴い犯罪情勢が変化していると考えられるが,国内においては検証されていない。本研究では,国内における新型コロナウイルス感染拡大による犯罪情勢の変化を記述することを目的に,先行的な事例研究として東京都を取り上げ,東京都における2014年1月~2020年5月の月別の刑法犯認知件数を用いて,東京都全体および区市別の犯罪の傾向を検討する。
P-04 距離カルトグラムを用いた公共交通運賃の空間構造の可視化
PDF 榎本 俊祐・嚴 先鏞・鈴木 勉
公共交通運賃の低廉性は,地域の活性化やモビリティ弱者である高齢者の外出機会の確保,地球環境に優しい交通体系の維持などの観点から重要である.しかし,交通事業者による独立採算制が原則とされてきたわが国では,乗客数の減少にあわせて運賃の上昇傾向がみられるとともに,実際の運賃体系は地域によって格差が生じている.そこで, 40km圏内の市区町村代表点間移動の運賃データを用いて,出発地と目的地の組み合わせに着目しながら,距離カルトグラムを用いて現状の運賃構造の地域特性を全国的に視覚化し,公共交通運賃の空間構造を明らかにする.これにより,MaaSの概念に則ったサービス水準に基づく運賃設計のあり方を考える.
P-05 Jogging Route Selection Considering Preference of Runners
PDF Huang Yumeng・Eom Sunyong・Suzuki Tsutomu
Jogging which is effective in attenuating the risk of premature death caused by physical inactivity and obesity, became popular in cities since it is easy-to-use and low-cost. First, we analyze the characteristics of urban roads frequently used regarding POIs based on the running heat map released by STRAVA to investigate the preference of runner. Second, we set the running route patterns and distance and extract preferable routes. Third, jogging route selection is conducted based on the frequency selected. This study contributes to the design of runner-friendly roads.
P-06 京都市における観光ネットワークの空間構造に関する研究
PDF Kunyi Zhang・小方 登
観光ネットワークは、観光客が複数の出発地と目的地の間を移動する経路で構成され、観光客全体の行動パターンを反映すると考えられる。ジオタグ付き写真データの活用を通じて、京都市観光客の観光ネットワークを抽出し、ネットワーク密度、凝集的なサブグループ、中心性、ストラクチャーホールなどの指標を用いて、観光ネットワーク全体像の構造的な特徴を把握する上、各観光スポット間の競争関係及び協力関係を検討し、そのメカニズムを解明することを目指す。
P-07 都市内滞留者の時空間分布データを用いた異常検知手法について
PDF 前田 涼子・大佛 俊泰
携帯電話人口統計データを用いて,過去に発生した災害前後の都市内滞留者の空間分布を比較し,災害の発生が都市内滞留者の時空間分布に及ぼす影響についての検討が試みられている。災害発生時における避難誘導や大規模イベント開催時における混雑軽減等に迅速に対応するためには,人口統計データを事後的にではなく,リアルタイムに活用して,都市内滞留者の異常な時空間分布を即座に検知することが必要となる。本研究では,携帯電話人口統計データのリアルタイム活用を想定して,都市内滞留者の時空間分布における異常検知を行う手法について検討する。
P-08 遅延時間を含めたバスの運行状態の時空間的な可視化
PDF 笠原 有貴・中谷 友樹・磯田 弦・柴田 嶺
本研究は、2019年10月の1ヶ月間において、仙台市のバスの全ての路線について遅延時間などを計算し、可視化を行うことにより、時間的および空間的にバスの運行状態にどのような違いが見られるのかを調べることを目的とする。
P-09 多項空間スキャン統計量を用いた新型コロナウィルス型別構成の空間クラスター検出 ー全球スケールでの流行推移と遺伝子変異の検討ー
PDF 松村 玲央・中谷 友樹
空間スキャン統計量は、疾病リスクの高い空間的領域の検出を目的に開発された空間疫学における主要な統計学的分析手法の1つである。これを拡張した多項空間スキャン統計量は、カテゴリ別の患者数構成比に着目し、その構成比が特異に他の領域と異なる範囲を検出する。本研究では、この手法を用いて得られる新型コロナウィルスの遺伝子型の構成比の地域的な特徴から、全球スケールでの時空間的な流行推移を検討した。
P-10 ロゲイニングを活用した地域活性化の実践
PDF 藤田 直子
ロゲイニングという屋外活動(地図を持って地域全体に設置されたチェックポイントを徒歩や自転車で制限時間内にまわるオリエンテーリングに似たアクティビティ)を通した地域活性化の実践を報告する.つくば市は研究都市として中心市街地の発展が目立つ一方,合併前の旧町村の中心部では高齢化が進行し,活性化策が模索されている.本発表ではロゲイニングを通した「魅力の発見・発信」「イベント」「賑わい」「交流拠点」「まち歩き・マップ」の実践と効果を報告する.
