地理情報システム学会

GeoAI Seminar‘2024 Summer(実施報告)

GeoAI Seminar‘2024 Summer

GeoAIの空間データモデル:理論から応用まで

実施報告

地理情報システム学会/GeoAI分科会はGeoAI Seminar’2024 Summer「GeoAIの空間データモデル:理論から応用まで」を企画し、2024年7月5日15:30-20:30に慶應義塾大学SFC研究所みらいのまちをつくる・ラボにて開催しました。今セミナーも前半ハンズオン、後半パネル討論の2部構成で行いました。会場定員いっぱいの総勢40名が参加され、好評に終わりました。

 

ハンズオンは中央大学大場章弘助教のモデレートのもとで進められました。Addin ChatGPT ArcGIS Pro 3.1を用いて対話型にコンビニ商圏地図を生成する方法を学びました。一部Pythonを知っている参加者であれば、素早くデバッグし、ゴールまで進められました。一方、多くの参加者は2時間以内にゴールまで到達できませんでした。これはGeoAIトレーニングコースの構成によい経験になりました。

 

パネル討論は、慶應義塾大学厳網林教授がモデレートし、まずGeoAIの趣旨、活動の経過、初歩的知見を報告し、GeoAIは畳み込みニューロネットワーク(CNN)、リカレントニューロネットワーク(RNN)、グラフニューロネットワーク(GNN)を統合し、ラスターデータ、ベクターデータ、セマンティックデータを有機的に学習する時代に来ているという見解を提示しました。続いて一般財団法人日本デジタル道路地図協会鎌田高造理事長より「道路のデータモデル 現状と理想〜GeoAIをナビ側から眺めて」を題として、講演いただきました。次に一般財団法人リモート・センシング技術センター研究開発部小林優介氏より「GeoAIの空間データとしてのリモートセンシング」を題に話題を提供いただきました。また、株式会社パスコ衛星事業部 AIソリューション部/研究開発センター研究開発第二グループ島崎康信氏から「衛星データ等の空間データのAIモデル化の現状と課題」について講演いただきました。最後に、「空間ビッグデータから空間AIへ〜地盤評価予測への取り組み~」、ジャパンホームシールド株式会社小尾英彰氏より日本スーパーマップGeoAIを元に開発された「JHS地盤評価予測システム」をご紹介いただきました。

以上の話題を踏まえて、パネラーによる討論を展開しました。まず司会からそれぞれの立場からGeoAIの基盤モデルはどうあるべきかを質問と議論を進めました。最後に会場からも数多く質問があがりました。たとえば、測量会社が持つ膨大な測量データはオープン化する可能性はありますか。そのようなデータはほとんど自治体所有となっていて、会社独自利用は認められていません。また衛星データの分類精度やモデルの予測精度について、モデルの精度を高める方法、データの作り方を直す方法が考えられます。どちらがより効率でしょうかという質問もありました。

以上、ハンズオン2時間、パネル討論2時間にわたって、GeoAIの基盤モデルを原理から応用まで、体験と議論を展開し、有意義な時間を過ごすことができました。10月26-27日のGIS学会学術大会中の企画セッションでまた再会し、この議論をさらに深掘りしていくことにして、閉会しました。その後も会場に大勢の方が21時過ぎまで残り、名刺交換と意見交換を続けました。

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