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10月30日 (土) 8:30~10:30
A30-1: 【企画セッション:教育委員会】 + 概要を表示 Show Abstracts
2021年度初等中等教育におけるGIS を活用した授業に係る優良事例表彰
オーガナイザー:中谷 友樹
2021年度に実施された,初等中等教育においてGISを活用した授業のうち,優良事例について表彰し,その内容を発表する.
B30-1: 都市環境 司会: 相 尚寿 + 概要を表示 Show Abstracts
B30-1-1 日照と緑陰を考慮した街路景観指標と健康との関連
PDF 坂本 秀祐・中谷 友樹・埴淵 知哉・小暮 真奈・中谷 直樹・寳澤 篤
適度な太陽光への曝露は、人の健康を促進することが知られている。一方で、夏季には日陰の存在が快適さを向上させうるといった、太陽光を遮ることの利点も示されている。また、緑陰と人工物の陰の効果の違いに関する研究も蓄積されている。本研究では、仙台市の人口集中地区において、街路景観中の空や緑被に関する情報をもとに街路景観指標を作成し、その居住地域間の違いを明らかにする。さらに、地域住民を対象とした健康調査の資料を利用して、住居周辺の街路景観指標と健康指標との関連を分析し、住居周辺の街路における日照や緑陰が健康に与える影響を考察する。
B30-1-2 The Impact of COVID-19 Outbreak on Air Quality in Thailand
PDF Nutnaree Thongrueang・Tomoki Nakaya and Narumasa Tsutsumida
COVID-19 was first identified in Wuhan, China, and has become a pandemic affecting many countries around the world. Most countries have implemented non-pharmaceutical interventions, including lockdown, to reduce the risk of spread and protect human health and lives. The government of Thailand had taken strict ban on the movement of people and travel restrictions during the lockdown. Even though the lockdown was implemented for a short term, it had a significant impact on the reduction of emissions from transport, industrial and other human activities. Therefore, this study aims to examine the association of air quality changes with human activities in the area overtime during the lockdown period in Thailand. We firstly collect relevant data in Thailand including nighttime light satellite images, the daily numbers of COVID-19 cases and observations of air pollutants around the period from March 18,2020 to June 30,2020, when the first lockdown was implemented. Further, using Sentinel-5P satellite observation we examine the changes in air pollutants levels such as NO2, O3, and CO2 during different COVID-19 outbreak phases across Thailand as compared to air quality levels of the same periods. Finally, we plan to apply Geographically Weighted Regression (GWR) to examine the regional association between the changes in air quality and human activities.
B30-1-3 Twitterデータを用いたCOVID-19状況下のテレワーク時における建築空間の使われ方調査
PDF 下村 隼生・沖 拓弥
本稿では,多様なユーザーが発信する情報を迅速に収集可能なTwitterデータを用いて,COVID-19状況下のテレワーク時における建築空間の使われ方を調査することを目的とする.まず,特定の期間・キーワードの条件で収集したデータから,フィルタリングによりテレワーク関係ツイートを抽出するとともに,テレワーク環境整備の時系列変化を分析する.さらに,抽出したツイートの本文をもとに,テレワークに使用する空間,空間に対する感情,および感情に影響を及ぼす要因について考察する.
B30-1-4 City-wide building footprint extraction from satellite images based on deep instance segmentation model
PDF 陳 聖隆・小川 芳樹・関本 義秀
Building footprint is one of the primary data in the urban geographic information database and is critical in the applications such as urban planning, population estimation, and disaster prevention. In recent years, with the development of machine learning technology and the application of high-resolution remote sensing images, automatic extraction of building footprints from remote sensing images based on a deep learning algorithm is currently the most popular method. However, due to the diversity of feature textures and scale, discriminating adjacent buildings over a large area and applying the model to a different region remain significant challenges. As a result, this paper attempted to propose a framework for city-wide building footprint extraction at the instance level using the Mask R-CNN model and take Kobe, Susono, and Mashiki as test areas to improve the model’s generalizability.
B30-1-5 Evaluating multiple greenness measures in Tokyo
PDF Zheng Xinrui・天野 亮・雨宮 護
Urban greenness is thought to be critical factor of people's health behaviors and its outcomes. The degree of area-level greenness is generally measured by greenspace ratio based on land use database and vegetation indices based on satellite imageries. Recently, a novel method is proposed to assess eye-level greenness by extracting greenness from Google Street View (GSV) images within certain area automatically. In this study, we hypothesize greenness results vary by assessment method. To test this, we compared the distribution of greenness across different measures in Tokyo. Moreover, we objectively measured the greenness in three ways: green space ratio by land use database, over-view greenness based on vegetation indices, and eye-level greenness by GSV.
B30-1-6 都市空間における快適な音環境に関する研究
PDF 神田 陽・田中 一成
新型コロナウイルスの影響で、学生の学習環境や会社員の労働環境は、さまざまに変化している。この研究では学校や会社、文教地区やオフィス街と異なる住宅街の環境について、特に音環境に焦点をあて、集中力という視点から環境変化の前後における差異を明らかにする。ここでは心理実験と生理実験の2つの方法でアプローチした。予備調査に基づいた環境音を集め、得られた環境音を評価してもらう。次にこれらの環境音を実際に音刺激として被験者に与え、その際に反応する生理的な反応である脳波を採取した。脳波は各周波数ごとに区切ったパワースペクトルであるα波やLowβ波の活動度を見て集中力を判断する。さらに今回実験に用いた環境音は自己組織化マップ(SOM)を用いて分類することで、各環境音の傾向の傾向類似について明らかにした。以上の結果をもとに集中力を阻害する傾向がある環境音は我々の住む住宅密集地で実際にどの様に分布し、影響しているのかを地理情報システム(GIS)を用い最終的に表現している。
C30-1: 解析理論 司会: 秋山 千亜紀 + 概要を表示 Show Abstracts
C30-1-1 RE-ESF-SVCとfused lassoを融合した空間的異質性分析手法の提案
PDF 彭 湛・井上 亮
社会経済現象には,異なるスケールの空間的異質性が存在する.不動産市場を例に取ると,住宅価格は,緑地の評価、交通機関への近接性、都心への距離など,大域的に連続的に変化する環境的・社会的な決定要因の影響を受ける一方で,行政境界や鉄道沿線などのローカルな空間スケールでは,価格が不連続に変化する可能性がある. 空間的異質性のスケールを考慮しないと,偏りのある推定結果に基づいて地域特徴の解釈を誤った可能性がある.そこで本研究は,連続的・不連続的な空間的異質性を同時に検出するために,random effects eigenvector spatially filtering-based spatially varying coefficient (RE-ESF-SVC) モデルとスパースモデリング手法を融合したモデルを提案する.シミュレーションデータと東京都心部の賃料データへの適用を通して,空間的異質性分析に対する提案手法の有効性を評価した.
C30-1-2 建物壁面間距離の最大値と最小値の理論分布:極値分布モデルによる推定と実市街地への応用
PDF 薄井 宏行
本稿では,隣棟関係にある建物の壁面間距離(以降,「壁面間距離」と記す.)の最小値や最大値の分布と建蔽率制限値及び建物棟数密度との関係を理論的に解明した.その結果,①壁面間距離の最小値と最大値の分布はそれぞれワイブル分布とフレシェ分布として理論的に導出されること,②各分布のパラメータは建物棟数密度と建蔽率制限値から簡便に推定できることがわかった.これらの知見により,建蔽率制限値や建物棟数密度の変化に対する各分布の変化を見通しよく分析できることを示した.
C30-1-3 Group lassoに基づく複数階層の領域分割に依存した空間的異質性の抽出
PDF 竹本 一至・井上 亮
空間現象が有する空間的異質性を考慮した地域分析方法が近年,数多く提案されている.その一つとして,事前に領域分割単位を設定し,各領域に固有の係数を設定したモデルを立てた上で,隣接領域の係数値の差に対する正則化を導入したfused lassoを用いて,係数値変化が大きい領域境界を抽出する手法が検討されてきた.しかし,市区町村や学校区,町丁目,街区など階層的な複数の領域分割候補が考えられうる中,それらの選択肢から各場所で生じている空間的異質性のスケールを表す空間分割単位を抽出する手法は議論されていない.本研究は,説明変数に設定したグループ単位に変数選択を行うスパース推定手法であるGroup lassoに注目して新たな空間的異質性の分析手法を提案し,不動産賃料分析を例にその有効性を検証する.
C30-1-4 疎なカウントデータのための地理的加重ポアソン回帰の安定化・高速化
PDF 村上 大輔・堤田 成政・吉田 崇紘・中谷 友樹
Geographically weighted Poisson regression (GWPR)は、犯罪件数やCOVID-19の陽性者数のようなカウントデータの分析に用いられる回帰モデルである。GWPRには次の課題が残されている:(i)データが疎な(0値の多い)場合に推定が不安定になる、(ii)計算負荷が大きい、(iii)実装・拡張が困難。そこで本研究では、疎なカウントデータに対しても高速・安定的にGWPRを近似する新たな手法を提案する。同手法は通常のGWRモデルの被説明変数と重みを修正するだけで容易に実装できる。数値実験により、提案法の回帰係数の推定精度が通常のGWPRを大幅に上回ることを確認した。また、提案法を実データに適用することでその有用性を確認した。
C30-1-5 定数和制約と誤差相関を考慮した組成データのための地理的加重回帰
PDF 吉田 崇紘・村上 大輔・瀬谷 創・堤田 成政・中谷 友樹
Geographically weighted regression for compositional data (GWR-CoDA)は、収入階級や選挙得票率のような多次元の比率データである組成データの分析に用いられる空間回帰モデルである。GWR-CoDAでは、組成データが負う定数和制約の性質を対数比変換法を用いて対処したモデルの定式化がなされてきた。そこでは、変換後の各変数に対して構築される回帰モデルの誤差項の無相関性が仮定されている。そこで本研究では、複数の回帰モデル間の誤差相関を対処するseemingly unrelated regression (SUR)の推定法を援用し、この仮定を緩和するGWSUR-CoDAを提案する。提案法を実データに適用することでその有用性を確認する。
C30-1-6 Fused LASSOを導入した空間相互作用モデルによる機能地域抽出
PDF 伊藤 翔・井上 亮
市町村域を超えた人・モノの流動が活発化するのに伴い,内部で活発な経済活動が行われている機能地域を抽出する方法がこれまで議論されてきた.本研究は,地域間の関係の強さを地域間ごとに設定した空間相互作用モデルの距離抵抗パラメータで表現し,同一機能地域内の地域は他地域との関係の強さが類似するという考え方の元,隣接地域を発地あるいは着地とする地域間関係にFused LASSOの隣接制約を設定し,推定されたパラメータの類似度を基にスペクトラルクラスタリングにより機能地域を抽出する新たな分析手法を提案する.様々な地域に対する実証の結果,本提案手法の有効性を確認した.
D30-1: 【企画セッション:自治体分科会】 + 概要を表示 Show Abstracts
今後のDXにつながる自治体GISの最新の取組み
オーガナイザー:青木 和人
現在、自治体DX推進計画の策定が求められています。 これまでのICTやAIはどちらかというと業務の効率化や簡素化に重点おいて導入されてきたところであるが、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したDXはこれまでのICT等による効率化を踏まえて、組織の仕組みそのものをさらに改善しようとしようとするものです。ここで必要なのは、職員の一人ひとりが庁内外にあるデータを活用し、考え、実行することが求められます。これまで技術に頼るという考えから、技術を使う職員が求められるようになっていきます。 そこで、本セッションでは、自治体DXについて整理した上で、話題提供者から自治体GISの最新の取り組み事例を紹介いただきます。その後、参加者によるディスカッションを行い、今後のDXにつながる自治体GISの活用方法について、参加型で議論を深め検討します。
10月30日 (土) 10:50~12:20
A30-2: 【30周年記念セッション】 + 概要を表示 Show Abstracts
30周年記念企画:30周年記念特別シンポジウム
オーガナイザー:山本佳世子
地理情報システム学会は1991年11月30日に設立し、学会設立30周年を今年迎える。そのための記念事業の一つとして、30周年記念特別シンポジウムを開催する。本シンポジウムでは、最初に、元会長の岡部篤行先生、村山祐司先生のお二人にご講演をいただく。次に、お二人のご講演を受けて、現会長の大佛俊泰先生にご講演いただくとともに、今後の抱負を述べていただく。
講演者
岡部篤行、村山祐司、大佛俊泰
詳細タイムスケジュール(10:50-12:20)
10:50-11:00 開会の挨拶・趣旨説明 山本佳世子(事務局長、電気通信大学教授)
11:00-11:25 記念講演 岡部篤行(第4代会長、東京大学名誉教授・青山学院大学名誉教授)
11:25-11:50 村山祐司(第8代会長、筑波大学名誉教授)
11:50-12:15 大佛俊泰(第15代会長、東京工業大学教授)
12:15-12:20 閉会の挨拶 厳網林(副会長、慶応義塾大学教授)
10月30日 (土) 13:50~15:50
A30-3: 【企画セッション:教育委員会】 + 概要を表示 Show Abstracts
「地理総合」に向けたGIS教育オンラインプラットフォーム
オーガナイザー:中谷 友樹
高校における「地理総合」必修化を来年度に控え、その柱の1つに位置付けられているGIS教育のオンライン上のプラットフォームには様々なものが存在している。では、何をどのように活用すべきだろうか。本シンポジウムでは、地理情報関連企業および政府機関が提供するGIS教育オンラインプラットフォームについて、それぞれの開発者や活用実践例を提案している立場から紹介してもらい、現場での有用性、さらなる可能性、ならびに解決すべき諸課題を、パネリストとの質疑を通して深めていきたい。
B30-3: 防災(津波) 司会: 小川 芳樹 + 概要を表示 Show Abstracts
B30-3-1 エージェントモデルを用いた津波避難シミュレーション手法の開発 -釧路市における津波避難ビルの垂直避難を対象として-
PDF 深田 秀実・橋本 雄一
津波発生時の避難行動を分析する手法のひとつとして,マルチエージェント・シミュレーションを用いる方法がある.従来のエージェントモデルを用いた津波避難シミュレーションでは,研究対象地域における避難場所の配置などに着目した研究が多く,津波避難ビルを避難場所とした垂直避難シミュレーションの研究事例は稀である. そこで,本研究では津波避難ビル内の階段をモデル化し,住民エージェントが津波避難ビル内を垂直避難する津波避難シミュレーションの手法を開発した.本稿では,北海道釧路市橋北地区に建築された津波避難ビルの最上階を避難場所として行ったマルチエージェント・シミュレーションの適用結果を報告する.
B30-3-2 空間的オープンデータを活用した津波避難計画の検討
PDF 葛 文茜・川向 肇
本論文では、尼崎市を対象に、兵庫県が公開している1m解像度のDEM,DSM、尼崎市の津波等一時避難場所データ、基盤地図情報、国勢調査経済センサス等のオープンデータを利用し、避難所の収容可能人数と昼夜別の被災可能性人口を比較し、課題を明らかにすることを試みた。また個別の街区から地理地域特性を考慮しながら、被災地区外への避難も含めた効果的な津波避難計画の検討の試みを紹介する。
B30-3-3 歩行速度に着目した疑似的津波集団避難行動分析
PDF 奥野 祐介・橋本 雄一
本研究は,スマートフォンをベースとして独自に開発した全地球航法衛星システム(GNSS)による避難行動ログデータ収集システムによって収集した疑似的津波集団避難行動ログデータについて,地理情報システム(GIS)を用いて歩行速度及び地形に着目した分析を行う.分析には,2015年から2019年にかけて北海道内の沿岸7自治体において収集した疑似的津波集団避難行動ログデータを用い,歩行速度及び地形が避難行動に及ぼす影響を明らかにする.