P-11 大学が行う社会貢献活動の地理的マーケティング
PDF 佐藤 修一・山村 能郎
東京電機大学電子システム工学科が社会貢献活動として行っている電子工作体験教室の集客性や東京電機大学への関心度を高めるための最適な立地を分析して明らかにする研究を、様々な都市データを活用して地理情報システムを用いて行った。競争相手となる可能性のある他大学の商圏のバランスを考えながら当グループの商圏にいる潜在的な顧客がいる地域のポテンシャルを評価し、効果的なアプローチ手法を考える系統的な研究を行った。
P-12 Leafletを用いたWebGIS作成システムの改良
PDF 根元 裕樹・夏目 宗幸
近年、WebGISは、javascriptモジュールLeafletや地図タイルのWeb配信サービスによって、以前より比較的容易に作成できるようになった。筆者らは茨城県立の高校教諭の依頼を受けて、Leafletを用いたWebGISのソースを生成するシステムの茨城県版を開発し、研究発表を行った。その結果、いくつかの改良点が見つかったため、本研究では、利用できる範囲の拡大とともに機能の改修を行った。これにより、茨城県以外の地域でも利用でき、より利用しやすくWebGISを作成できるようになった。
P-13 児童の登下校の移動軌跡からみる通学行動の地域差
PDF 大西 宏治
登下校における犯罪や事故からの児童の安全安心に向けて自治体や地域住民によりさまざまな取り組みが行われている。これまで児童の登下校の空間の様態が不明なまま様々な対策が行われたがGNSSで児童の位置情報の把握が困難ではなくなった。本研究ではLPWAを活用して。児童の位置情報を集約し、登下校の実態を把握するとともに、学校区による登下校空間の差異を分析した。富山市内の小学校14校で、2019年9月~11月に調査が実施された。中心市街地と縁辺地域での下校時の空間の広がりと質的な差異は大きい。周辺地域では中心に向かう移動が多くみられ、中心部の児童にはそれがない。の活動空間が広がる傾向にあるとともに、獣害などの発生時に徒歩による登下校が不可能になる地域が少なくないため、季節による登下校環境の変化が大きい地域があることがわかった。また登下校で異なる経路を選択する児童もいることから、それらの発生要因などの分析なども必要である。
P-14 経路選択と認知マップを利用した子どもたちの空間認知構造
PDF 長谷川 亜美・釣 敦貴・田中 一成
我々が住みつづけたいと思うまちづくりをおこなう上で、子どもが魅力を感じる街を把握することは重要である。この研究では、認知地図の特性から子どもたちが魅力を感じる部分を抽出し分析することで、重要な空間要素を記述することを目的とする。研究方法は一対比較法による経路選択実験と、普段何を見ているのかを探る基本的描画法による。これらの結果から、子どもと大人の差異を抽出し、大人が忘れている空間の魅力を記述する可能性を明らかにした。
P-15 筑波大学と天塩町連携による道北過疎地再生プロジェクト
PDF 欧陽 君顔・加古 捺巳・西 美佳・高瀬 陸・大澤 義明
北海道天塩町はコストシェア型長距離ライドシェアの実証実験の先進地域である.一方,筑波大学社会工学域は次世代自動車交通基盤に関して企業と共同研究を長年展開してきた.そのような経緯から,天塩町と筑波大学都市計測実験室とは,2018/2,2018/8,2019/2,2019/8において道北地域まちづくり活性化事業を実施してきた.本ポスターでは,現場視察で構築できた幾何確率によるライドシェア理論モデル,さらには,プロモーション動画,レゴ・プロジェクションマッピング分析,天塩中学校・天塩高校とのまちづくりワークショップ,まちづくりシンポジウムなどこれまでの現場での取り組み事業を中心に紹介する.
