会長挨拶

会長就任にあたって   大佛 俊泰(2020年5月18日)    

令和2516日に開催された第70回理事会においてご推挙を賜り,このたび,本学会の会長に就任することになりました.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威により全世界が混乱し,我が国でも緊急事態宣言が発出され,未曾有の事態が続く「嵐の中の船出」となりました.ますます,この重責を痛感しております.

今回のコロナ禍は社会に大きな変容をもたらすでしょう.ヒトやコトやモノの劇的な変化は既に世界規模で起きています.すぐに回復するものもあれば,回復に何年も要するものもあるでしょう.また,これを契機に,今までにはなかったサービスや技術が生まれる可能性もあります.従来までの空間移動が制限されることで,テレワーク,遠隔授業,遠隔医療,宅配サービス,行政オンラインサービスなどが急速に活性化しています.急激に膨張した需要は新たな市場を生み出し,これに呼応するように新規サービスとそれを支えるためのインフラや技術が注目を集めています.地理情報と通信技術を活用した生活基盤サービスの重要性が多くの人々に再認識されていると言えます.

劇的な変化の中には地理情報を伴う現象は無数に存在します.その変化を冷静に捉え,背後に潜む原理を探り,将来を見据えた予測や制御が必要となるでしょう.コロナ禍との戦いは長期化するとの見通しであり,社会が正常化する過程,および,ポストコロナ社会を見据えて,新しい時代の要請に対応した活動を模索していくことが求められます.過去に発生した大地震や豪雨をはじめとする未曽有の自然災害に対して,GISは大きな役割を果たし,復旧復興のための力強い原動力となりました.このコロナ禍に関しても,会員の皆様が有する優れた知識・技術・経験・情報,そして,何よりも熱い情熱をもとに,この難局を乗り越えるためのお力添えを頂ければ幸いです.

本学会でも,様々な活動が制限され,従来とは異なる方法や工夫が必要となることと思います.しかしながら,この苦境を逆手にとって,今までにはない新しい活動方法や公表方法,さらに,新しいコミュニティ醸成方法について検討して頂ければ幸いです.研究会やワークショップなど,従来までは現地参加者のみで閉じていた活動も,インターネットを有効に活用すれば,参加者数の増加を見込めるかも知れません.また,活動内容をアーカイブすることで,情報発信効果はさらに高まる可能性もあります.皆様による様々な工夫によって,この難局を乗り越え,一層の発展につなげて頂けることを願っております.学会執行部としても全力を挙げて支援させて頂きたいと考えています.

2022年度から高校教育において地理総合が必修科目となり,そこでは地図と地理情報システムの活用が大きな柱となっています.また,今年度から小学校では「GIGAスクール構想」が始まります.幼少時からICT環境に慣れ親しみ,情報通信社会で生き抜く力を育むために,児童生徒向けに1人1台PC端末を配布し,高速大容量の通信ネットワークを整備する構想です.PC端末はこれまでのノートや鉛筆と同様に,当たり前の学習アイテムとなるでしょう.現在,高度なプログラミングとソフトウエアで可能としている地理情報分析も,子どもたちが演習問題,あるいは,遊びのひとつとして容易に実行する日はすぐに到来することでしょう.地理情報科学はますます一般市民の生活に溶け込み,その重要性は広く認知されていくことでしょう.将来の社会像を見据えながら,現在の活動を一層強化し,新しい活動を柔軟に取り込み,多くの価値と魅力を発信することのできる学会運営を志して参ります.皆様におかれましては,本学会の魅力を積極的に発信していただき,会員数の増加にむけてご協力頂けるようお願いいたします.学会員の皆様のご支援とご協力,そして,本学会におけるご活躍をお願いして会長就任のご挨拶とさせていただきます.

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