B30-3-4 北海道日本海沿岸都市における津波避難の空間分析
PDF 工藤 由佳・橋本 雄一
本研究は、2017年に北海道日本海沿岸における津波浸水想定域が見直されたことを受け、それによる津波リスクの変化を明らかにすることを目的とする。対象地域は見直しによって津波浸水想定域が大幅に拡大した北海道留萌市とし、GISを用いて土砂災害の同時発生によるネットワークの分断や積雪を考慮した津波避難困難地域を画定する。また、避難困難となる地域の特性から津波リスクの変化について考察し、最適な避難計画策定のための基礎研究としたい。
B30-3-5 地方都市における津波危険性と居住地選択の関連性分析
PDF 渡辺 公次郎
本研究では、津波危険性がある地域を対象に、津波危険性と居住地選択との関係を分析した。まず、津波浸水域が含まれる市町村の住民を対象に、居住地選択に関するアンケート調査を行った。その結果から、居住地選択における各要因の重要度を推計し、これらを用いて居住地選択ポテンシャルを推計した。分析結果より、津波浸水域への居住立地を避ける層だけでなく考慮しない層もいたこと、津波浸水域と重複する居住地選択ポテンシャルが高い地域が存在することが分かった。
B30-3-6 港湾都市の土地利用の空間パターンの変化と津波災害リスク
PDF 川村 壮・橋本 雄一
本研究は,千島海溝沿いの巨大地震による津波被害が想定される北海道太平洋沿岸の釧路市などを対象として,港湾開発や郊外化,都心の衰退等による土地利用の空間パターンの変化と建物被害等の津波災害リスクの関係を空間分析により解明する.この結果は,地方都市における都心の衰退等の都市問題に防災の視点を加えるとともに,都市内部の土地利用変化の過程を踏まえた防災まちづくりの検討に活用できると考えられる.
C30-3: 土地利用 司会: 堤田 成政 【14:30開始】 + 概要を表示 Show Abstracts
C30-3-3 covid-19流行による滞留空間での行動変化
PDF 三宅 一生・田中 一成
COVID-19の影響により現在の日本では在宅勤務、オンライン教育、および配達サービスなどが普及している。合わせて,密集,密閉,および密着を避けることが推奨されており、公共空間では人々はマスクを着用することが一般的になっている。都市空間では,商店街への立ち入り制限、ベンチや椅子の使用制限、消毒や温度測定を必要とする店舗など,行動に対する物理的制限がある。このようなCOVID-19の影響を受け,気づかないうちに,人々の行動も変化していると考えられる。本研究では,COVID-19出現前後の人々の行動を比較し、滞留空間での変化を調査する。これにより,都市の公共空間の設計に役立てるための,人々の新たな行動制御に向けた知見を見いだすことを目的とする。本研究では,電車での着席場所、駅ホームでの待機位置といった付近に人がいる状態つまり人的要因が大きな部分での人々の行動調査とベンチの種類や形といった物的要因の関係を分析することで、滞留空間の変化を定量的に明らかにすると同時に今後に向けた可能性を探る
C30-3-4 WebGLを用いたワイン用ブドウ栽培適地評価システムの開発
PDF 岩崎 亘典・林 和則・田中 聡久・鹿取 みゆき・小口 高
近年,オープンデータや地図タイル形式で様々な地理空間情報の入手が可能となった。本研究では,これらのデータを用いてワイン用ブドウの栽培適地評価を行うために,Webブラウザのみで地図演算を行うシステムを開発した。評価対象地域は,ワイン栽培農家の新規就農が多くみられる長野県とした。評価に用いるデータは,地質,土壌,傾斜量,傾斜方位,年平均気温,年最低気温,年最高気温とした。これらのデータを,産総研 地質情報研究部門が策定したデータタイルマップ形式で整備した。データタイルの整備には,QGIS,TileMill,MBUtil等のFOSS4Gツールを活用した。地図演算機能はWebGLを用いて実装し,データタイル内およびデータタイル間での加減乗除および論理演算を可能とした。これらの演算は,Web地図閲覧ソフトであるleaflet上で実行可能とし,演算結果のダウンロードを可能とした。デモサイトは https://wata909.github.io/web-map-algebra/ である。現在は,基本的な地図演算機能を有するのみだが,より複雑な栽培適地評価モデルを実装することも可能である。今後,評価モデルの開発を進めるとともに,新規就農者等への情報提供に活用する予定である。
C30-3-5 就業者の居住地選択効用の時点別特性と土地利用変化の関係
PDF 田中 なつみ・大佛 俊泰・田頭 まき
近年、鉄道の新線開通や延伸、市街地再開発などに伴い、大都市圏における居住地選択傾向は変化している。居住地選択に関する研究は多いが、土地利用変化との関係に着目した研究は少ない。本研究は、土地利用変化が居住地選択効用に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。具体的にはまず、複数時点における東京都市圏パーソントリップ調査データを用いて、就業者の居住地選択効用を空間相互作用モデルで記述する。その上で、土地利用変化に着目し、推定した効用との関係について考察を行う。
C30-3-6 空室率データを用いた東京オフィス市場の空間的特性の分析
PDF 松尾 和史・堤 盛人・今関 豊和
本研究では三幸エステート株式会社が整備しているビル単位のストック情報を基に,2000年第一四半期から2021年第二四半期までの500mメッシュ単位の空室率データを構築し,東京オフィス市場の空間的特性について分析を行った.分析の結果,金融危機とコロナ禍における景気悪化に対して,市場が似通った空間的影響を受けていることが明らかになった.また,空室率が安定的に高い地域の地域特性を明らかにした.これらの結果は,より細かい地域ごとのオフィス市場の実態を把握する上で極めて有益な情報をなり得ることを示唆するものと考える.
D30-3: 移動・交通(1) 司会: 吉田 崇紘 + 概要を表示 Show Abstracts
D30-3-1 エージェントモデルと統計データ等を用いた全国規模の疑似人流データの試作と評価
PDF 樫山 武浩・龐 岩博・関本 義秀
人の移動データへのニーズは高く、様々な分野で活用されている。しかし、携帯電話から取集された移動データは、個人情報を含むため取り扱いに注意が必要で、一般的に入手が難しい。一方で、研究で広く利用されるPT調査由来の移動データは、必ずしも対象地域のデータが存在するとは限らないといった課題がある。そこで、我々は、存在するPT調査と統計データをもとに、全国分の人流データをシームレスに提供することを目指して研究を進めている。本稿では、試作した全国規模の疑似人流データの概要と評価結果について報告する。
D30-3-2 An Attempt to Reproduce One-day Human Mobility Using Time-Varying Markov Chain Model.
PDF Weiying Wang and Toshihiro Osaragi
Human mobility has been studied by researchers from many fields such as urban planning, transportation research, geography, computational epidemiology, etc. It has also been modeled using various data sources from different attributes. However, human mobility shows great spatial and temporal complexity, and many aspects remain unknown. In this study, we propose a method of reproducing one-day human mobility using the time-varying Markov Chain model, and the results are discussed in detail.
D30-3-3 ベクトルタイル技術を用いた全国規模の疑似人流データの効率的な可視化
PDF 笠原 有貴・関本 義秀・樫山 武浩
近年は、感染症対策など様々な分野で人流を把握することが重要となっている。しかし、人流を把握する手段として数十年にわたり実施されてきたパーソントリップ調査は都市部に限定されたものであり、また疑似人流データを扱った研究もこれまでに行われてきたが全国規模で行ったものはあまり見られない。さらに、データの可視化においてベクトルタイル技術を用いることで属性値を含めた地図内容の判読が容易になり、ズームレベルに応じて生成すべきベクトルタイルの粒度を変える工夫を施してデータ量を節約することで処理速度を向上させることができる。そこで本研究では、全国規模において約1.2億人分を網羅した疑似人流データをベクトルタイル技術を用いて作成し、可視化を行ってその実態を把握した。
D30-3-4 コロナ禍におけるバス分散乗車の効果分析 -三密回避と旅行時間短縮の両立-
PDF 川辺 怜・野口 宇宙・大澤 義明
コロナ禍での人々の三密回避の動きに着目し「分散乗車」の可能性を探る.分散乗車の促進は,待ち時間と乗車時間の合計である旅行時間の短縮とはトレードオフの関係にあるが,バスが連なって走る団子運転の状況では,その関係性が緩和される.団子運転現象が日常的にみられる筑波大学構内の路線バスを対象に,(1)バスプローブデータによる団子運転の現状分析,(2)バス停での実地調査による分散乗車の現状把握,(3)シミュレーションによる分散乗車の検証を行った.
D30-3-5 時空間ネットワークを用いた地域公共交通網の運行ダイヤを考慮した性能評価に関する研究
PDF 長谷川 大輔・嚴 先鏞
少子高齢化やインフラ維持管理費用の増加に伴い,多くの自治体で「コンパクト・プラス・ネットワーク」の都市構造に基づいた地域公共交通網整備の計画が検討されているが,人口・施設のカバー率改善を重要視し,長大路線で迂回の多い,低頻度となるケースが散見される.ネットワークの再編は,路線網の形状と運行頻度・ダイヤ接続を考慮した,総合的な性能評価が必要となる.そこで本研究では,公共交通の待ち時間を計測できる時空間ネットワークを構築し,路線長と運行頻度からみた整備量と利用者のアクセシビリティの二面から,都市別の地域交通の性能評価,および改善方策の検討を行うことを目的とする.
D30-3-6 社会コストを最小化する拠点と公共交通路線の同時配置
PDF 榎本 俊祐・嚴 先鏞・鈴木 勉
人口減少や高齢化といった背景により特に地方部において生活サービス施設の維持に関する課題が生じている.この課題に対して生活サービス施設の集約された拠点と公共交通の整備による対策が重要となっている.一方,現状において拠点と公共交通ネットワークの効率的整備の定量的評価を行う知見は十分とは言いがたい.そこで,総社会コスト最小化を目的として目的地としての拠点と公共交通路線の配置問題をモデル化し解くことにより最適となる拠点と路線配置を求め,拠点費用やコストに関係する諸条件による配置の違いを明らかにする.そして,拠点と路線の配置問題の実際の市街地への適用可能性を論じる.
10月30日 (土) 16:10~18:10
B30-4: 防災(復興) 司会: 嚴 先鏞 + 概要を表示 Show Abstracts
B30-4-1 VIIRS夜間光画像に基づく災害からの復興過程の地域性把握
PDF 羽鳥 航平・井上 亮
全世界で増加する自然災害からの復興に関して、被災地域に合わせた効果的な政策を立案するためには、過去の被災事例における復興過程の地域性を把握する必要がある。しかし、復興過程を把握するのに十分な時間間隔で被災地域の経済状況が観測されていないことが多いため、その把握は難しい。また、異なる被災地域で共通に手に入るデータが少ないため、地域間比較ができないという課題を有する。そこで近年、人工衛星が撮影した全球の夜間光画像に基づく分析が注目を集めている。光度が経済状況と高い相関を持つことが確認され、その光度変化の分析を通して復興過程を把握する研究が進められている。多くの既往研究は、2013年以前に撮影されたDMSP画像の光度変化分析を通して復興過程を考察しているが、DMSP画像の時空間解像度や感度の低さに伴う限界が指摘されている。そこで本研究では、DMSP画像より時空間解像度や感度が高い2012年以降に撮影されたVIIRS夜間光画像を用い、近年発生した自然災害を対象にケーススタディを行い、被災地域内における復興過程の地域性を考察する。
B30-4-2 地域空間構造評価に基づく広域的な空間計画の検討と事前復興への展開ー大分県日田市を対象としてー
PDF 山口 慎二・小林 祐司・鶴成 悦久
近年、全国各地で河川流域においては豪雨による水害が多発している。本研究では令和2年7月豪雨で被災した大分県日田市を対象に,人口動態や拠点となり得るために必要な施設数をもとに空間構造を把握した。施設までの距離と主要道路までの距離を算出することで生活利便性を評価し,あわせて人口増減率を考慮することで拠点の設定を行った。また,拠点となり得るエリア周辺の浸水想定区域を考慮した上で,事前復興につながる段階的な空間構造を提案した。
B30-4-3 深層強化学習を用いたサプライチェーン復興過程の最適化手法の提案とその検証について-2016年熊本地震を事例として-
PDF 楊 少鋒・小川 芳樹・池内 幸司・柴崎 亮介・大熊 裕輝
本研究では、熊本地震を事例として、大規模企業間取引データを用いて、企業を主体としたサプライチェーン(SC)の復興過程のマルチエージェントシミュレーション環境を構築する。次に、企業間の相互作用を考慮したゲーム理論に基づく企業の行動モデルを構築し、深層強化学習を用いて企業エージェントが自律的に最適な行動を取るように学習を行う。そして、実際のSCデータを用いて検証を行う。最後に、Shapley Additive Explanations法を用いて学習モデルの解釈を試みる。
B30-4-4 大分県別府市における居住誘導区域の災害リスク分析と防災指針の検討
PDF 瀬井 亮太・小林 祐司・鶴成 悦久
大分県別府市は立地適正化計画を策定し,今後は多様な災害リスクを考慮した防災指針を定める必要がある。本稿では,防災指針の検討にあたって,将来人口を考慮した各種災害の被災想定を行い,居住誘導区域と市全域で災害リスクの評価と比較を行った。別府市においては,火山災害が広範囲になると想定されるため,市外への避難を行うための緊急輸送道路の被災想定の把握も行った。これらをもとに,多様な災害リスクを想定した防災指針のあり方を提示した。
B30-4-5 人口減少社会における大分県下の拠点設定と将来都市・地域空間構造の提案
PDF 大礒 伊織・小林 祐司・鶴成 悦久
近年,日本では風水害をはじめとした自然災害が頻発している。今後長期的な人口減少社会を迎えるにあたり,都市や地域への効率的な行財政投資によって,より安全な地域に人口や都市機能を集約することがが求められる。本稿では,大分県全域を対象に,人口減少社会においても生活利便性を確保できるような都市計画区域内外の拠点設定と,その拠点の災害リスク評価を行った。そして,この結果から将来の都市・地域空間構造の提案を行なった。
B30-4-6 Reward architecture in Deep reinforcement learning for disaster road management plan: Focusing on the application of Envelop multi-objective optimization algorithms
PDF Soohyun Joo・Yoshiki Ogawa and Yoshihide Sekimoto
For effective road recovery strategies in the immediate aftermath of a disaster, we proposed data-driven Deep reinforcement learning (Deep RL) algorithm combining traffic flow analysis based on mobile phone GPS data. Reward in Deep RL infers heuristic knowledge of the goal. To derive optimal policy for rapid disrupted mobility recovery, we set human mobility recovery rate, road connectivity, travel cost as the reward factors, and generated the reward framework. However, there exist various relative importance of reward factors, and if the preference is different from the original one, we could not be sure the optimal policy can always be identified. That is, if the framework does not properly represent optimization problem, it might fail to get optimal road recovery plan. Therefore, it is quite important to identify a set of relative preference which derive optimal policies for enhancing the robustness and generality of our model. In this paper, we would identify generalized optimal policy over the space of all possible preferences and confirm underlying preference by applying envelope multi-objective optimization algorithm.