P-16 非日常的状況下でのトイレットペーパーの購買行動・意識 - 店舗選択に関する空間分析と苦労・不便の内容把握を中心に-
PDF 関口 達也・林 直樹・寺田 悠希・大上 真礼・杉野 弘明
本研究では、2020年2月にコロナ禍に関連して発生したトイレットペーパーの全国的な買い求め現象に着目する。当時の人々の購買行動や意識に着目した状況の把握・分析を行い、今後の類似事例の発生やそれに付随する種々の問題の発生防止に寄与する事を目的とする。今回、特性の異なる国内の3地域(豊島区、金沢市、盛岡市)の住民にウェブアンケートを実施し、当時の購買行動や意識を訊ねた。本稿では、その解析結果に基づき、人々が平常時と異なりどのような店舗選択行動をしているのか、空間分析を交えて明らかにする。さらに、店舗選択に関する分析の結果や自由記述に対するテキスト解析から、人々が感じた苦労や不便に関する特性を捉えることも行う。
P-17 東京大都市圏の都心と郊外における夫婦共働き世帯の生活時間
PDF 矢部 直人
1990年代後半より東京大都市圏都心部で人口が増加したことにより,郊外とは異なる職住近接の空間に住む人が増えている。この職住近接の空間を背景として,都心部では郊外とは異なる夫婦の間の生活時間の配分がみられるのか,検討することを本研究の目的とする。本報告では,研究の途中経過を報告する。アンケートデータの分析からは,都心部で勤務時間が長い傾向があるものの,家事時間は郊外と比べてもあまり差が無く,短くなった通勤時間が勤務時間に割り当てられている可能性が示唆される。
P-18 市区町村別にみた将来の人口増加率の要因分解と地理的分布
PDF 鎌田 健司・小池 司朗・菅 桂太・山内 昌和
本研究は,国立社会保障・人口問題研究所が2018年に公表した「地域別将来人口推計(平成30年推計)」における,市区町村別の将来の人口増加率の要因分解を行う事を目的とする。人口学的な要因分解を行うことによって,将来の人口増加率を(1)基準人口の年齢構造,(2)出生率,(3)死亡率,(4)移動率の4要因に分解することが可能である。要因分解の結果を地図化することで,将来の地域人口の変動メカニズムに関する空間的特徴を明らかにする。
P-19 住宅団地における共同農園開設に伴う変化 -福岡市UR室住団地における未利用地の活用-
PDF 倉田 将幸・藤田 直子・中村 直寿
1950年代から供給されはじめた住宅団地では,住民の高齢化や団地内の未利用地の発生などの課題を抱えるとともに,コミュニティ形成の必要性が問われている。一方で、都市における共同農園は近年注目されており、農園の開設数も増加している。本研究では福岡市のUR都市機構・室住団地を対象に,団地内の未利用地として放置されていた駐車場跡地を活用して開設された共同農園の誕生に伴う様々な変化を分析し,その有用性を検討した。
P-20 立体角を用いた函館夜景の解析
PDF 幸坂 麻琴・西村 詩央里・大澤 義明
北海道函館山から見下ろす函館夜景は100万ドルの夜景と言われている.しかし,近年中心市街地での人口減少,高齢化が進み,空き家の増加など空洞化のため,暗くなっているとの指摘がある.本研究では,夜景が俯瞰景観であるという特徴に着眼し,函館山から映り込む市街地の立体角を経年比較することで,目に見える視覚量の変化を検証する.なお,本研究の一部内容が,2020年6月5日にNHK総合のおはよう日本で紹介された.
P-21 固有ベクトル時空間フィルタリングを用いた不動産価格分析
PDF 彭 湛・井上 亮
不動産価格は,時空間の自己相関を有しているため,物件属性が不動産価格に与える影響を正しく推定するためには,その相関を考慮した分析が不可欠である.本研究は,時空間相関を考慮した分析が可能な固有ベクトル時空間フィルタリングを用いて,2013年から2020年の仙台市の不動産価格を分析し,物件属性のパラメータ推定,及び,不動産価格が有する時空間相関の構造把握を行う.