C30-4: 景観 司会: 薄井 宏行 + 概要を表示 Show Abstracts
C30-4-1 複数の深層学習手法による街路の全方位の深度推定と都市景観評価への応用
PDF 瀧澤 重志・衣川 雛
本研究では,複数のディープラーニング技術を組み合わせて用いて,一般的な RGBの全方位画像に加えて,空間の奥行に対応する幾何情報を全方位の深度マップとして表現することで,両者を同じ画像解析の枠組みで扱うことができる,一人称視点の新しい空間分析手法を開発する.具体的には,ゲームエンジンを用いて,リアリティの高い3次元都市モデル内で歩行者目線の全方位画像を多数撮影し,それらに実写のスタイルを適用したうえで,pix2pixHDを用いて深度マップを生成する.次に,大阪市南部を全方位カメラで撮影し,いくつかの空間性に関する被験者実験を行い,推定された深度マップを含めた入力画像から,一般的なResNetを用いて実験結果を予測するCNNモデルを学習させ,モデルの妥当性や可能性を検証する.
C30-4-2 空中写真に基づくDSMを利用した都市空間の3次元変化の分析の試み
PDF 桐村 喬
ドローンやそれによる3次元計測技術の普及にともない、写真測量も手軽に行うことができるようになってきた。本研究では、国土地理院の空中写真による写真測量によって得られたDSMを利用して、都市空間の3次元的な変化について分析することを試み、都市域における過去の空中写真利用における課題や、都市空間の分析における有用性を明らかにする。建物などの高さに関する過去の定量的なデータはそれほど多くはなく、DSMの利用によって、新たな研究の発展が期待される。
C30-4-3 トワイライト景観を活かしている都市構造の特徴
PDF 幸坂 麻琴・小林 隆史・大澤 義明
トワイライト景観は有史以前から変わらない地域性を端的に示す資産である.地方においてはハード整備に投入できる予算が限られている. 本研究ではまず過疎化が深刻な北海道西天北地域では夕日・トワイライト景観の条件が優れていることを明らかにした.これにより,トワイライト景観の指標の有用性を示すとともに,北海道特有の格子状都市の形が夕日・トワイライト景観に最適であることを明らかにした.
C30-4-4 認知マップからみる大人と子どものまちの見え方の違い
PDF 長谷川 亜美・田中 一成
大人にとって魅力的な都市開発が進んでいるが、子どもにとっても同じように魅力的に感じられているのでしょうか。大人と子どもが共に住みやすい街を創っていくことは、子どもたちが大人になった後も住み続けたいと思うまちづくりにつながると考えられる。子どもにとっても魅力的なまちを創造するためには、子ども目線からのまちの見え方を把握する必要があると考え、本研究では、大人と子どもの街の見え方の違いについて明らかにすることを目的とする。 研究方法としては、大人と子どもともに基本的描画法を用いた認知マップ調査をおこない、認知マップに描かれている要素の違いや使用されている色彩の傾向、実際の地図との歪みの差から、それぞれの目線から見た街の印象を抽出していく。 この調査分析の結果から、大人と子どもでは街の中で印象に残っているものに差がみられることがわかった。また、子どもの結果からは、その場所のイメージが街の見え方に関係しているのではないかと考えられる。
C30-4-5 街路画像ビッグデータとクラウドソーシングによるアンケートを用いた街路の印象評価構造分析
PDF 木澤 佐椰茄・沖 拓弥
本稿では,まず,Googleストリートビュー等の街路画像ビッグデータを用いて,クラウドソーシングによる大規模な印象評価Webアンケートを実施する。次に,アンケート結果をもとに,主に木造住宅密集地域とそれ以外の地域における街路の印象評価傾向の違いについて,基礎的な分析を行う。さらに,アンケートでの回答データを学習データとして,深層学習による街路の印象評価推定モデルを構築することで,印象評価構造を把握するとともに,広範囲における街路印象評価を可能とする。
C30-4-6 街路の全方位画像ビッグデータに基づく深層学習を用いた地域分析手法
PDF 沖 拓弥・小川 芳樹
本稿では,車両上の全方位カメラで撮影した街路画像ビッグデータをもとに,深層学習による画像認識技術を用いた地域分析の手法を提案する.具体的には,まず,画像認識用の学習済み深層学習モデルを特徴量抽出器として用い,街路画像に基づく地域分類手法を構築する.次に,画素単位の自動意味づけ(セマンティックセグメンテーション)により,各撮影地点における街路構成要素(建物,道路,塀,植栽,空,街灯など)の構成比を算出し,これをもとに街路の景観や安全性等を評価する手法を構築する.
D30-4: 移動・交通(2) 司会: 片岡 勲人 + 概要を表示 Show Abstracts
D30-4-1 RTK-GNSSを使用したWeb-GIS学内案内システム
PDF 那須 仁予・新村 太郎
大学内の諸施設で地図アプリを使用した場合,情報が不十分であることから,目的の建物にたどり着くことができないこともある.ましてや教室等の建物内情報は含まれていない.教室へたどり着くためには旧来の紙や看板に頼らざるを得ない状況である.本研究ではこのような不便さを解消することを目的として,教室検索を含めた学内案内システムを作成した.ここでは独自の地図を作成するためにRTK-GNSSによる精密測量とQGISを使用した.
D30-4-2 鉄道駅構内における探索歩行時の視認情報が迷いやすさに及ぼす影響 -ストリートビューを用いた探索歩行実験と視線予測モデルに基づく迷いやすさの評価-
PDF 河村 優介・沖 拓弥
本稿では,まず,Googleストリートビューを用いて鉄道駅構内の仮想的な歩行実験環境を構築し,探索歩行時の被験者の視線をアイトラッカーで計測する.次に,計測で得られた視線行動データと,被験者の迷い状況や分岐点周辺の空間特性との関係を分析し,サインの位置や通路構成などが視線行動や迷いやすさに及ぼす影響を明らかにする.さらに,得られた知見と機械学習による視線予測モデルを統合した,建築空間の新たな迷いやすさ評価手法について検討する.
D30-4-3 ゲーミフィケーションを活用した観光計画作成支援システム
PDF 古賀 友朗・山本 佳世子
近年、インターネット上で多種多様な情報を容易に得られるようになった。しかし、観光については、観光客は大量にある観光情報の中から情報を取捨選択する必要があり、自分の目的に合った情報を見つけ出すことは困難であるため、観光情報の提供などの観光支援が必要である。また、より多くの情報を利用者に提供するためには、システムの継続的な利用を促す必要があり、そのためにはゲーミフィケーションの考え方の導入が有効である。Werbachら(2012)によれば,もともとゲームではなかった文脈にゲームの要素やデザイン技術を組み込むことによって、人が強く関与したくなるとともに、失敗を恐れずに実験的な試みを促すことができるため、結果的に良好な効果を得やすくなる可能性がある。 本研究は以上の背景を踏まえて、ゲーミフィケーションの考え方を取り入れ、利用者が効率的かつ快適な観光計画を楽しみながら作成することを支援するシステムを構築することを目的とする。また、システムを構築した後に運用対象地域内外を問わず様々な人々を対象とした運用とシステムの評価を行った結果、構築したシステムは観光支援に有用であることが明らかとなった。
D30-4-4 市民の日常生活における移動ニーズとコミュニティバスに関する地理的分析-大阪府守口市を対象に-
PDF 本井 響貴・篠原 輝成・平川 祐規・山口 行一
人口減少や少子高齢化が進み、民間のバス事業の撤退に加え、地方公共団体が実施するコミュニティバスなどの事業でも継続を検討する事例が見られるようになってきた。それにより、都心部においても交通弱者の増加が予測できる事態となっている。本研究では、大阪府守口市を対象に、アンケート調査を実施し、市民の日常の移動実態を把握する。そして、現在のコミュニティバスの運行状況を踏まえた上で、高齢化が進む地域、交通空白地域を地理的に分析し、将来的な交通サービスを提案するための情報を作成した。
D30-4-5 GISと推薦システムを活用した利用者の分散型旅行を促す観光支援システムの構築
PDF 加藤 雄大・山本 佳世子
昨年から続く新型コロナウイルス感染症の影響という例外を除き、近年では我が国において、訪日外国人観光客の増加に伴い、国内の観光客数は増加傾向にある。一方で、大量の観光客の流入によって、観光地の地域住民および観光客の満足度に対する負の影響を受忍できない程度にもたらす状況である「オーバーツーリズム」の発生が懸念されている。観光庁や先行研究より、オーバーツーリズムの発生防止には混雑状況を見える形で観光客に提供することや、観光客の分散の誘導を行うことが挙げられている。 本研究では、GIS(地理情報システム)を活用して混雑状況を見える形で提供する機能と、推薦システムを活用して観光客の分散の誘導を図る機能を主とした利用者の分散型旅行を促す観光支援システムの構築を目的とする。本研究では観光Webメディアに投稿されたレビューを分析して取得したデータを活用し、訪問日データから作成した観光混雑度を月単位で可視表示する機能と、レビュー本文をテキストマイニングして得られた特徴を用いた観光スポットの推薦機能を活用して、利用者の分散型旅行を促す。
D30-4-6 交通アクセシビリティの変化が 中学受験における学校選択に与える影響
PDF 馬場 優樹・堤 盛人
中学受験を行う児童は遠方の学校に通い,通学時間は長くなる傾向にあり,志望校選択の際には志望校までの交通の便も重要視されていることが受験雑誌等で指摘されている.通学と交通に関する既存研究では,海外の事例を用いて交通網の拡大が学校選択に影響を与えることが示されているものの,日本と海外では交通や中学受験の状況が大きく異なる中,日本の事例を用いた研究は未だなされていない.本研究では関東地方の私立中学を対象に鉄道や道路が新規開通した際に、その鉄道や道路付近に位置する学校の受験倍率や偏差値の変化を定量的に評価することで,交通アクセシビリティの変化が中学受験での学校選択に与える影響を示した.DID法を用いて分析を行った結果,一部の鉄道や道路の開通が受験倍率を上昇させることが示唆された.
10月30日 (土) 18:30~20:30
A30-5: 【企画セッション:若手分科会】学生フリーテーマ発表会2021(1) + 概要を表示 Show Abstracts
オーガナイザー:沖 拓弥、桐村 喬、関口 達也、田頭 まき、相 尚寿
A30-5-1 都市内滞留者・移動者予測モデルの構築
PDF 前田 涼子・大佛 俊泰
災害発生時における避難誘導や大規模イベント開催時における混雑軽減等に迅速に対応するためには、通常とは異なる混雑状態をいち早く検知することが必要となる。そのための手法として、過去のデータから都市内滞留者・移動者の時空間分布を予測し、その予測値との差異をもとに異常を検知する方法が考えられる。本研究では、携帯電話人口統計データのである混雑統計®とモバイル空間統計®を用いて、都市内滞留者・移動者の時空間分布を予測する手法について検討する。
A30-5-2 住宅土地統計のダウンスケーリングによる地域メッシュ単位の世帯所得データの開発
PDF 山中 惇矢・古谷 貴史・秋山 祐樹
町丁字や地域メッシュといった小地域を対象とした空間統計は,地域の現状を詳細に把握し様々な計画立案を実施する上で有用な情報である.しかし,あらゆる既存統計が小地域単位で公開されているわけではないため,これらの情報を小地域単位にダウンスケーリングする技術は重要である.そこで,本研究では住宅・土地統計調査で市区町村別で公表されている年収階級別世帯数の情報を,国勢調査を組み合わせることにより地域メッシュ単位で推計する技術を開発した.また同手法を日本全国に適用することで,全国データの整備を実現した.
A30-5-3 需要の不確実性を考慮した公立小学校配置・学区のロバスト最適化
PDF 大嵜 一輝・貞広 幸雄・浅見 泰司・薄井 宏行
全国的に少子化が進む一方、都市部では、大規模な再開発で急激に児童数が増加し、小学校が不足することがある。各自治体の対応として新増設や学区の調整を行うことが多いが、特に新増設は費用負担が大きいため、増加が一過性で、将来的に施設が余る可能性を考えると、不適切である恐れがある。学区の調整に関しても、学区にはコミュニティ形成の場としての役割もあり、頻繁に変更することは望ましくないと考えられる。そこで本研究では、①局所的な児童増加に対して頑健な施設配置を求めること②局所的な児童増加に対して頑健で、多期間に渡って継続できる学区配置を求めることを目的として、ロバスト最適化による数理的なモデルを構築した。
A30-5-4 歩行者の法令違反による交通事故発生箇所の分布と道路環境
PDF 山田 康祐・浅見 泰司・樋野 公宏・薄井 宏行
本研究は、交通事故発生データと道路空間特性のデータを基に、信号無視や乱横断などの歩行者の法令違反による交通事故発生箇所とその場所の空間特性の関係を明らかにし、横断歩道などの交通施設配置や制度設計に生きるような知見を得ることを目的としている。
A30-5-5 ゲノムデータを用いた日本国内におけるCOVID-19伝播の時空間分析
PDF 松村 玲央・中谷 友樹
現在世界中で大流行を引き起こしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルスには様々な変異株が発見されており、その感染性の違いにより、ウイルスの変異株に対応した感染対策が求められつつある。そこで本研究では、日本国内におけるウイルスの変異株ごとの時空間的な分布を明らかにし、月毎の都道府県間人口移動データなどを用いて、ゲノムデータによるウイルス変異株ごとの時空間的分布との関係性について検討する。
10月31日 (日) 8:30~10:10
A31-1: 【企画セッション:FOSS4G分科会】 + 概要を表示 Show Abstracts
FOSS4Gを使って3D空間データを扱ってみよう
オーガナイザー:岩崎 亘典
近年、国土交通省による日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトである「PLATEAU」や、静岡県によるバーチャル静岡のLiDAR点群データなど、多くの3次元空間情報がオープンデータとして公開されている。今後、これらのデータを活用した研究が進展することが期待される。本ワークショップでは、FOSS4Gを用いたこれらのデータの表示、処理の方法について利用者間での情報共有を進めることを目的として、開催する。なお、詳細についてはFOSS4G分科会のWebページにて後日公開する。 https://sites.google.com/site/foss4gsig/
B31-1: 防災(建物被害) 司会: 草野 邦明 【8:50開始】 + 概要を表示 Show Abstracts
B31-1-2 地域の経済力を考慮した大規模災害時における住宅単位のミクロな経済的被害評価手法の開発
PDF 古谷 貴史・秋山 祐樹・武田 直弥
我が国は自然災害の発災頻度が高いため,地震・水害等の物理的な被害評価方法の高度化が図られてきた.一方,経済的な被害評価をミクロかつ広域に亘り実施する手法はまだ殆ど確立されていない.そこで本研究は,大規模災害時の住宅における建物単位の損害額および世帯ごとの貯蓄等を推計することで,地域の経済力を考慮した被害評価手法の開発を目的とする.具体的には,機械学習により推定した建物属性から住宅単位の損害額を推計した.さらに既存の統計資料に基づき世帯の貯蓄高を推計し,町丁字単位で損害額との差分を評価した.
B31-1-3 オープンデータと機械学習を用いた建物ごとの構造の推定手法の開発
PDF 武田 直弥・古谷 貴史・秋山 祐樹
巨大地震の発生に備えた住宅の耐震化を自治体レベルで進めるためには,自治体は事前に地震による被害状況を把握・推定した上で計画を立てる必要がある.その際に,建物ごとの構造は重要な情報となる.しかし,建物ごとの構造に関する情報は入手が困難な場合が多い.そこで本研究では,東京都世田谷区を対象に国勢調査などのオープンデータから得られた様々な地理空間情報を建物データに付与した上で,機械学習手法の1つであるXGBoostを用いて建物の構造推定を行い,検証を行った.その結果,建物の構造を正答率92.00%という高い精度で推定可能となった.