P-22 九州電力管内における太陽光発電事業の立地の変化
PDF 岡澤 由季・樋野 公宏・浅見 泰司
2012年から固定価格買取制度が開始されて以来、多くの太陽光発電事業が事業計画認定を取得してきた。経済産業省が公開している事業計画認定のデータを基にGISを用いて、九州電力管内を対象に太陽光発電事業の立地特性を明らかにし、2012年度~2018年度を対象に立地の変化を分析する。その結果を基に今後の立地傾向を予測し、太陽光発電事業と地域との共生を可能にする条例などによる規制や誘導を検討する。
P-23 公共施設駅前移転は駅前の界隈性に寄与できたのか-モバイル空間統計による人出増減率の可視化-
PDF 一井 直人・佐野 雅人・浅沼 直樹・鈴木 勉・大澤 義明
土浦市では,市役所移転(2015年),図書館移転(2017年)などにより駅前の公共施設の充実化を図ってきた.本研究の目的は,2015年から2020年までのモバイル空間統計を用いて,駅前の人出の増減率を時間帯別・曜日別に可視化することで,駅前整備の効果を界隈性という観点から把握することにある.また,周辺の常磐線駅やつくばエクスプレス線駅周辺などの数値とも比較することで,人出の変化という視点から,土浦駅のつくば・土浦地域での位置づけを試みる.
P-24 COVID-19による外出抑制に伴うつくば地域の人口分布変化パターンの地区類型
PDF 根本 裕都・佐野 雅人・藤井 さやか・雨宮 護・鈴木 勉・大澤 義明
モバイル空間統計を用いて,つくば地域の年度当初の人口分布の経年変化を時間帯別・曜日別・年齢階級別に捉え,日変動パターンとそのコロナ前後の変化とから,つくば地域の小地域別の特性を類型化することを目的とする.大型商業施設,病院,大学・研究機関,各種公共施設,交通結節点,公園緑地,観光施設の立地との関係に着目しながら,COVID-19拡大防止のための外出抑制の影響が土地利用,施設立地,市街地特性,居住特性などによりどのように異なるかを把握する.
P-25 天空率と空間構成要素の関係および天空図形状による空の見え方の規定要因
PDF 西尾 尚子・伊藤 史子
空の見え方を定量的に表す天空率は、半球状に映し出される全ての空間構成要素を反映していると考えられる。本研究では、1つ目の目的として、地点の天空率と空間構成要素である幅員・傾斜等の関係を明らかにする。しかし、これらの要素が同値であっても、道路接続の状況や周辺の地物の影響により天空率は同値にはならない。そこで、2つ目の目的として、道路形状等による異なる空の見え方を天空図形状と定義しその類型化を行うことで、空の見え方の規定要因を探る。
P-26 Spatial modeling of the extreme rainfall events in the Yoneshiro-gawa Basin
PDF 燕 陳卓雅・井上 亮
Hydrological research has a long history. Because the density of the observation sites used to be too low, the data observed by a single site could only be analyzed. However, due to the increased density of the observation points nowadays, the observations at closer distances show significant spatial correlation. In response to this situation, the consideration of spatial factors to the general extreme statistics is important, and many analytical techniques have been proposed. The application of max-stable process in modelling spatial extreme events has received considerable attention, because it is able to consider both the geographic location of observation points and the correlation between observation points compared to traditional methods. This study analyzes the precipitation data from 2011 to 2016 in the Yoneshiro-gawa Basin based on the max-stable process. The study aims to understand the spatial pattern and changing trends of the climate extremes in the target area, and provide references for the development of preventive measures for floods and the construction of infrastructure.
P-27 熊本県成道寺川におけるホタルの出現個体数変動
PDF 金子 裕太・森山 聡之・合田 真基
熊本県の都市圏は人口増加傾向があり、交通渋滞が問題となっていた.この交通渋滞を緩和し住民の生活環境を改善するために熊本の都市圏を囲む熊本環状道路の整備が進められている(熊本市,2018). その熊本西環状道路のインターチェンジへの取り付け道路に位置する成道寺川流域は豊かな生態系を残していた.しかし、この工事のために同流域の環境が改変され、自然環境への影響が危惧されている.そこで、森山研究室では環状道路建設の影響が見られるかどうかを明確にするために、工事着工前の2004年から毎年ゲンジボタルの出現個体数の調査を行っている.昨年に引き続き、本年も観測を行なった結果、昨年に比べて全体的に増加傾向にあることがわかった。しかしこれが、生態系の回復を意味するのか、単なる変動の範囲なのかは不明であり、さらなる観測の必要性が示唆された。
P-28 桜島降灰の時系列GIS解析と周辺地域への影響 ― 自然・人文社会データの3D可視化に基づいて ―
PDF 庵 太志・秋元 菜摘
桜島は大正大噴火から現在まで噴火が続いており,桜島の島民をはじめ周辺地域へ日常的に降灰の影響を及ぼしている.火山活動の活発化/沈静化のほか気象条件や地形により降灰の量・方角は変わるが,人間・社会活動の変化に伴って周辺地域への影響と対策は多様化している.本研究では,気象庁の観測データと自然条件を可視化・解析することで降灰の時系列変化を明らかにし,歴史的経緯も踏まえて自然と人間の共生を再評価する.