B31-1-4 建物群の被災可能性簡易推計システム“BCP-Map”の構築
PDF 南部 世紀夫・渡邊 基史・奥村 俊彦
広域に分布する多数の建物の被災可能性を簡易に推計し、地震発生から概ね10分程度後にWebマップで分かりやすく表示するシステムを構築した。気象庁の推計震度分布を地理院タイルで可視化、震度と対象建物の属性から被災可能性を推計して大中小に区分し、 建物の空間分布と表示縮尺に応じた適切な領域区分毎に集計し、円グラフで表示する。これにより被害の全体像から各地の細部までシームレスに把握でき、初動対応の迅速化・効率化に役立つ。
B31-1-5 大地震災害シミュレーションによる密集市街地整備改善の評価
PDF ツアン イリ・大佛 俊泰・田頭 まき
都市再生機構が取り組んできた密集市街地整備改善事業について、大地震災害シミュレーションによる評価を行った。東京都墨田区京島地区におけるH18からH28年までの10年間を対象に点的整備改善・線的整備改善などの視点から6つの分析シナリオを作成し、シミュレーションを行った。シナリオの特性に応じて異なる防火性能の向上を確認した。
C31-1: 歴史・考古 司会: 塚本 章宏 + 概要を表示 Show Abstracts
C31-1-1 近世城下町を基盤とする都市における街路網の形態的特徴
PDF 渡邉 怜央・埴淵 知哉・中谷 友樹
日本の都市の多くは長い歴史をもつが、その中でも近世城下町を起源とする都市は現在も都道府県の中心となっていることが多い。城下町は普請当時、防衛機能を持ち合わせる必要性から敵の侵入を防ぐ目的で街路網を複雑にしたとされ、こうした近世城下町起源の特性が、現在の街路網の接続性を規定しているのかを、space syntax理論を用いて検討することを本研究の目的とする。ただし、都市の街路網は、立地する地形や戦災経験の有無等においても影響を受け多様であることから、本研究では条件の異なる様々な城下町起源の都市を全国から抽出し、接続性指標(Local Int. V)に基づく比較を行った。
C31-1-2 日本の歴史GISプラットフォームの構築 -Japanese Old Maps Online-
PDF 夏目 宗幸・今村 聡・鎌田 遼・矢野 桂司・Benjamin Lewis
歴史地理学と地理情報科学を融合させた歴史GISは、文系・理系の研究分野が連携するデジタル・ヒューマニティーズ(DH)の一環として、2000年代以降、国内外で急速に発展してきた。しかし、日本の近世・近代における絵図面、地図、台帳、統計などの地理情報の多くは、GIS化されておらず、共有または公開されていないという問題がある。今後の歴史GISの更なる発展には、紙媒体を中心とした地理空間情報のデジタル化を推進し、適切にGIS化して共有する必要がある。本研究では、GISを専門としない歴史研究者や博物館の学芸員、学校の先生などの歴史GISの利用拡大を促進するために、オンライン検索やGIS解析などを一括して行えるシンプルなプラットフォームの構築を行う。
C31-1-3 京都地籍図データベースを用いた明治末期地価分布のホットスポット分析
PDF 青木 和人・矢野 桂司
これまで明治末期の大都市全域における地価分布構造は,ほとんど解明されてこなかった.その理由は、広大な地域分析のためにGISで利用できる歴史的デジタル土地データベースが存在しなかったことも一因である.そこで本研究では,デジタル復刻された1912年刊の京都地籍図データベースを用いて,GISによる空間分析とデータベース機能を活用して京都市全域での明治末期の地価分布のホットスポット分析を行う。
C31-1-4 "Sustainable Alternative Future for Kom Al-Nadura Cultural Heritage site, Alexandria, NSDS Egypt Vision 2030"
PDF Mohamed Soliman・Tomoyuki Usami・Satoshi Imamura・Keiji Yano・Hrishikesh Ballal・Raghda El-Nezory・Rasha Abdelrasoul・Doaa Ali and Asmaa Elkafrawy
National sustainable development strategy (NSDS) Egypt vision 2030 represents a foothold on the way towards inclusive development and focuses on three main pillars, economic, social, and environmental.“Kom al-Nadura” is the remained historical heap of five that distinguish the historical topography of Alexandria. Kom al-Nadura is a cumulative hill that covers 6.5 acres and raises up to 25m above sea level. During the Fatimid period (909-1171 CE), Kom al-Nadura was a Muslim cemetery known as “Kom Wa’la” attributed to the grave of ‘Abd al-Rahman ibn Wa’la al-Sabai al-Masri, the famous companion of ibn Abbas, Prophet Mohamed’s cousin. Furthermore, famous Islamic characters such as al-Salafi and Abu Bakr al-Tartoushi in c. 12th CE were buried there. Later on, during the Fatimid period, a new tower was erected at the top to observe and monitor the ships in the western part, which was of interest to Caliphs and Sultans, until it had been reconstructed again by King Fouad I in 1926 CE, with a height of 25 meters. During the French campaign 1798 - 1801 CE, Napoleon Bonaparte ordered the construction of a fort known as Tabiya Caffarelli, attributed to De Valga Caffarelli,, a military engineer of the French army, who passed away during the siege of Acre in April 1799 CE. By Mohamed Ali Pasha's reign (1805-1848 CE) and his successors (1805-1952 CE), a cistern was established in 1839 CE and a short astronomical observatory was erected. Recently, Kom al-Nadura is a protected archaeological site by the law due to its outstanding value that includes a variety of archaeological features including barracks, tombstones, and a park filled with large numbers of coastal cannons.DMUCH-Ritsumeikan University in collaboration with Geodesign-Hub is developing Kom al-Nadura micro project focusing on preservation, urban mobility, and environment, within NSDS, Egypt vision 2030, joining archaeologists at the Ministry of Tourism and Antiquities.
C31-1-5 近世絵画史料から見る景観視点場の推定表示システムの構築―機械学習による風景画の作画方角の推定―
PDF 片岡 勲人・関口 敦仁
筆者らは、近世風景画の写実性と創作性を解析評価し、近世絵画独自の芸術的アプローチを明らかにすることをめざしている。その分析・検証ツールとして、機械学習による風景画の視点場推定システムを報告する。現代の地理情報技術による山の稜線抽出と近世風景画特有の縦方向の誇張を施された風景CG画像と、既に視点場推定済みの風景絵画を用いて、観察方角と風景画の関係を明示した教師あり機械学習モデルを作成し、視点場推定システムを構築した。
D31-1: 空間分析 司会: 関口 達也 + 概要を表示 Show Abstracts
D31-1-1 負の二項分布による近接性分析 -防災と景観の観点から電柱分布の評価-
PDF 欧陽 君顔・小林 隆史・石井 儀光・大澤 義明
都市の施設分布パターンに関して,本研究では負の二項分布によるモデル化を行う.分布パターンを解析的に表現することで,都市施設への近接性分析の一般化が可能となる.実証には茨城県南地域の電柱34万本の位置データを利用する.任意の地点において,最寄りの電柱の見えの大きさを景観指標として,地震発災時の通行阻害を想定し一定距離内での電柱有無確率を防災指標として導出し,鉄道駅・路線の位置による都市構造の観点から解釈を行った.)
D31-1-2 都市部における住宅用太陽光発電の導入傾向
PDF 岡澤 由季・樋野 公宏・浅見 泰司
住宅用太陽光発電の導入は我が国の2050年カーボンニュートラルの実現に必要な方策と考えられ、本研究の目的は住宅の多い都市部(東京電力、中部電力、関西電力管内)におけるその導入傾向を明らかにすることである。総務省「平成30年度住宅・土地統計調査」において導入戸数が得られた552自治体を対象とし、住宅形態、都市類型や空間的関係性を考慮した地理的加重ポアソン回帰を用い、自治体別に導入傾向を把握する。
D31-1-3 ワーカ行動モニタリングデータに基づくオフィスレイアウト評価手法の構築
PDF 樋上 貴大・大佛 俊泰
施設内の設備や部門間の親近性からオフィスをレイアウトすることは重要である.しかし,移動や交流といった詳細なワーカ活動を考慮した,定量的な評価手法は確立されていない.本稿では,ビーコン端末を用いたオフィス内の行動モニタリングデータを用いて,部署間親近度を基にオフィスレイアウトを評価する手法を構築する.さらに,ワーカ活動の効率性を向上させるためのレイアウトを提案し,実際のレイアウトと比較することで考察を行う.
D31-1-4 口コミ分散表現ベクトルを用いた街の魅力の類型化とその空間分布
PDF 鈴木 英之
本報は、来街者によって記述された口コミ・レビューデータより得られた分散表現ベクトルを用いて商業地区を対象としたパーセプション・マップを作成し、そこに満足度等の選好度の次元を加えることで選好空間モデルとし、従来の業種構成及び集客圏等による階層構造的な商業地システムとの整合を考慮しつつ「まち」の類型化を試みたうえで、その空間分布を確認するなどして当該分類・評価方法の有用性を検討した。
D31-1-5 建物の利用実態を考慮した下水道処理区の広域化・共同化に関する可能性の検討
PDF 秋山 千亜紀・秋山 祐樹
人口減少社会を迎え,地方公共団体をはじめ,国土交通省など関連省庁を中心に,将来的に持続的な下水道事業の実現に向けて,下水道事業の「広域化・共同化」の検討がなされている.そこで本研究では,処理区域が複数の自治体に跨る流域下水道を対象に,これまで将来人口,つまり夜間人口に着目して検討を重ねてきたが,建物の利用実態を考慮した処理区域の分布について検討する.つまり,昼間人口を考慮に加えることで,実際の処理施設の利用実態により即した形での検討となることが期待される。
10月31日 (日) 10:30~12:10
B31-2: 防災(避難) 司会: 渡辺 公次郎 + 概要を表示 Show Abstracts
B31-2-1 加速度センサを用いた階段利用者人数及び歩行方向の推定
PDF 羽田 優太・大佛 俊泰・田頭 まき・伊山 潤・福島 佳浩
建物内滞留者分布を把握できれば,災害発生時の効果的な避難指示や救助活動などが可能になる。これまで提案されている監視カメラを用いた推定にはプライバシーの問題が,赤外線人感センサを用いた推定には精度の問題が残る。本研究では,加速度センサを用いた歩行振動の観測し,階段利用者人数と加速度の関連について明らかにする。さらに,歩行に対する加速度出力を記述するセンサモデルを作成したのち,機械学習を用いて加速度出力から建物内滞留者分布を推定し,考察をおこなう。
B31-2-2 携帯電話人口統計を用いた災害時における都市内人口の分布変化に関する研究ー平成30年北海道胆振東部地震の事例ー
PDF 小野塚 仁海・橋本 雄一
本研究は,平成30年北海道胆振東部地震発災後の札幌市を事例に,携帯電話人口統計を用い都市の人口分布に現れる変化と避難所等各種施設周辺における人口変動を推定することを通じて,大規模停電を伴う地震災害時における人々の行動を明らかにする.胆振東部地震では,家屋等の被害が小さい地域でも停電等により多くの避難者が発生した.このような災害に直面した都市の人々の空間的な振舞いを,時空間ビッグデータと裏付けになる各種データを併せて用いることで明らかにする.