P-29 Classify the Characteristics of Green Infrastructure and Analyze the Valuable Types for Each Region Suitable
PDF Liu Shan・Fujita Naoko
One of the characteristics of green infrastructure is its multi-functionality. Due to recent climate change, the risk of water-related disasters has been increasing every year, with heavy rainfall occurring more frequently and urban flooding such as flooding and overflow in various regions. At the same time, there is a need to improve the quality of residents' daily lives. In this study, we first classify the characteristics of green infrastructure, then analyze what kind of green infrastructure is needed depending on the regional geological and social characteristics, and examine the possibility of making green infrastructure reasonable.
P-30 地理空間分析からみる樹木葬墓地のグリーンインフラとしての有用性 -社会的ニーズと環境デザインの視点から-
PDF 今泉 優子・藤田 直子
樹木葬墓地は、国内では1999年に誕生した墓地の形態である。少子高齢化や価値観の多様化により、樹木葬墓地に対する社会的ニーズは益々高まるものと予想される。本研究では、樹木葬墓地のグリーンインフラとしての有用性を明らかにすることを目的に、首都圏、特に墓地の需要に対して供給が不足している東京都と供給地としてのポテンシャルを持つ茨城県内を対象に、樹木葬墓地に関する空間分析を行い、環境デザインの視点からその特徴を明らかにする。
P-31 Spatial Analysis for Proposing a New Type of Urban Farming: Towards Adapting to the New Normal in the Post-COVID-19
PDF Liu Yuling・Fujita Naoko
Urban farms and experimental farms have contributed to the creation of opportunities for local residents to experience agriculture. In 2020, COVID-19 has changed the social conditions. The new normal is a way of life that demands the ability to an enjoyable life while maintaining social distance. The purpose of this study is to identify ways to adapt to the new lifestyle while taking advantage of the advantages of urban and experiential farms.
P-32 MGWPRを用いた投票行動分析-東京都知事選挙を事例に-
PDF 山本 裕稀・貞広 幸雄
本研究では,2016年7月執行の東京都知事選挙を事例に投票結果を東京都1868投票区における社会・経済的指標と関連付けて説明することを試みた.分析単位を投票区にすることで,GWPR(Geographically Weighted Poisson Regression)による分析を可能とし,地域的差異を把握することができるようになった.さらに,GWPRにおけるバンド幅を変数ごとに最適化するMGWPRを手法として取り入れることで,より詳細に変数ごとの地域的な特徴を捉えることができるようになる.
P-33 徳島市中心市街地における活性化計画と空間的特徴の分析
PDF 小田 匠馬・渡辺 公次郎
地方都市の中心市街地では衰退化が続いており、これまでいくつもの活性化計画が策定されてきた。今後は、地域資源を活かした独自性のある地域づくりが求められる。本研究では、各時期の中心市街地活性化に関する行政計画を、地域資源の観点から整理するとともに、地域の空間的な特徴と比較することで、各時期で目指していた中心市街地の姿を明らかにする。対象地域は徳島市中心市街地である。
P-34 地方公共団体が保有するデータの分類及び分布図の作成
PDF 家中 賢作・新井 千乃・大伴 真吾
つくば市では,庁内で保有しているデータ一覧をオープンデータとして公開している.この一覧には,オープンデータだけでなく,公開していないものも掲載されていることから,この保有データ一覧より、各データを利活用の側面から整理した地方公共団体版データスペクトラムに基づき分類した.分類したデータが庁舎のどの部署に存在するのかをGISで可視化しさらに,座標や住所等の地理識別子を持つ地理空間データが実際にはどの程度あり、どのような部署で利用されているかを明確にすることで、地方公共団体におけるGIS活用の考察を行った.
P-35 建物の位置情報に基づいた下水道処理区の広域化・共同化に関する可能性の検討
PDF 秋山 千亜紀・秋山 祐樹
人口減少社会を迎えた現在,地方自治体をはじめ,国土交通省など関連省庁を中心に,将来的に持続的な下水道事業の実現に向けて,下水道事業の「広域化・共同化」の検討がなされている.そこで本研究では,将来を見据えた下水道事業の広域化・共同化に向けて,日本全国の複数の自治体に跨る流域下水道の処理区を対象に,現状の処理区と実際の建物の分布に基づいて算定されたより効率性の高いと期待される処理区とを比較することで,現状の処理区における広域化・共同化の可能性について検討する.
P-36 大学における地理空間情報オープンデータ化の取り組み ―社会工学コモンズ・データバンクの事例―
PDF 大山 智也・雨宮 護・川島 宏一・吉瀬 章子
地理空間情報におけるオープンデータの作成・公開の取り組みは,国土数値情報や自治体オープンデータといった官主導,OpenStreetMapのような民主導のものが挙げられるが,学主導のものはまだ少ない状況である.本研究では,学術研究を通じて作成した地理空間情報等データのオープン化の取り組みとして,筑波大学の社会工学による「社会工学コモンズ・データバンク」を紹介する.あわせて,学術分野が取り組むべき,問題解決に資するオープンデータ化の進め方について議論する.
P-37 居住形態別の住宅価額に基づいた土地利用パターンの評価
PDF 嚴 先鏞
将来の土地利用計画は,人口減少,気候変動,感染病などに対応しながら,多様化している人々のニーズに応じた住みやすい市街地を形成していくことが重要な課題になっている.近隣における土地利用パターンと住環境については多くの研究が蓄積されているが,近年住民の生活タイプの多様化,新たなニーズなどを考慮した望ましい土地利用パターンの特徴を把握することは重要である.そこで,そこで、本研究では整備が進んでいる多様なデータを融合し,住宅価額と土地利用の関係を明らかにすることにより,評価の高い土地利用パターンを解明することを目的とする.これにより,多様化している住民のニーズを考慮した土地利用のあり方を考える.
P-38 位置情報と嗜好情報を用いたモバイルコンシェルジュシステム
PDF 関 尚貴・山本 佳世子
インターネットの普及により,誰もが簡単に検索し,膨大な情報を入手することができるようになった.これに伴い,ユーザの意思決定を補助するため,個人に合わせた推薦システムの需要が高まっている.近くの飲食店や旅行先の観光地など,地図検索においても同様であり,推薦手法の提案や改良など数多くの研究が行われている.しかし,先行研究の多くは飲食店や観光地など限定された推薦対象を扱っており,推薦対象を規定しない推薦システムの研究はまだ少ない.そこで,本研究では推薦対象を限定せず,ユーザの位置情報を用いた推薦システムの開発を行う.
P-39 市販GPSデータを用いた徒歩観光空間に対する分析の可能性
PDF 有馬 貴之・市川 麻衣・小竹 輝幸
本研究は徒歩回遊を主な観光行動とするミクロな観光空間を対象に、市販GPSから得られる情報の抽出スキームを検討するものである。これまでにもGPSデーターを用いた観光行動の分析は行われてきたが、本研究では個人情報保護の観点から分析データが制限される状況下においても、一程度の知見が得られる分析フレームの構築を目指す。特に、行動開始時点を踏まえた使用データの選別や、汎用性のある分析手法の提示を行う。
P-40 ゲーミフィケーションを活用した観光計画作成支援システム
PDF 古賀 友朗・山本 佳世子
近年,高度情報化社会が進行している日本において,インターネット上で容易に多種多様な情報の発信や取得を行うことができるようになっている.観光情報についても同様であり,観光施設や公共団体から提供される情報や,旅行者によるSNS上の投稿情報,個人サイトを用いた発信情報など,情報量は膨大であるとともに,多種多様である.インターネット上にあふれる観光情報を適切に選択し,観光計画を立てることが重要になっているが,多くの旅行者は観光地の土地勘がない.そのため,旅行者の嗜好に合った観光スポットを推薦し,効率的な観光計画を作成するシステムが多く開発されている.本研究はこのような分野の研究の一つとして,ゲーミフィケーションの考え方を取り入れ,利用者が効率的かつ快適な観光計画を楽しみながら作成することを支援するシステムを構築することを目的とする.