B31-2-3 観光地におけるVR疑似避難訓練システムを用いた避難行動分析
PDF 塩崎 大輔・橋本 雄一
本研究はVR技術を用いた防災教育システムを開発し,北海道沿岸部観光地区における積雪期夜間の状況を再現したVR空間上で避難行動者の行動ログを疑似的に収集し分析を行った。実験対象地区は北海道函館市の金森倉庫周辺地区である。その結果,積雪期夜間の状況下において避難行動者は視認しやすい高層建築物を目指す傾向が見られた。また土地勘のない観光地においては高台の位置が把握できず,迷いが生じるなどの課題が明らかとなった。
B31-2-4 避難所要時間に基づく災害リスクの定量的評価手法に関する検討
PDF 池﨑 大智・三谷 泰浩・川野 浩平・吉田 祐子・谷口 寿俊・本田 博之・菅原 巧
豪雨災害時における自治体の避難指示等発令の判断には,人的被害発生の危険性を定量的に把握する必要がある。そのため本研究では,避難行動に着目し,リスク評価のために必要な脆弱性を避難所要時間を用いて評価し,それを用いたリスク評価手法を提案する。そして,提案したリスク評価手法を検証するために,過去の災害事例に基づいた避難行動シミュレーションを実施し,リスク評価を用いることで避難所要時間の違いによる人的被害発生状況を定量的に明らかにすることができた。
B31-2-5 苫小牧市における保育施設の災害時避難の課題
PDF 三井 和・橋本 雄一
本研究は、北海道最大の港湾都市であり,津波災害リスクが大きい苫小牧市を対象に、GISを用いた分析や聞き取り調査を通じて、保育園の災害時避難の現状と課題を明らかにすることを目的とした。これまでの保育園に関する防災研究では、準備や避難移動といった要素を個別に検討してきたが、これら要素をタイムライン上で統合し、災害時の一連の流れを把握することで課題の抽出を行った。
C31-2: 3Dモデル(1) 司会: 沖 拓弥 + 概要を表示 Show Abstracts
C31-2-1 L字型ポリゴンのラベリング、探索を行っての建物ポリゴン分割による3次元建物モデルの自動生成
PDF 杉原 健一・沈 振江・村瀬 孝宏
これまでの研究で、電子地図上の頂角がほぼ直角の建物境界線(直角建物ポリゴン)を四角形の集まりまで分割し、四角形の集まりを「互いに直交する長方形の集まり」まで「整形」し、各長方形の上にBox形状の建物本体を配置して3次元建物モデルを自動生成した。本研究では、建物ポリゴン(建物境界線)を四角形の集まりまで分割するが、その分割過程で、分割された四角形(分割四角形)の傾きを計算し、外部のどの四角形のどの辺に、どのように接していたかの「隣接情報」を「分割四角形」に保存し、この「隣接情報」に基づいて、互いに直交する長方形の集まりとなる建物ポリゴンを再構築する。この「傾きや隣接情報の取得」は、分割四角形の頂点の「ラベリング(番号付け)」を通して行われる。本システムは、建物ポリゴンを四角形の集まりまで分割するが、分割線が「システムが定めた分割条件」を満たさないようなポリゴン形状に対しては、その部分(枝部)を「L字型ポリゴン」として分割する。この「L字型ポリゴンで分割する手法」によって、どのような形状の直角建物ポリゴンでも「四角形とL字型ポリゴンの集まり」まで分割することができる。L字型ポリゴンは「整形された主ポリゴン」に基づいて、整形処理される。L字型ポリゴンは隣接四角形を探し、そのIDや属性情報、隣接四角形のどの辺に隣接しているかなどの「隣接情報」を取得し、整形処理し、L字形の屋根を形成する。直角建物ポリゴンの頂点を時計回りに辿ると、ポリゴンの辺は「直角に右に曲がるか (R-turn)」、「直角に左に曲がるか (L-turn)」のどちらかである。直角ポリゴンは、この辺の曲がる向き(RかL)で表現できる。これを「RL表現」とした。これまでの研究では、3個の連続するR頂点で、L頂点前後の辺の長さに応じて、四角形が重なることを認めて、分割処理が停止しないように「連続3R頂点」を四角形として分離していた。しかし、今回の研究では、建物内部もモデリング、また、力学的に安定した3Dモデルの構築を目指しており、この「重複」は、(1)建物の内部、即ち、部屋に重複する四角形の上の屋根などが突き出してくる。(2) 3Dモデルで重複するところがあると、力学的に不安定となってしまう。というような問題が生じてしまうため、「L字形」を切り出すこととした。この「L字型ポリゴン」は整形するために、これまでの研究で提案した「活性四角形」と同様に、整形された隣接四角形を探し、それに基づいて、整形処理を行う。しかし、「L字形」は「活性四角形」とは異なり、隣接四角形が1つだけとは限らない。「L字形」の隣接四角形に接する「両端の点」は2点あり、隣接四角形が1つになるとは限らない。L字型ポリゴンが隣接四角形と接する2つの端点がどの四角形のどの辺に存在するのかを探索し、見つかった辺で端点の辺に対する内分比を求め、整形された四角形において、端点の整形を行い、その整形処理をL字型ポリゴンの他の頂点に伝搬させ、整形処理を行う。
C31-2-2 街路の全方位画像に基づくテクスチャ付き3次元建物モデルの自動生成手法の検討
PDF 中村 遼斗・佐藤 剛・小川 芳樹・前田 紘弥・関本 義秀
3次元建物モデルの構築においては、航空写真から抽出した建物テクスチャをLOD1モデルに張り付ける手法がメジャーである。本研究では、車載カメラが撮影した街路の全方位画像から抽出した建物部分を窓や壁面等のファサードごとに分解し、これらをもとに深層学習によってテクスチャ画像を合成する。さらにフットプリントからLOD1モデルを再現し、各セグメントに画像をマッピングすることで、より現実の風景に忠実かつ低ノイズの3次元建物モデルを自動生成する手法を提案する。
C31-2-3 3次元モデルを活用した関門橋の維持管理プラットフォームの構築
PDF 宮脇 智士・三谷 泰浩・谷口 寿俊・本田 博之・川野 浩平・境田 伸哉
関門橋の点検業務では,現場で2次元の点検基図に点検結果を直接記入している。しかし,点検基図は平面図または断面図であるため,点検箇所の3次元的な位置や損傷の経年変化の把握が難しい。さらに,同一形状の点検基図が複数存在し,記入ミスや重複管理が発生している。本研究では,設計図面から容易に作成でき,点検業務で利活用可能な関門橋の3次元モデルをベースとした将来の維持管理のためのプラットフォームをGIS上に構築することで,関門橋の点検業務における従来の課題を解決できることを示した。
C31-2-4 3D都市モデル詳細化に向けた自転車設置スマートフォン撮影画像の建物マッチング自動化
PDF 佐藤 剛・中村 遼斗・前田 紘弥・小川 芳樹・関本 義秀
現在国土交通省においてProject PLATEAUとしてオープンな3D都市モデルの整備が行われている。しかし現在公開されている建物データの大部分においては壁面テクスチャ情報が存在しない。スマートフォンで撮影した画像をPLATEAUの建物データに結びつけることができれば、壁面テクスチャ情報の整備に役立つと考えられる。本論文ではオープンな3D都市モデルの詳細化に向けて、自転車に設置したスマートフォンで撮影した画像へのPLATEAU建物ID付与アルゴリズムを提案し、評価を実施する。
C31-2-5 土石流等による建物倒壊シミュレーションのための動的3次元建物モデルの自動生成
PDF 村瀬 孝宏・杉原 健一・沈 振江
これまでの研究で、電子地図上の頂角がほぼ直角の建物境界線 (直角建物ポリゴン)を四角形の集まりまで分割し、四角形の集まりを「互いに直交する長方形の集まり」まで整形し、各長方形の上にBox形状の建物本体を配置して3次元建物モデルを自動生成した。本システムでは、建物ポリゴンを四角形の集まりまで分割するが、その過程で、分割された四角形(分割四角形)の傾きを計測し、外部のどの四角形のどの辺に、どのように接していたかを「隣接関係」の情報として「分割四角形」に保存し、この隣接情報に基づいて、互いに直交する長方形の集まりとなる建物ポリゴンを再構築する。この「傾きや隣接情報の取得」は、分割四角形の頂点の「ラベリング (番号付け)」を通して行われる。最近の研究で、分割四角形のどの辺に壁を作り、あるいは、「壁のどこからどこまで窓やドアが設置できるか (WDA壁: Windows and Doors Available wall)」を明らかにする手法を提案した。本研究では、当手法を発展させ、3次元建物モデルを「構成部材同士が重なっておらず、力学シミュレーションを行える構造」で構成し、「力学的に安定」した建物の動的3Dモデルを自動生成することを目指す。本システムは、3次元仮想空間内で、「大量の移動要素と動的3次元建物モデルのインタラクション」を可能にし、「津波や土石流などの土砂移動現象と建物の間の相互作用」を再現し、例えば、津波による3次元建物モデル倒壊のシミュレーションを行えるシステムを提案する。ここで、本システムで自動生成する建物の3Dモデルは力学シミュレーションが行えるよう、建物を構成する部材が重なり合うことがなく、力学的に安定した構造の建物、いわば、構造用金物のない「組積造(masonry construction)」の建物を仮想空間で構築するものである。そのために平面図と側面図、立面図で見て、部材が重なり合わないよう、また、力学的に安定するように形状の設計、配置を行う必要がある。例えば、屋根板を支えるためには屋根下構造物として垂木と天井根太を一体化したものを屋根板の下に等間隔に配置して、屋根を支える。さらにそれらをその下の天井板と壁が支える構造となっている。屋根板が垂木、天井根太を一体化したものを滑り落ちることのないよう天井板をもっとも幅広として、軒長も確保している。特に、平面図を見て部材が重なり合わないようにするために、「主屋根と枝屋根の境目」に注目し、そこで部材の干渉が起きないよう、枝屋根の部材の位置を決める「枝部のローカル座標」を、主屋根の壁板の厚さを考慮して設定する。即ち、枝部の天井板が「主屋根の壁板」と干渉しないようにローカル座標は主屋根の壁板の厚さ分だけ主屋根から離れるよう設定してある(主屋根の壁高と枝屋根の壁高が必ずしも一致しないとしている)。枝部の垂木と天井根太は「主屋根の軒長」を考慮して、軒と重なり合わないように垂木の間隔、端の垂木の位置を決めている。仮想空間内で「物理シミュレーションを行える部材」で「部材の物理形状(幾何形状とは異なる)が重ならないような構造」で構築された3次元建物モデルを自動生成し、「土砂移動現象を再現できる大量の要素群」を備えた3次元地形モデルを用いて、「津波による建物倒壊のシミュレーション」を行えるシステムを提案した。これらは防災科学おける数値実験や防災教育の教材、防災まちづくりの整備案の合意形成などで、現実に近いイメージ、アニメーションを提供できる。
D31-2: 犯罪 司会: 村上 大輔 + 概要を表示 Show Abstracts
D31-2-1 街路景観画像解析を用いた犯罪発生リスクの解析
PDF 足立 浩基・中谷 友樹
地理的環境と犯罪発生リスクの関係は国内外で盛んに研究されている。近年、大規模な街路景観画像が利用可能となり、さらに深層学習による画像解析技術の発展もあって、街路景観に基づく環境指標を得られるようになった。しかし、日本における街路景観と犯罪発生リスクの関係を研究した例は、我々の知る限りまだ無い。そこで本研究では、日本において、街路景観画像や道路ネットワークデータなどから得た局所的な環境指標を用いて犯罪発生リスクを解析し、その結果を議論する。
D31-2-2 都市活動が犯罪情勢に与える影響の解明:COVID-19緊急事態宣言に着目した実証分析
PDF 山根 万由子・雨宮 護・大山 智也・島田 貴仁
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、政府は人々の接触回避を目的に緊急事態宣言を発令した。これにより都市での人々の活動が大きく変化し、犯罪への影響や罪種別・環境的特徴別の犯罪への影響の違いが考えられる。本論文では、都市活動への影響が大きかった初回の緊急事態宣言が犯罪に及ぼした影響を明らかにすることを目的に、東京都の町丁目別・月別の刑法犯認知件数を用いたパネルデータ分析を行う。
D31-2-3 東京23区における犯罪「危害」の地理的集積の分析
PDF 大山 智也・谷 真如・中江 百花・羽生 和紀
犯罪を単純な多寡ではなく,その帰結の重大性なども含めて評価し,危害(harm)の大きさとして表現する試みが,各国で行われている.犯罪発生,特に凶悪犯などの重大犯罪が相対的に低頻度なわが国において,同様の指標が有用であるかは定かではない.本研究では,代表的な危害指標を東京23区の犯罪データに適用し,その地理的分布を単純な件数による分布と比較し,両者の異同および危害を形作る要因について分析した.
D31-2-4 特殊詐欺予兆電話の時空間的集中と空間的差異
PDF 島田 貴仁・齊藤 知範・山根 由子
近年,社会問題となっている特殊詐欺では,既遂に至る被害の背景に,多数の予兆電話が架電されることが知られている。1都道府県での特殊詐欺の予兆電話の記録から,予兆電話の時間的集中と,地区によるリスクの差異を検討した。
10月31日 (日) 13:40~15:40
A31-3: 【企画セッション】マイクロジオデータ研究会(13:40~18:00) + 概要を表示 Show Abstracts
B31-3: アクセシビリティ 司会: 上杉 昌也 + 概要を表示 Show Abstracts
B31-3-1 滞在人口から見た商業集積地区における活性度の評価
PDF 嚴 先鏞・長谷川 大輔・相 尚寿
商業集積地区は様々な都市機能が集積しており、近年の立地適正化計画などにおいて都市の拠点として位置づけられていることが多い。しかし、その中では、実際には店舗の衰退や大型ショッピングセンターなどの開発により、地域の拠点として役割を果たしていない地区も見られる。地域全体の観点から拠点の設定や施設の再配置などを考える際に、商業施設の集積のみならずその地区における住民の利用実態を評価する必要である。そこで、本研究では自治体単位で商業集積地区を抽出し、携帯位置情報データに基づいた滞在人口・パターンから地域の活性度合を評価することにより、商業集積地区の活性化や拠点計画の策定における基礎を提供する。
B31-3-2 Webアンケートに基づく保育所選択におけるミスマッチの実態分析
PDF 増喜 浩太郎・沖 拓弥・下村 隼生
各自治体における待機児童の発生数は減少傾向にあるが,必ずしも各世帯にとって望ましい保育所に入所できているとは限らない。また,多数の入所希望者が殺到する施設がある一方で,定員割れの施設も存在する。本稿では,そうした保育所選択における「ミスマッチ」の実態を定量的に把握することを目的として,Webアンケートを実施した結果を報告する。具体的には,近年保育所への入所申請を行った世帯を対象として,どのような観点で保育所を選択し,実際にはどの保育所にどのようにして送迎を行っているか等を尋ねた。
B31-3-3 投資家とスタートアップの地理的距離は,成長に影響するか?
PDF 穴井 宏和・柴崎 亮介
本研究の目的は,スタートアップと投資家の地理的な距離が,スタートアップの成長に及ぼす影響を明らかにすることである.投資家とはベンチャーキャピタルや事業会社で,成長資金の供給ばかりではなく,メンタリング,技術,販路支援,人材紹介などの様々な成長支援を行う.日本の文脈では,アクター間の距離が成長に及ぼす影響の研究はほとんどなく,本研究では,支援する投資家との距離が近い方がスタートアップは成長し易いことを主張していく.
B31-3-4 店舗へのアクセス不便の要因となりうる道路環境要素への評価 ~利用選好と経路上の分布量に着目して~
PDF 関口 達也
買い物弱者の問題は日本でも深刻化しており、この問題に対して、店舗へのアクセシビリティを十分に確保するための都市整備は重要である。本研究では、店舗までの距離に加え複数の道路環境要素にも着目し、特に高齢者にとって、1)各道路環境要素に対する不満の特徴と、2)アクセス性の不便に繋がりうる道路環境の抽出を通して、人々が買い物時に快適に利用できる道路環境整備に貢献することを目的とする。徒歩で買い物を行う東京都の約1000人へのアンケート調査を用いて、まず回答者が各道路環境要素の選考度と経路中の存在量から、各要素への不満の関係を分析した。さらにいかなる要素に不満がある場合に、アクセス性の不便に繋がりうるかを解析した。
B31-3-5 日常における外来医療へのアクセシビリティ評価指標の構築
PDF 山田 育穂
本研究の目的は、日常における外来医療へのアクセシビリティの地域差を評価するための指標を構築することである。医療へのアクセシビリティについては既にさまざまな研究が行われているが、医療が不十分な地域や救急医療、入院医療を対象としたものが中心で、日本の都市部のように比較的医療提供体制が充実した環境における日常の外来医療を扱うものは限られている。しかしながら、国民皆保険制度と医療機関を自由に選べる「フリーアクセス」を背景とした外来受診率の高さは日本の医療の特徴の一つであり、また、適切な外来診療により入院リスクを低減できるとされるACSCs (ambulatory care sensitive conditions)と呼ばれる疾患には、糖尿病や高血圧、慢性心不全など日本でも深刻な問題となっている疾患も多く含まれる。外来医療へのアクセシビリティの地域差が住民の健康格差へと繋がっている可能性があることから、本研究では、標榜する診療科、診療日時など、医療機関の特性を考慮して、日常生活における住民の外来医療へのアクセスのしやすさを示す包括的な評価指標を構築することを目指す。
B31-3-6 産業別従業者数の集積における鉄道駅及び都心からの距離の効果に関する分析
PDF 小西 純
平成28年経済センサス-活動調査による東京圏(埼玉県,千葉県,東京都(島嶼部を除く),神奈川県)の産業大分類別従業者数について,市区町村別に1?当たりの密度を目的変数,1?当たりの鉄道駅数,人口を説明変数として回帰すると,鉄道駅密度の係数は産業によって異なる.本研究では,市区町村別データによる分析で鉄道駅密度の係数が大きい「I卸売業,小売業」と相対的に小さい「P医療,福祉」の従業者数の集積について,鉄道駅密度,人口密度,都心からの距離を説明変数とし,地域メッシュ統計データを利用して回帰する.分析対象地域は東京圏とし,集計地域単位を半径1500m,2000mの円とする.また,鉄道路線沿いとそれ以外の地域をダミー変数として設定する.本研究の目的は,従業者集積における鉄道駅数,駅及び都心からの距離の効果について定量的に把握することである.