P-41 浜名湖エリアの潜在的観光資源に関するWebGISの開発 ― 探訪時の防災情報の提示にも配慮して ―
PDF 小佐野 淳平・秋元 菜摘
浜名湖周辺は自然・人文的観光資源が豊富であるが,公的機関が発信している観光情報は主要な観光施設が中心であり,いわゆる穴場的な観光スポットなどの情報は少ない.SNSが一般化した近年では有名でない対象を訪れる個人探索型の観光行動にも関心が寄せられており,その際は観光客を想定していない状況での安全・防災性にも注意が必要である.本研究では,それら潜在的観光資源を探訪するためのWebGIS/アプリケーションを開発する.
P-42 アイトラッキングによる車窓景観構造物の時空間同定 -茨城県南を対象にして-
PDF 西 美佳・鮑 星宇・中村 憲史・野口 宇宙・芳賀 晶子・大橋 大・大澤 義明
自動運転時代に近づくにつれて,運転手が運転という行動から解放され,車窓景観をこれまで以上に楽しむことができる.また,アフターコロナ時代の観光として近場を自動車や自転車で巡るマイクロツーリズムが注目されている.そのため,身近な道路での景観整備がより一層重要となる.本研究の目的は,茨城県南を対象地域とし,山々,街路樹,電柱,看板,歩道橋,建物などへの視認をアイトラッキングシステムを通して視認構造物を時空間上で同定し,アイストップや費用対効果も含めた景観政策の優先順位の観点から考察することにある.特に,観戦客のほとんどが自動車でアプローチするカシマサッカースタジアムでの自動車動線,鉄道駅から雨に濡れずにアプローチできる土浦庁舎までの歩行者動線,これらでの視認データを収集し分析する.
P-43 避難促進のためのスマホアプリ「防災Go!」の開発:平常時からの地域防災に向けて
PDF 上杉 昌也・森山 聡之・和田 亨・新山 悠紀・石本 俊亮
近年、豪雨災害などの自然災害は増加傾向にあり、地域住民の逃げ遅れも頻発している。そこで本研究では、災害時だけでなく平常時から災害対応力・避難意識の向上を目指すため、位置情報を活用した情報取得が容易なスマートフォン向け防災ゲームアプリ「防災Go!」のプロトタイプを開発した。また大学生を対象とした予備調査の結果についても報告し、その有用性や課題についても検討する。
P-44 衛星夜間光を用いた停電地域と期間の特定
PDF 杉本 賢二・奥岡 桂次郎・秋山 祐樹
災害による停電地域の早期復旧には停電状況を正確に把握する必要があるが,地上からの調査はアクセス性の問題や二次災害のリスクが高くなる.本研究では,人工衛星により観測される夜間光データをを用いて,停電地域と期間の特定を行った.2019年の台風15号により被災した千葉県を対象として検証を行った結果,停電発生初期は地域の把握が可能であるが,復旧が進むにつれて周辺地域の影響を受けやすいことが明らかになった.
P-45 携帯電話人口統計を援用した大規模停電を伴う地震災害の避難行動推定
PDF 小野塚 仁海・橋本 雄一
本研究は、2018年北海道胆振東部自身を事例として、大規模な停電を伴う地震災害時の、都市内部における避難行動を明らかにする。そのために札幌市を対象とし、 携帯電話の位置情報を集計した人口統計データである株式会社ゼンリンデータコムの混雑統計?を用い、さらに各地の停電状況や各避難所で得られた避難者数データ等を併せて、避難の実態を時系列的に推定するための方法を構築する。
P-46 東京墨田区における地震災害脆弱性の分析
PDF 連 美綺
災害に対する脆弱性への理解は防災や災害発生時の対応など深く関わっている。また、災害に対する脆弱性は地域によって異なるため、小さいエリアでの災害脆弱性を評価することは非常に重要である。本研究では、地理情報システム(GIS)と包絡分析法(DEA)モデルを用いて、東京墨田区を対象に、地震災害に対する脆弱性評価結果を小範囲ごとの表現でマップを作成し、地域の災害脆弱性を明らかにする。
P-47 Spatial Analysis of Disaster Trends in Major Asian Cities: For the Provision of the Required Landscape Design
PDF Minghui Tang・Fujita Naoko
Major cities in Asia have been hit by natural disasters. In recent years, research on disaster prevention using ecosystems has been conducted in Europe, the United States and some other countries, but research and social implementation of these measures has been delayed in Asia. In this study, we collected the disaster history of major Asian cities and conducted a geospatial analysis. Based on the results, we considered the landscape design required in each country and region.