C31-3: 3Dモデル(2) 司会: 桐村 喬 【14:00開始】 + 概要を表示 Show Abstracts
C31-3-2 オープンデータを活用した3次元災害対策空間情報データベース構築の試み
PDF 川向 肇・有馬 昌宏
近年の国・都道府県を中心としたオープンデータの整備と公開の充実と計算機の性能向上もあり、従来の2次元空間的データベースを基礎としつつ、3次元空間データベースへと再編し、独自データベースとして利用できる可能性が広がってきた。高解像度DEMとDSM、及び、従来型2次元空間データを利用した3次元データベース整備の試みと災害対策に利用する情報データベースによる検討事例を紹介する。
C31-3-3 航空オブリーク撮影データからの3Dモデル高速作成の課題とその利活用
PDF 藤原 紘子・四俣 徹・杉浦 健人・石川 佳治・神林 飛志・埋金 進一・川口 章・佐藤 俊明
災害発生後の初動・応急対策段階の状況把握への寄与を目標に、航空機オブリーク撮影データから作成した3Dモデルの早期提供を可能にする手法の研究とシステム構築に取り組んでいる。システムは分散並列処理を活用しデータ量に応じて処理ノード数に応じてスケールできる形式として処理を高速化する一方で、処理分割の弊害への対応及び利活用機能の開発等も実施中である。本発表はその概要を報告するものである。
C31-3-4 深層学習を用いた街路の全方位画像と建物GISデータの結合手法
PDF 小川 芳樹・沖 拓弥・陳 聖隆・関本 義秀
本稿は、車載カメラが撮影した街路の全方位画像に含まれる建物1棟1棟に建物GISデータの属性を結合する手法を提案する。具体的には、全方位画像の建物をセグメンテーションすることで建物抽出を行い、画像上の建物座標を特定する。次に建物GISデータの建物頂点と車両測位位置から推定される画像上の建物座標を推定し、各建物画像に対応する建物属性を結合する。本手法により建物属性付きの建物画像データセットの整備を可能にする。
C31-3-5 BIM/CIM・GIS連携と北海道におけるGISコミュニティの活動
PDF 三好 達也・橋本 雄一
本研究は、BIM/CIM技術と、GIS技術が連携運用することの重要性を論じ、北海道のBIM/CIM・GISのコミュニティである「産学官CIM・GIS研究会」における活動成果と課題について述べる。
C31-3-6 まちづくりDXプラットフォームプロトタイプとしての3D都市モデル・データ基盤の構築
PDF 佐藤 裕一・佐土原 聡・谷 光清・丹羽 雄輔
まちづくりDXプラットフォーム・データ基盤プロトタイプを構築するため、City-GMLのLOD2~4の3D都市モデルと歩行空間ネットワークと組み合わせ、建物・施設(用途・延床面積・階層・形状等)と人流(Lidar計測データやモバイル空間統計等)のデータとを入力して、空間解析を踏まえた人流予測・誘導の機能を持たせたデータ基盤を構築し、混雑回避や避難誘導等の人流マネジメント・ソリューションをシーズ・ニーズ双方向アプローチで導き出す。
D31-3: 自治体 司会: 大山 智也 + 概要を表示 Show Abstracts
D31-3-1 受益者負担原則による道路管理-携帯電話人口統計を用いた時空間分析-
PDF 一井 直人・鈴木 勉・大澤 義明
近年,我が国の道路管理において,無計画な道路建設により維持管理状態が芳しくない道路が多くみられる.一方で携帯電話位置情報は,リアルタイムかつ高精度でデータが集積される点で,国勢調査のような従来の統計指標に比べ優位であり,今後の都市計画への導入が期待される.本研究では携帯電話位置情報により道路の利用者を時間別,属性別に把握することで,受益者負担原則による道路管理を考察し,公共インフラ維持管理計画の在り方に関して言及する.
D31-3-2 オープンデータと地域ニーズの統合基盤として地理空間情報を活用した住民参加型合意形成システムの構築
PDF 吉田 敬宏・龍田 斉・川崎 聖
本研究は,オープンガバメントや市民協働の重要性が高まる中,まちづくりにおいてICTを活用した行政と住民の情報共有と協働による地域課題解決促進の試みのひとつである.著者らは,モバイルアプリケーション上で地理空間情報とオープンデータを活用し,地域住民からの意見収集機能および収集意見を地域住民が評価する機能を実装することにより,地域ニーズとして住民の関心度を見える化できるシステムを構築した.本稿では,これの検討内容を報告する.
D31-3-3 橋梁点検情報と地理空間情報を統合した教師データによる劣化進展判定AIの構築
PDF 龍田 斉・原田 豊・貫井 敬章・榮 洸希
橋梁部材の劣化進行の速さは補修の要否に関係するため定期点検での把握が必要である。しかし、部材の劣化進行の要因は、経過年数だけでなく気候や周辺地形などの環境条件も関連する。本研究では、栃木県が管理する橋梁の過年度点検データと、国土交通省が公開している気候や地形等のGISデータである国土数値情報とを、GISを用いて教師データとして結合し、損傷劣化が進展する橋梁を判定するAIを構築する。
D31-3-4 地物の変化率による自治体の最適な地図情報更新時期の検討手法に関する提案-基盤地図情報を用いた地物変化の抽出-
PDF 臼井 真人・吉川 耕司
本研究では基盤地図情報により地物の変化量を計測し、変化率として今後の変化を予測する方法について提案を行う。市町村において、業務上デジタル地図を利用する機会が多く、情報の新しさを維持する必要があるが、更新時期の判断は非常に難しい。そこで、基盤地図情報を用い、簡便かつ安価な手法で地物の変化率を算出し、将来までの変化を予測する方法を提案する。本提案の方法を用いた結果、整備・更新時期の検討方法の一つとして利用可能であると考える。
D31-3-5 滋賀県栗東市の自治会活動からみる生活圏の可視化
PDF 岡部 佳世・森岡 渉・笠井 賢紀・竹山 和弘・中川 敦之・松本 章伸
新型コロナウイルスは,図らずも,多くの人が近隣住民とのつながりを重視する生活スタイルを模索する契機となった.この背景のもと,近隣住民の生活圏に着目した本研究は,滋賀県栗東市の124自治会を対象に次の2点を目的としている.①全自治会を対象としておこなった「左義長」活動のアンケートおよび聞き取り調査結果の可視化,②自治会圏域の分析と考察.可視化はフリーのオープンソース Leafletの提供するJavaScriptライブラリーを用いて,Webマップとして構築した.考察は,小学校区,左義長と子どもの役割,ウオーカビリティーを軸におこなった.
D31-3-6 自治体で異なる農地筆ポリゴンに対する住所・地番等の空間関係のGIS解析
PDF David Sprague・岩崎 亘典
農林水産省によって公開されている農地の区画情報(農地筆ポリゴン)に対してオープンデータとして市町村提供の地番情報等,その他の情報を補完する空間解析を複数の自治体を対象に実施した.農地ポリゴンに対してより分かりやすい固有IDを付与する手法を試行しつつ,農地と地番の空間関係がデータ補完に与える影響を分析し,自治体によって異なる農地に対する地番の整備状況を比較した.また,農地および地番と農地台帳データの関連を調べた.
H31-3: 【ハンズオンセッション】 + 概要を表示 Show Abstracts
クラウドGIS体験
オーガナイザー:土田 雅代
インターネットの接続環境があれば、どこでも、どの端末でも利用できるクラウドGISであるArcGIS Onlineを使って、Webマップの作成、ArcGIS Online Appsなどを体験して頂きます。
必要なライセンスは弊社にて用意しますので、各自インターネット接続可能なPCおよびタブレットのどちらかをご用意ください。
お申込み先:土田 masayo_tsuchida@esrij.com
10月31日 (日) 16:00~18:00
B31-4: 人口・居住 司会: 長谷川 大輔 + 概要を表示 Show Abstracts
B31-4-1 年齢階層別地域人口分布の分析
PDF 奥貫 圭一・草野 邦明
この研究では,地域の年齢階層別人口の増減に着目して,どこで,どの時期に,特徴的な増減が見られたのかを検討する。具体的には,平成12年から平成27年までの4時点国勢調査の3次メッシュデータを利用し,群馬県内の人口増減を事例にとりあげる。わが国では,長い間,少子・高齢化が社会的問題としてとりあげられてきた。近年では人口減少の問題としてとりあげられることも多い。しかし,地域を空間的に見渡してみると,どこでも等しく少子化あるいは高齢化が進んできたわけではない。そもそも人口減少も空間的に等しく進んできたわけではない。少子化にせよ高齢化にせよ,あるいは人口増減にせよ,地域の中で空間的にさまざまな傾向が見られたはずである。また,その増減は,時間的にも等しく進んできたわけではなく,同じひとつの地区であっても,高齢化が顕著に進んだ後に少子化が進むなど,さまざまな増減のパターンがあったはずである。こうした空間的,時間的な人口増減のパターンをとらえることは,地域の問題に対処する上で有効であろう。
B31-4-2 小地域転出入推計の改良手法の提案と全国市区町村への適用方針検討
PDF 内田 瑞生・杉本 達哉・高森 秀司
持続可能な社会サービス等の検討には,小地域・コーホート別の人口動態の把握が必須であり,社会増減の影響は特に大きい.また,小地域の転出・転入の合計値に加え,各値の個別把握は,小地域の人口動態の特性分析に有用である.本研究では,小地域・コーホート別の転出・転入者数の推計精度の向上を目的とし,先行研究手法の改善提案を行った.また,合計値のみが公表される地域への手法適用の方針を検討した.
B31-4-3 地域における高齢者分布の可視化とその活用に関する研究
PDF 王尾 和寿・田中 昌樹・温井 達也
地域における居住者および高齢者が空間的にどのような形態で居住しているのかを詳細に把握することは、高齢者福祉や防災対策に関するきめ細やかな計画立案のための基礎資料として重要である。本研究では東京都足立区を対象に国勢調査や基盤地図情報などの公的データと市販データを併用し住居形態別の居住者分布、高齢者および独居高齢者分布等を2次元および3次元的に把握し、安心・安全なまちづくりへ向けての活用方法を探った。
B31-4-4 大分県における将来人口推計と変容の地域的傾向
PDF 洪 志弦・小林 祐司・鶴成 悦久
超高齢社会に突入した日本の総人口は今後も減少する可能性が高く、若者の大都市圏への移動傾向が顕著になっている。大分県においても、周辺都市部における人口減少と高齢化が進んでいる。本稿では、大分県における総人口や年齢層別の人口割合、人口減少率を地理情報システムを用いて分析・可視化を行った。その結果、都市計画区域内外を問わず総人口は減少する傾向だが、その様子は地域的傾向によって異なることがわかった。また、高齢化や将来的に人口の減少率が高くなることが想定されるい地域とその特徴がを把握でき、地域的な課題を整理した。
B31-4-5 ひとり親家庭への公的支援の地域間格差と要因
PDF 柴辻 優樹・河端 瑞貴
本論文では,全国を対象に,ひとり親世帯への公的支援の実施状況の地域間格差とその要因を分析する。具体的には,次の2つの問いを分析する:①ひとり親世帯の多くを占める母子世帯が集中する地域で支援が充実しているか,②支援施策の実施に係る要因として,地域のどのような特性が関連しているか.分析単位は市区町村とし,分析期間は2010年と2015年の2期間とする.分析の結果,母子世帯が集中する地域では公的支援の整備が遅れていること,規模の大きい自治体ほど整備が進んでいる傾向が示された.
B31-4-6 GitHubアカウント数による地域のIT人材力の測定
PDF 小林 秀二
地域のIT人材力の測定を行った。大都市について国勢調査によって情報処理技術者比率からその特化係数を算定した。その結果、フリーランスや女性の係数で地域的な違いがわかった。さらに市町村ごとのGitHubのアカウント数を推定し、ネットワークでつながるノードとして潜在IT技術力と定義した。地方ながら潜在IT技術力が高い地域の特徴は、高専、研究大学院大学、米軍基地、自然リゾート地、まちおこしなどであった。
C31-4: データ取得 司会: 田頭 まき + 概要を表示 Show Abstracts
C31-4-1 オフライン時にもデータ収集可能なスマートフォン利用野外情報収集システムの開発
PDF 嘉山 陽一
2019年にチャットボットを利用した災害情報収集システムを作成し,そのシステムのデータ共有部分をGoogle Spread Sheetを利用して汎用化を行った。しかしチャットボットを利用したシステムの場合インターネット接続ができない場所ではチャットボットの利用ができないためデータ収集を行うことができない。2020年の九州豪雨で熊本県の人吉地方では携帯電話の設備に多大の被害があったためスマートフォンからチャットボットを利用することができず災害情報収集システムの実行環境を用意したが利用することができなかった。をのような場合でも情報収集を行うことができるようにスマートホンのネイティブアプリとして動作する情報収集システムの試作を行った。本システムでは災害現場等でスマートホンを利用し、テキスト、静止画像、動画像、音声等の情報を位置と時刻情報つきでスマートホン内に蓄積することが可能である。そしてインターネットにスマートホンの接続ができるようになった時に蓄積された情報をサーバにアップロードしGoogle Spread Sheetに格納する機能の開発を行った。
C31-4-2 QGISプラグイン版『聞き書きマップ』の開発
PDF 原田 豊
先行研究で開発した野外調査記録作成支援ソフトウェア『聞き書きマップ』を汎用GISとシームレスに連携可能なものとするため、QGISプラグイン版を開発した。PyQGIS言語を用いた開発により、従来のArcGIS Explorer版と同等の機能の基本部分を実装するとともに、音声データの時刻合わせの完全自動化を実現した。これにより、スマートフォン版『聞き書きマップ』や試作中の一体型専用端末で記録したデータをQGIS上で直接処理することが可能になり、今後のマルチプラットフォーム化への見通しも得られた。
C31-4-3 編年時間参照系データのRDB実装の試行
PDF 村尾 吉章・清野 陽一・藤本 悠・玉置 三紀夫
編年とは,過去の土器型式や王朝の変遷など,ある特性の時間変化に着目して時期を分類したものである.一般的な時代区分も一種の編年であり,また,ある編年が特定地域・特定条件のもとで時代を区別する指標とみなすこともできる.この編年の特性を利用すると,時間軸における尺度として編年を利用することが可能となる.編年時間参照系モデルは,編年を用いて地物の時間属性表現を可能にすることを目的として,JIS X7108「時間スキーマ」に準拠した形で筆者らが定義した.本稿では当モデルをRDBのユーザー定義型およびユーザー定義関数を利用して実装し,時点や期間といった事象のもつ時間属性の編年による表現,編年で表現された2つの事象の時間関係の識別,編年を用いて表現された時間範囲指定による事象の検索などを試みたのでその概要を報告すると共に,編年による時間属性と空間属性とを組み合わせた地物表現の実用性とその利用可能性について考察する.
C31-4-4 デジタル道路地図の更新のための道路告示データシステムの開発
PDF 小林 亘・市川 広志・星 英治
道路区域の変更や道路の供用開始は告示により周知される。道路の変化に対し遅滞なく確実にデジタル道路地図を更新するため,道路告示をデジタルデータとして活用するシステムを開発した。道路のジオコーダとリンクし,始終点を地図上に表示することもできる。これを利用すれば情報公開請求,紙,縦覧による情報収集に比べ,道路管理者と地図製作者の双方の効率が向上する。2020年度から一部の道路管理者で利用が始まった。
C31-4-5 "Development of A Regional Plan Database for Narrowing Down Digital Design Process: Based on the Planning Cases in Susono, Shizuoka Prefecture"
PDF 馬 珏・小俣 博司・関本 義秀
The aim of the present study is to prepare a database on regional planning to access the useful index and features for digital design simulation and narrow down the freedom of calculation. Based on two regional planning cases: the New Fukara Station planning and New Fukarahiramatsu Street planning in Susono, Shizuoka Prefecture, we developed the model for simulating the planning process, for which the database is working to support the digital design and cost & benefit calculation from multi-source data. The land purchase scenario and land readjustment scenario were designed for different regional development approaches. This paper describes the data and methods used to produce the database and represents its linked model. The result intends to be significant for improving the efficiency of citizen communication and regional management.
D31-4: 【企画セッション:若手分科会】学生フリーテーマ発表会2021(2) + 概要を表示 Show Abstracts
オーガナイザー:上杉 昌也、堤田 成政、薄井 宏行、相 尚寿
D31-4-1 水害対応を中心とする密集市街地改善の提案 ―建物更新に着目して―
PDF 鳥井原 遼・福島 渓太・成澤 拓実・加藤 琢磨・江端 吾朗・篠原 周太郎・森田 洋史・薄井 宏行・大津山 堅介・廣井 悠
本発表では、水害を考慮した密集市街地改善施策を検討した。対象地は、水害を中心とする災害危険性が高く、商店街や町工場が混在した下町の街並みを残す墨田区京島3丁目である。建物更新予測モデルに基づき市街地改善シナリオを3種提案し、各シナリオの効果の評価を行った。結果、趨勢シナリオと比較して3階建ての独立住宅、垂直避難先及び空地が増加し、併用住宅の用途を維持し下町の魅力を保つことのできる下町保全シナリオが望ましいと判断した。
D31-4-2 「まちをみる」視点を変化させるツールとワークショップの実践報告
PDF 西條 真結乃・恩賀 天汰・塚本 章宏・森原 規行
本発表は、新しい視点で「まちをみる」ために考案されたツールである「視点変化サイコロ」とそれを用いたワークショップの成果を報告するものである。「視点変化サイコロ」は、サイコロの6つの面にはオノマトペや漢字、記号などが描かれたもので、ワークショップでは、サイコロの出た面に関わるスポットを探さなければならないため、自分たちのまちを普段とは異なる視点で眺めることになる。その変化した視点から収集したスポットの特徴や分布傾向について報告したい。
D31-4-3 徳島のサウンドスケープー日常の音の記録と地図化ー
PDF 原 桜子・川口 夕奈・塚本 章宏
「サウンドスケープ」とは、「耳でとらえた風景」すなわち「聴覚的景観/音の風景」を意味する言葉である(鳥越1990)。ここでは、徳島を対象地域として、日常生活で耳にするまちの音とその周辺環境についての調査結果を報告する。聞こえた音と地点情報により、「自然」「機械・人工物」「生活・文化」「複合・分類不可」の4つのジャンルに分類して、また地図化しながら、徳島のサウンドスケープを構成する音の要素について検討を進めている。
D31-4-4 受講者から見たオンラインでのGIS学習における取り組みと課題
PDF 平野 里穂・伏原 穂高
東京都立大学観光科学科では2020年度、QGISを用いた実習型授業をオンラインにて実施した。通常PC環境の整った大学演習室にて対面で行われるものであり、GIS初学者に完全非対面で講義がなされたのは初めてのことであった。この授業に関し、「取り組みの内容」や「生じた課題」、その「対処の実態」、また「非対面でのGIS学習に対する提案」を、受講生の目線から発表する。学生の生の声を拾う内容となっており、より良いオンライン講義を模索するにあたっての一助となることを期待する。
H31-4: 【ハンズオンセッション】 + 概要を表示 Show Abstracts
ArcGIS API for Python体験
オーガナイザー:土田 雅代
Pythonをブラウザ上でインタラクティブ(対話的)に実行できるツールであるJupyter Notebookを利用して Webマップと地理空間データを扱うためのPythonベースのAPIを体験していただきます。必要なライセンスは弊社にて用意しますので、各自インターネット接続可能なPCおよびタブレットのどちらかをご用意ください。
動作環境 https://www.esrij.com/products/arcgis-api-for-python/environments/
お申込み先:土田 masayo_tsuchida@esrij.com
ポスターセッション Poster Session+ 概要を表示 Show Abstracts Click the button to show/hide abstracts
P-1 放棄茶園を空中写真から機械学習により識別する予備的調査
PDF 瀧口 周・石田 智士・小山 直樹・鈴木 静男
空中写真データに対して茶園探索が可能なプログラムを作成し、空中写真上に存在する放棄茶園の特定を目指す。沼津市における空中写真を入手し、放棄茶園の有無を確認する現地調査を行った。これらデータは、地理情報システムを用いて集約し、機械学習を行うための訓練データと検証データを作成した。その後、訓練データを用いた学習を行い、識別器による放棄茶園の予測とそれに対する検証を行った。
P-2 ドローンで収集した熱赤外画像と可視画像を活用した広域を対象とした空き家分布推定手法の開発
PDF 秋山 祐樹・飯塚 浩太郎・今福 信幸・杉田 暁
近年,全国で空き家が増加し続けており,自治体では空き家の広域に亘る空間的な分布調査を迅速かつ安価に実施する手法が求められている.そこで本研究では著者ほかの既存研究を発展させ,ドローンに搭載した熱赤外カメラを用いて,広域の撮影と3Dモデリングを実施することで,居住者の生活に由来する熱や夜間光の発生を詳細に把握し,建物単位で空き家か否かの判定を行う技術を開発した.その結果,広域の空き家を一括で観測できる可能性を示すとともに,その課題も明らかとなった.
P-3 茶園におけるデジタルカメラを用いた新葉の生産量と茶葉特性の推定:2シーズンの予備的解析結果
PDF 藤田 将史・大勝 友晶・芳野 恭士・中野 敬之・亀山 阿由子・小澤 朗人・髙山 弘太郎・安田 泰輔・小山 直樹・鈴木 静男
生産量と品質の向上のため静岡県沼津市の特産品である茶に対して、リモートセンシング技術を適用した。2019年と2020年、両年の3月下旬から6月下旬までの期間、画像撮影と試料採取を茶園で行った。二つのデジタルカメラ(通常と近赤外を撮影可能)を用いて高さ5.5mから撮影後、葉を採取し、単位面積当りの新葉生産量、新葉成分(テアニンとタンニン濃度)を定量した。新葉の生産量と各成分濃度を推定するために重回帰分析を行った。
P-4 Study on green infrastructure effect of lawn -Focusing on rainwater management-
PDF Shan Liu and Naoko Fujita
One of the characteristics of green infrastructure is its versatility. In this research, classifying the characteristics of the lawn using geospatial information, the actual condition of the rainwater infiltration function as a green infrastructure will be examined. Due to recent climate change, heavy rains occur frequently, and urban floods such as flooding and flooding tend to occur in each region. As one of the symbol urban landscapes, the lawn has not only the functions of exercise and landscape, but also the function of infiltration of rainwater and the disaster prevention and mitigation function of storage.
P-5 機械学習を用いた空中写真からの竹林抽出
PDF 望月 拓海・諏訪 尚也・安田 泰輔・鈴木 静男
管理が放棄された竹林の拡大により生物多様性の低下、土砂災害等の問題が引き起こされる。竹林の分布を把握するため、空中写真から機械学習の一種であるRandom Forestを用いて竹林を抽出した。更なる抽出精度の向上を目指して、本研究では複数の機械学習による空中写真からの竹林抽出を試みた。
P-6 ソーラーシェアリングにおける作物環境の予備的調査
PDF 鈴木 檀・菊川 宗弘・山田 クリス孝介・髙橋 長一・栗田 栄次・中澤 達夫・鈴木 静男
農林水産省では、農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備等を設置し、農業と発電事業を同時に行うソーラーシェアリング(または営農型発電設備とも呼ばれる)の導入を促進している。この設備下で作物を栽培し、露地栽培と比較して光環境、土壌水分、地温などの環境条件が、どのように変化したかを調査するとともに、そのような環境変化に伴う作物生長を調査した。本発表では、予備的調査結果を報告する。
P-7 静岡県御殿場市におけるナラ枯れ状況の把握―衛星画像を用いた予備的調査―
PDF 窪田 雪人・星川 健史・麻生 直子・杉本 貴章・小栗 幹一・鈴木 静男
近年、カシノナガキクイムシによるナラ枯れ被害が全国的に広がってきた。静岡県御殿場市でもナラ枯れ被害がみられるため、衛星画像を用いて被害場所の識別とその面積を定量することを試みた。識別は、正規化差植生指標(NDVI)を用い、面積の定量は、地理情報システムソフトウェアを利用した。加えて、ナラ枯れの被害が発生しやすい立地条件等についても検討した。本研究は、その予備的調査結果を報告する。
P-8 茶園設置トラップ捕獲害虫に対する機械学習を用いた種同定と個体数計測の予備的調査
PDF 和田 憲親・佐藤 安志・須藤 正彬・鈴木 静男
茶園害虫の一種であるクワシロカイガラムシ等をトラップで捕獲した。捕獲された害虫の種同定と個体数計測は、この種の発生予測を行うための重要なデータとなる。しかし、手作業では多くの時間を要するため、画像化して機械学習により種同定と個体数計測を試みた。機械学習としては、物体検出の一種であるYOLOを用いた。クワシロカイガラムシとそれ以外の害虫について、種同定の精度について報告する。
P-9 テキストマイニングを用いたマスメディアにおける樹木葬の空間的・時間的な多様化に関する研究
PDF 今泉 優子・藤田 直子
本ポスターセッションでは、1999年に我が国で初めて樹木葬墓地が開園してから現在までのメディアによる樹木葬の取り上げ方の多角化の変遷を明らかにするとともに、全国的な樹木葬墓地の空間的・時間的分布の変遷を明らかにする。具体的には、3大新聞で樹木葬のキーワードが含まれる記事を全て収集し、テキストマイニング分析を行う。そこから地理情報に関わる内容をGISで表示し、空間的・時間的な変化を分析する。
P-10 人工知能を用いたデジタルツイン都市の街路樹属性データ自動構築
PDF 神沼 英里
近年、都市機能をデジタル化して経済発展を目指すスマートシティの取組みが世界の都市で増えている。特に「デジタルツインシティ(DTC)」と呼ばれる、3次元(3D)都市モデルの研究開発が進められている。DTCは、都市の物理空間に存在する物体・環境等の情報を収集して、デジタル空間上に仮想都市を再現する技術である。DTCを構築すると、環境シミュレーションが可能になり、都市計画に役立てる事が出来る。ただしDTCの構築には専門技術の知識が欠かせず、デジタル人材が少ない日本の都市では作成コストが高い。そこで我々は、都市間でのDTC作成格差を減らす為に、DTC属性データの人工知能(Artificial Intelligence: AI)を用いた自動生成を目指している。本発表では街路樹GISデータを事例として、人工知能技術を用いたオープンデータからのDTC属性の自動構築手法と、3D都市モデル基盤Project Plateauでの可視化結果を紹介する。
P-11 The research on comparison before and after the occurrence of COVID-19 in agricultural experience activities
PDF Yuling Liu and Naoko Fujita
COVID-19 has changed the society significantly. While seeking a way to enjoy daily life while maintaining a social distance, the format of urban farms and hands-on farms has changed significantly. Therefore, the purpose of this study is to clarify the actual conditions of users and managers before and after the occurrence of corona in agricultural experience activities. The countermeasures for farming experience activities due to the influence of corona, changes in user behavior, etc. are displayed in geospatial space.
P-12 人流データを利用したCOVID-19流行の微細な時空間モデル
PDF 中谷 友樹・足立 浩基・永田 彰平・藤原 直哉
COVID1-19流行の制御を目的として、都道府県レベルの患者数報告と、これを利用した実行再生産指数の推移が着目される。同時に感染を拡大させうる接触規模の間接的な指標である人流データによる指標も活用されるようになってきた。一方で、市区町村やより詳細な地理的な位置精度をもつ感染発生の推移と人流データとの関連は、いまだに不十分にしか理解されていない。そこで、人流データによる時間帯別滞留人口の指標と小地域単位での感染拡大の指標を関連づける基準メッシュレベルで疫学的な意味づけも一定可能な時空間モデルを開発した。
P-13 Before/Withコロナにおける梅田来街者の動きの可視化
PDF 松村 一保・伊藤 暁・長坂 英登・北川 悠一・高橋 伸治・武内 雅俊・吉田 祐子
個人特定ができないように十分に配慮され秘匿化されたスマートフォンの位置情報データであるポイント型流動人口データ(株式会社Agoop提供)を利用して、Before/Withコロナにおける大阪梅田の来街者の動きを可視化した。梅田エリアを8つのブロックに分け、エリア全体の来街者の内、各々のブロックにどれくらいの人が来ているのか、各々のブロックに来た人はどのようにブロック間を移動しているのか、また各駅や各商業施設をどれくらいの人が利用し、各々の利用者はどのような動きをしているのかといったことを捉えることができた。
P-14 コロナ禍における夜間光輝度と人流データとの相関性評価
PDF 杉本 賢二
新型コロナウイルスの感染拡大対策として,人の移動や人と人の接触を避けることが求められている.現在公開されている都市の人口増減率はスマホの位置情報を用いて分析,可視化されているが,広範を対象とした人流の把握は,位置情報の入手可能性や匿名性,膨大な費用などが課題となる.本研究では,社会経済活動と密接な関係がある,人工衛星により観測された夜間における地表付近の輝度である夜間光データを用いて,コロナ禍における主要駅・繁華街における人口増減率との相関性を算出し,夜間光データを用いた人流把握の可能性を検討した.
P-15 「Wi-Fi人口統計データ」による青学生の行動分析~フェアトレードカフェの利用促進を目的として~
PDF 森下 直哉・村上 広史・忽滑谷 優里
本研究では、青山キャンパスに通学する青山学院大学生(青学生)によるフェアトレード(FT)商品の消費の促進を図るため、Wi-Fi自動接続アプリのログデータである「Wi-Fi人口統計データ」 を用いた青学生の行動範囲分析と、その範囲内でFT商品を扱うコーヒー専門店のマッピングを行った。その結果、原宿駅付近や渋谷駅西側など最寄り駅からキャンパスまでの最短通学路の外側にも青学生の行動範囲が広がっていることが分かり、青学生の行動分析におけるWi-Fiログデータの有効性を確認できた。
P-16 センサを用いた廊下における歩行者数の推定
PDF 田頭 まき・大佛 俊泰・羽田 優太・伊山 潤・福島 佳浩
筆者らはこれまで,建物内滞留者分布を把握すること目的に,赤外線人感センサや加速度センサを用いて階段室利用者数を推定する方法を提案してきた。しかし,階段利用者数が限られる中高層建物の建物内滞留者分布を求めるためには,階段室だけではなく,廊下などの滞留者数も把握する必要がある。本稿では,これまでに構築した階段室利用者数の推定方法を援用し,赤外線人感センサや加速度センサを用いて廊下歩行者数を推定する方法を検討する。
P-17 センサ付き計測自転車による自転車走行空間の評価
PDF 末松 菜々子・嚴 先鏞・鈴木 勉
自転車にとって走行しやすい自転車走行空間整備のために,東京を対象に整備されている自転車走行空間の走りやすさやその特徴を計測調査・把握し,走行空間の形態に着目しながら走行に支障を与えうる要因が発生する場所の類型化を行う.計測内容は自転車とその他障害物との距離,舗装が与える振動やハンドル舵角,ドライバーのストレスを図る心拍変動,走行空間環境(カメラ映像)などである.上記計測結果を,交通事故オープンデータ(警察庁)・道路データと照合し,路上駐車や自転車の間近を追い越す自動車がどの程度の阻害要因になるか,また,車道に設置された自転車通行空間の快適性と自動車交通量にどのような関係があるかを明らかにする.