P-48 学校アーカイブズにおける基礎年表情報の時空間的可視化の検討
PDF 吉川 慎平・村上 民
1921年創立の自由学園は,2021年に100周年を迎えることを記念し年史編纂事業を進めている.その成果の一部はWebでの公開を予定しており, 100余年分の詳細な基礎年表(レコード数約3,000件)がコアのコンテンツとなる.一方,自由学園は小規模学校ながら全国各地で教育活動が展開したという特色があり,これを効果的に表現する方法として,各レコードに位置情報を付与し,Web GIS等の技術を用いることで,100年間の教育活動を時空間的に可視化できないかと考えた.本稿では途中経過として位置情報付与の過程と,基礎年表の空間分析結果について示す.
P-49 衛星画像を用いた中央アジア・オアシス地域における土地開発・利用の変遷と遺跡立地環境の検討:ウズベキスタン・サマルカンドを例として
PDF 宇佐美 智之
本発表では、Google EarthやLandsatデータなどの無償で公開されている衛星画像を利用しながら、中央アジア・オアシス地域における土地開発・利用の変遷を評価し、それがおよぼす考古遺跡・文化財への影響を検討する。この事例対象地としてウズベキスタン・サマルカンドを取り上げた。結果、直近約30年間で都市域の顕著な変化・拡大が生じて、遺跡の破壊につながったこと、また今後つながりうる状況が明確となった。これをふまえ、現存の遺跡保護に向けた取り組みを速やかに進めていくべき段階にあることを指摘した。
P-50 浜松市北部地域の変容と路線バス網の変遷に関する歴史GIS分析
PDF 小林 元気・秋元 菜摘
本研究では、2005年の新浜松市合併前の水窪町,龍山村,佐久間町,天竜市,春野町(現在の浜松市天竜区)を主な対象地域として、国鉄自動車路線バス網を郷土資料や旧版地形図などを基にGISデータ化して時系列変化を可視化するとともに,沿線町村の人口や産業,生活などについて地域の変容との関係を明らかにすることで,歴史的文脈を踏まえながら高度情報社会における今後の地域交通の在り方を検討する.
P-51 近世初期幕府直轄領の江戸周辺における分布傾向
PDF 夏目 宗幸・根元 裕樹
1650年代、武蔵国に存在した2415ヵ村の内、994ヵ村は幕府直轄領であった。特に江戸周辺における幕府直轄領は、江戸を物質的に直接支える重要な役割を与えられていたとされる。しかし、こうした幕府直轄領の分布は、他の大名領や、旗本領、寺社領と錯綜していたこともあり、ほぼ可視化されてこなかった。そこで本研究では、簡易的なジオコーディングを用いて、幕府直轄領に属した村々の所在地比定を行い、その分布傾向を武蔵国レベルの縮尺から考察する。
P-52 唐桑半島の屋号語彙とその分布
PDF 結城 和佳奈・徳永 景子・前橋 宏美・一谷 和希・伊藤 香織・高柳 誠也・岡部 佳世・旦 まゆみ
宮城県北部に位置する唐桑半島は,海と山に囲まれて長年漁業を中心とした産業・生活文化を築いてきた.現在は気仙沼市の一部となっている.12の地区(集落)に分かれており,互いに共通する産業・生活文化をもつ反面,太平洋の大海に面する東側と気仙沼湾・大島に面する西側など,立地や歴史の違いによる差異もある. 本研究では,現在でも日常的に用いられることの多い屋号に着目し,その語彙の分布から,唐桑半島全体の環境と人の生活との関係を読み解くことを目的とする.屋号は,家を呼ぶための通称で,特に同姓の多い集落では現在でも日常的に使われることが多い.一般に,人,場所,家屋,職業などに由来する屋号があると言われている.本研究では,まず,旧唐桑町(宮城県本吉郡唐桑町)の屋号電話帳から,約1800件の屋号をジオコーディングをした.それらを用いて,屋号語彙の分布と,地形や方角との関係を分析した. その結果,上中下前後東西南北など地理的な位置関係を表す屋号語彙の集落内での立地の傾向,屋号語彙と地形的特徴や地名との関係などを見出すことができた.発表ではより具体的な分析結果を報告する.