P-18 仙台市における歩行場所の空間的特性:GPSログを用いた分析
PDF 永田 彰平・中谷 友樹・埴淵 知哉・中谷 直樹・寳澤 篤
歩行は日常生活の中で比較的容易に実施可能な身体活動で、非感染性疾患の予防に寄与することが知られている。近年、歩行を促す都市の環境指標として「ウォーカビリティ」が注目されているが、多くの研究は居住地周辺の環境を対象としている。本研究では、個人の歩数データとGPSベースの移動軌跡をもとに、個人の歩行量を増加させる訪問場所の空間的特性を分析した。
P-19 「Wi-Fi人口統計データ」の位置精度に関する初期検証
PDF 村上 広史・森下 直哉・忽滑谷 優里
本研究は、Wi-Fi自動接続アプリのログデータである「Wi-Fi人口統計データ」により得られる位置情報について、東京都渋谷駅周辺のWi-Fi接続サービスのアクセスポイント(AP)のBSSID(Basic Service Set Identifier)を現地調査で取得し、それにより得られた位置情報と比較することでその精度を検証したものである。Wi-Fi接続サービスには、特定の店舗が行うAP位置が明確なものと携帯電話キャリアなどが行うAP位置が不明なものがあるため、精度検証はこれらを区別して行った。
P-20 近隣の「形」は居住者の地域評価を高めるか?:都市形態指標を用いた居住地域分類と生活様式の関係
PDF 清水 遼・中谷 友樹・埴淵 知哉・磯田 弦
本研究では、近隣スケールの市街地の物的形態と、居住者の生活様式に関連する各種の日常的行動や主観的評価(満足度)との関連性を分析した。仙台都市圏における小地域を分析単位とし、密度・土地利用・接続性・アクセシビリティ・都市景観に関する都市形態指標群を算出し、これらを利用した小地域の類型化を行った。その上で、対象地域で実施されたインターネット社会調査のデータを用いて居住者の行動および評価指標を類型別に集計し、各類型を特徴づける生活様式の違いを明らかにした。
P-21 信州大学における地域教育よる就職状況と地域定着要因-学部生を対象として-
PDF 西尾 尚子・勝亦 達夫・林 靖人
近年、地方創生は重要な課題の1つであり、東京一極集中の是正は必要であると考えられている。地域間の人口移動の諸要因は様々あるが、本研究では約10年間にわたる大学卒業後の就職時の移動に焦点を当て、大学生の就職における地域定着要因を探ることを本研究の目的とする。学生自身の先天的、後天的要因、年代毎の差異、地域の産業等に着目して分析を行う。
P-22 出生力変化の地域較差の要因分析:2000~2015年 ~地理的加重回帰法による空間的非定常性の検証~
PDF 鎌田 健司・岩澤 美帆
本研究は2000年以降の市区町村別にみた出生力変化の地域較差について分析を行うことを目的とする。分析は(1)2000-05年の出生率低下期、(2)2005-10年の出生率回復期、(3)2010-15年の出生率停滞期の3期間に分けて行い、各期間における空間的非定常性の検証と地域較差の特性について地理的加重回帰法を用いて分析する。目的変数は出生力指標(結婚・夫婦出生)、独立変数は経済環境、世帯構成、就業状況、移動状況、子育て環境等の変数を用いる。
P-23 カーネルの重みをスパース推定する新たな地理加重回帰の提案
PDF 堤田 成政・村上 大輔・吉田 崇紘・中谷 友樹
地理空間上の空間的異質性を考慮した空間回帰モデルの一つである地理的加重回帰モデルは、地理的カーネルをもちいて対象とする現象の局所性を表現する分析手法である。そのため、地理的カーネルの形状や大きさをパラメータとして事前に定義する必要がある。カーネルの大きさは、AICやクロスバリデーションによりモデルの当てはまりの良さを最適化することで算出可能であるが、その際に用いられるカーネルの形状はGaussian, Bi-square, Box-carなどから恣意的に決定されることが多い。しかしながら、カーネルの形状が分析に影響を及ぼすことはあまり着目されていない。そこで本研究では、カーネルの形状を事前定義することなく、データの局所的な特徴より地点ごとに局所性を柔軟に変動することを可能とする地理的加重回帰モデルを提案する。距離減衰を実現するカーネルを離散的に表現し、階層的に重み付きされた各変数を正則化により変数選択することによって実現する。
P-24 徒歩によるコンテンツツーリズム支援システムの構築
PDF 長野 伸秋
近年、コンテンツツーリズムと呼ばれる、映画、ドラマといったコンテンツの舞台である土地を訪れる観光行動が盛んになっている。その推進のためには、コンテンツのファンだけでなく、その地域に住んでいる住民の理解が必要であり、地域住民が舞台である場所を知ることもまた重要である。本研究は、東京都調布市を対象とし、地域住民の健康の保持増進も兼ねた徒歩でのコンテンツツーリズムを支援するシステムを構築する。観光行動を支援する機能だけでなく、利用者の健康への意識を向上させる機能も作成する。
P-25 スマホアプリを用いた観光情報配信の適切なタイミング把握のための実証実験
PDF 相 尚寿・鍛治 秀紀
本研究では、観光目的とは限らないスマートフォン利用者に適切なタイミングで観光情報を配信することで、空き時間を利用した観光行動を誘発したいと考えている。その基礎的技術として、利用者の歩行様態を表す速度および加速度データから、観光行動を誘発できそうなタイミングを自動判別する方法の構築を目指している。本報告では、実際の都市空間で行った歩行実証実験を通じて得られた歩行様態データについて、その安定性、精度について概観する。
P-26 地方自治体が発行する自転車利用者向け観光地図の類型化:観光地図に掲載される地理空間情報に着目して
PDF 田中 大輔・雨宮 護
我が国では、観光目的での自転車利用が推進されている。一般に観光においては、主目的地だけでなく、周辺の複数の副目的地を訪れる周遊行動が重要とされる。観光目的での自転車での周遊行動を促すには、適切な地理空間情報の提示が必要と考えられる。本研究では、観光目的での自転車での周遊行動を促す地理空間情報の解明に向けた基礎的検討として、地方自治体が発行する自転車利用者向けの観光地図を、掲載される地理空間情報の種類に基づいて分類した。
P-27 フードツーリズム計画作成支援システムの構築
PDF 平野 真誠
従来の観光、旅行においての飲食は、あくまで副次的な要素に過ぎず主体となることは少なかった。しかし、旅行先での飲食を目的とする旅行形態であるフードツーリズムというものが日本で普及してきている。日本でフードツーリズムに関心を持つ国民は一定数おり、また地域特色の食文化を町おこしに利用する地域も数多く存在することから、フードツーリズムは地域活性化に効果があることが期待されている。 本研究では、フードツーリズムをする旅行者が旅行計画を作成することを支援するシステムの構築を目的とする。
P-28 Creation and Conservation of Regional Landscape based on the Feng-Shui Theory
PDF Zile Tian and Naoko Fujita
Feng-Shui Theory is a Chinese traditional thought, and is considered to be a theory that determines the site selection and planning of cities or regions by evaluating geographical factors. In this study, we grasp the spatial characteristics of the regional landscape and the strategy of the landscape planning which based on the Feng-Shui Theory. Then, after analyzing the data of regional landscape by using a geographic information system, we will explore the impact of the Feng-Shui Theory on the creation and conservation of regional landscapes, and the possibility of landscape conservation and utilization based on the Feng-Shui Theory.
P-29 都市生態系における中型・大型哺乳類の出没と景観構造との関係
PDF 鈴木 透・福島 玲依
都市生態系に出没する野生動物に関しては、野生動物の保全と人間社会との軋轢に関するトレードオフの関係が常に存在する。そのため、都市生態系における野生動物を適切に管理するためには、野生動物がどこに、どのような条件で出没するのかを把握することが重要である。本研究では札幌市の河畔林と防風林における中型・大型哺乳類の出没状況を調査し、出没と景観構造との関係の分析から、出没傾向と条件を明らかにした。
P-30 A study on changes in landscape patterns of representative major cities in Asia from the perspective of Eco-DRR
PDF Minghui Tang and Naoko Fujita
In recent years, research on disaster prevention measures using ecosystems has been promoted in large cities including Western countries, but research on them and social implementation have been delayed in Asia. In this study, we selected major cities in Asia such as Osaka, Shanghai and Jakarta, classified the urbanization stages into four stages, and used Fragstats to perform a comparative analysis of changes in landscape patterns in each study area.
P-31 "Analysis of Components of Cultural Landscape from the Perspective of Pickles Making: International Comparison between Yamagata Prefecture and Sichuan Province, China"
PDF Suxueer Sun and Naoko Fujita
This research focuses on the preservation and inheritance of local resources related to food, and the loss of landscape due to population decline and aging. Using Yamagata Prefecture's Seisai pickles and Omi pickles and China's Guangyuan pickles from Sichuan Province as examples.GIS was used to analyze the topography, soil, land use, and hydrology of the two areas. Representing changes in time and space. In addition, clearly identify their landscape components and clarify the characteristics of cultural landscapes.
P-32 大阪市内の旧街道と歴史・文化・暮らしの痕跡の可視化
PDF 原 雄一
大阪市は飛鳥・奈良時代の難波宮以降、現在に至るまで交通の要衝であり、数々の歴史の舞台になってきた。特に大阪市は、京都、奈良・生駒、紀州、高野山、北摂、中国地方に至る旧街道の出発点として位置づけられる。神社参拝、商業活動、軍事行動の道として、西の大阪湾を除く各方面に通じる旧街道が多数存在している。第二次大戦での大規模な空襲とその後の経済発展により旧街道は大きく変貌してきた。区画整理などにより消失した区間も部分的に存在する。そのような中でかすかにその痕跡を残している箇所は街道の歴史の代弁者として稀少性を増してきている。Google Earth ProとGoogle Earth クリエイションツールを活用して、このような大阪市内の旧街道のマクロなランドスケープとミクロに分布する痕跡の可視化を試みるものものである。
P-33 平安京跡データベースを用いた遺跡マネジメントの分析と検証
PDF 武内 樹治・矢野 桂司
近年、埋蔵文化財行政においてGISを用いた遺跡管理が行われつつあり、また遺跡や発掘調査が社会の中でどのような位置づけがなされているのかについて議論されている。本研究では、平安京跡における発掘調査を集成した平安京跡データベースを用いて、調査原因や調査地点、調査の過程を見直し、開発などの社会と遺跡・発掘調査の関わりについてGISを活用した分析を行うことで、遺跡マネジメントのあり方を考察・検証する。
P-34 伊豆半島における古文書の文字認識―エンドツーエンド型手法を用いた予備的調査
PDF 坪井 寿裕・芹澤 正太郎・和田 憲親・橋本 敬之・平林 研治・北本 朝展・鈴木 静男
伊豆地域では,旧家の史料調査が行われ,多くの古文書が発見されている.古文書の解読をコンピュータによって補助することで,大幅な解読時間の短縮が見込まれる.近年,画像を入力とし,テキストを出力とする中間的な特徴表現を全て機械に学習させる方法(エンドツーエンド型手法)が,多く取り入れられるようになった.そこで本研究では,物体検出手法のYOLO等を用いたエンドツーエンド型手法を取り入れた予備的調査を行った.
P-35 伊能図の多角的検証に向けたGISデータベース構築の試み
PDF 塚本 章宏
本研究は、アメリカ議会図書館が所蔵する伊能大図を対象とした記載情報のGISデータベース化を進めている。従来から行われている地図のデジタル画像をジオリファレンスするだけではなく、グリッド、数字、メモなどの地図に付加的に描画された情報にも注目している。ここでは、そのデータベース化の進捗を報告するものである。
P-36 公共トイレの定量的分類及び需要に基づいた配置分析 -東京都板橋区を取り上げて-
PDF 塩崎 洸・杉浦 完征・薄井 宏行
公共トイレは屋外での活動中に利用される基盤インフラだが、設備や管理状態の差が大きく、人々の活動の分布は一様でないため地理的に均質な配置が必ずしも良いとは言えない。そこで本研究では現状の公共トイレの性質及び配置の問題点を明らかにすることを目的とする。東京都板橋区の公共トイレについて、全数調査を行い設備や清掃回数等を分析すると共に、公園利用者数推定に基づく近隣需要及び人流データに基づくフロー需要を算出し現状のトイレ配置との比較を行った。
P-37 東京都千代田区の公衆トイレ面的配置問題に関する分析
PDF 左右田 敢太・岡澤 由季・滝澤 輝久・黄 伊琳・藤松 駿・薄井 宏行・樋野 公宏
東京都千代田区を対象に公衆トイレの最適配置を検討する。千代田区は公衆トイレの面的配置を半径500mのバッファの被覆状況に基づき評価している。ところが、バッファ分析では公衆トイレへのアクセシビリティの地域間格差を明示し難い。本報告では、最寄りのトイレまでの距離が最も遠い地点を中心とする円(空円)により現況配置を評価し、その属性や地域特性を考慮した千代田区内の公衆トイレの配置改善例を提案する。
P-38 地方自治体が有するデータのボリューム分布とGIS導入の関係について
PDF 大伴 真吾・新井 千乃・家中 賢作
つくば市が公開している市の保有データ一覧に、個々のデータのボリュームに関する情報が追加された。そこで、位置情報を持つデータとそのボリュームに注目し、庁舎内でのデータの分布状況をGISで視覚化するとともに、これらのデータを利用したGISの活用状況あるいは導入可能性との関係について考察を行った。
P-39 都市計画・行政サービス広域圏の分布から見た圏域の空間単位
PDF 佐野 雅人・嚴 先鏞・鈴木 勉
町村を越えた広域連携単位の検討に向け,現状の都市計画や行政サービスの圏域を調査し,それらの関連性を地勢的に把握することを目的とする.広域で計画される都市計画区域や連携中枢都市圏,管轄を区切って提供される都市サービスとして保健所,税務署,裁判所,そのほかに地域単位で提供される気象情報などの圏域を全国で収集し,それらを可視化する.これにより,現状の住民の生活圏を推定するとともに,地勢的広がりや種類間の類似性の観点から各都市機能圏域の空間単位の差異を明らかにする.
P-40 マンション価格データからみるグローバル都市における地理的・垂直的居住分化
PDF 上杉 昌也
21世紀以降の大都市では、高所得層の都心集中による地理的な居住分化の進展がみられるが、東京などにおいてはタワーマンションに代表される高層マンション内部での垂直空間における居住分化も指摘される。本研究では、東京都区部およびその他の大都市を対象に、2015~2020年におけるマンション価格データを用いて、地理的・垂直的な居住分化の実態について明らかにする。また都市間比較によりグローバル都市としての東京の特徴についても考察する。
P-41 地震リスク軽減の空間計量経済分析
PDF 河端 瑞貴・直井 道生・安田 昌平
本研究は、空間計量経済モデルを用いて、東京都の地震リスク軽減の直接効果と間接(スピルオーバー)効果を推定し、地震リスクを軽減する都市整備の便益評価を行う。地震リスク指標には木造住宅密集地域と地震時等に著しく危険な密集市街地等を用いる。分析モデルには路線価を用いたヘドニック・モデルを使用する。路線価を用いることで、空間的に詳細なスピルオーバー効果を推定し、地価公示を用いた既存研究の結果と比較する。
P-42 防災におけるグリーンインフラを活用した土地利用コントロールに関する研究
PDF 市川 直哉・渡辺 公次郎
本研究の目的は、防災グリーンインフラとしての農地と緑地に着目し、その特徴を活かした土地利用を実現するための計画論に対する知見を得ることである。まず、アンケート調査により、農地と緑地の実態や管理の現状について、自治体レベルの意識を調査した。次に、洪水被害を受けた地域で、浸水域と区域区分、農用地区域との関連を分析した。以上より、洪水浸水域と重複する農地割合が高い傾向にあったが、自治体の意識としては、農地を防災に活用する意向はほとんどなかった。